ライトノベル作法研究所
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  4. その他公開日:2013/10/27

下読みによるラノベ新人賞攻略Q&Aまとめ

●その他

■質問2015/01/23
 最終選考に残った作品や受賞が決まった作品の作者には発表前に事前に電話なりで連絡がいくと思います。
 そこで気になったのですが、編集者からの電話というのはそれ以外でもあるのでしょうか?
●ジジさんの回答
 何次かは賞の規模によって異なりますが、基本的に拾い上げは編集部選考時に行われます。3次選考が編集部選考なら、2次突破作品から行われるということですね。
 この応募作は、最終審査には上げられないけれども捨てるには惜しい。と、ある編集者が強く思った際、編集部内でその許可をとって担当に就き、改稿を重ねて出版する……という流れになる感じかと。
 また、この応募者には強い光がある。と感じた場合は、アドバイスなどしながら次の賞への応募作を書いてもらう。ということもありますね。このようなお声がけがある応募者は、その賞において何度も編集部選考まで上がっていながら受賞に届かない、いわゆる名物の応募者になるようです。
 当然、拾い上げが決まれば連絡がいきます。ただ、決まった瞬間というわけでは(私が知るかぎり)ないようですね。

■質問2015/01/20
 賞に応募する際に、何か参考にした書籍があった場合は、明記しておいた方がよいのでしょうか?
●ジジさんの回答
 基本的に「引用」していなければ書く必要はありません。
 ただし、この引用には文章だけでなく、著者の思考や思想も含まれることには注意してください。
 そして引用は、少なくとも応募作においては「オリジナリティ」でマイナス評価を受ける危険性が高いですので、避けるほうが賢明です。
 参考文献の内容はよく噛み砕いて、自分の言葉にして使ってください。これは大学のレポートなどと同じです。

■質問2015/01/19
 電撃大賞の選考期間中に、他の賞に応募していいのでしょうか?
●ジジさんの回答
 同じ作品の使い回しでないのなら、問題ありません。
 まあ、他レーベルへの投稿時、メインの賞で二次三次まで進んでいる場合は賞歴などを書く欄に「現在○○大賞二次選考中の作品あり」などと書いておくとより安心ですね。

■質問2015/01/19
 デビュー作が終了した作家のその後は?
●ジジさんの回答
 基本的には、企画を持ち込む日々の始まりです。
 大賞受賞者ですと、次回作の出版予定枠を確保した上でネタ出しを迫られることもありますが、普通は出版予定枠を編集会議で担当編集者にかけあってもらうため、「この物語ならいける」と担当編集者に思わせられる企画書をでっちあげる必要があるのです。
 ここがクリアできずに廃業してしまう作家もいますし、クリアできても出版予定が1年以上先ということもあったりして、実に難しい時期ですね。作家に才能がなかった場合、それを突きつけられるのがこの企画書生活の時期です。

■質問2014//10/5
 一般向けに公募することにおいてどのような点に気を掛けて執筆したら宜しいでしょうか? また差支えなければ、ラノベに近い一般レーベルを教えて頂けると幸いです。
●ジジさんの回答
 一般文芸小説の公募においては、なによりも作品の完成度を上げる必要があります。理想を言えば、そのまま出版できるレベルにです。
 また、ラノベとちがって一般では「共感」というキーワードが最重要になります。主人公の心情や状況が読者にとって共感できるものになっているかを考えながらプロットを組むようにしてください。
 ラノベに近い一般文芸は、メディアワークス文庫か富士見L文庫あたりが筆頭でしょうか。応募方法がそれぞれちがうのでご確認ください。
 女性向けでファンタジー路線ならC★ノベルスなども範疇に入るかと思われます。

■質問2014/07/12
 新人賞とは結局のところ、有能な作家を発掘したいのでしょうか? それとも商品化出来る作品が欲しいのでしょうか?
●ジジさんの回答
 納得していただけるかわかりませんが、まさに「商品化できる作品を量産してくれる有能な新人を発掘したい」のです。
 しかし、実際は受賞作が「偶然書けた作品」という新人も多いわけです。
 そうなったとき、編集者は2タイプに分かれます。
 使い捨てるか、あがくか。
 ビジネスライクな編集者はあっさり使い捨てます。新人は毎年現われますし、そのほうが効率がいいと考えているからですね。このタイプの編集者は担当作品や担当作家を自己基準に照らし合わせてえり好みします。
 しかし、あがく編集者は業務時間外の時間すべてを捧げて作家に書かせようとします。このタイプの編集者は、作品に惚れ込んだらどうにもならなくなるまでその作家を見捨てません。
 整理すれば、新人作家の多くは「生涯にただ一作しか書けない体」だからこそ消えるのであり、その場合、命を長らえるか落とすかは当たった編集者の質による場合も多い。ということになります。

■質問2014/07/12
 新人賞では、作品、作家どっちが手に入る率が高いのでしょうか?
●ジジさんの回答
 これは結果論ということになりますが、すべての新人賞で編集部が確実に得られる財産とは「受賞作」のみなのです。
 なぜならその作品からは作者の内面や個性、才覚は透かし見えず、たとえその作者が去年は一次落ちしていたとしても、1年経って成長したのか、はたまた今回だけまぐれで書けたのかの判別もつかないからです。
 そうなれば、確実な物として残るのはまさにその「受賞作」のみということになるわけです。
 結果的に作家の側に力がない、もしくは足りないことがわかり、さらに編集者が自分の仕事や実績を優先するタイプなら、その新人作家は2冊めも出せないまま消えていくことになります。

■質問2014/07/12
 作品から作者の才能が透かし見えないということは、出版社や編集部の見る目が堕ちているような気が……それなら、各出版社新人賞を廃して、小説投稿サイトを自社で持って、そこで人気がある人間をデビューさせたほうが、編集する側は楽なよう気がしますが、どうなんでしょうか?
●ジジさんの回答
 どのレーベルでも、生え抜きの看板作家を育てたいものです。
 生え抜きの作家とは人間関係が一から作れるので安心していろいろやり取りできますし、人間関係が作れていないと壮絶に揉めてネットでイヤな話をばらまかれたりしますし、いろいろとお金も儲けやすいです。
 ただ、E★エブリスタのような小説投稿サイトが現在、さまざまなレーベルの新人賞と直結していますので、おっしゃられたような「楽」をするシステムが業界内に構築されつつあることも確かですね。
 まあ、楽をしたいというより、書店における自レーベルの棚を確保し続けるための新作の確保を確実にしたい、新人賞というものに対する応募者の方の心理的ハードルを下げ、応募数を上げたい、という思惑が大きいかとは思いますが。

■質問2014/07/11
 受賞した作品を読んでいて少し気になっているのですが、受賞時とどれだけ直しが入っているのか教えてください。
●ジジさんの回答
 私自身の職域外の話ですので、平均値でお話することはできないのですが、基本的になにも改稿指示が出ない作品はありません。
 改稿にはストーリーやキャラクターの大がかりな修正から、文言や言い回し等の小さなもの修正まで多々あります。

■質問2014/07/06
 応募者の再応募率について。やはり、同じ賞に何回も挑戦する方が多いと思いますが、実態は、どうなんでしょうか?
●ジジさんの回答
 締め切りのタイミングや書き上げた応募作品の傾向などもからむ問題ですのではっきりとは言えませんが、規模の大きな賞なら30パーセントほど、小さな賞なら10パーセントほどではないでしょうか。私は編集者ではないので全体的なデータを持っていません。ゆえにこれは私の担当分からのデータになります。
 普通の応募者の方は、書き上げた応募作の傾向や締め切りタイミングでどこに送るかを考えますので、毎年ちがう賞で出逢うことも希ではありません。
 ちなみにひとつのレーベルにこだわり、名物のようになっている応募者の方というのは各賞に数名いらっしゃいます。全体の1パーセント未満ということになるでしょうか。
 そしてそのような方は、大抵が二次か三次止まり、という感じです(受賞や拾い上げに至らないからこそ名物になってしまうわけですので)。
 審査側は公正・公平でなければなりませんので、年度によっては評価シートすら渡せないときもありますが、やはり心情的に応援したくなるものです。

■質問2014/07/05
 ジジさんの個人的な結構を頂きたいのですが、応募作品を分類するとなった場合、以下のような作品はそれぞれどの程度の割合を占めているものなんでしょうか?
 可能でしたら、具体的な本数までお答えいただければと思います。
「応募規定違反」
「小説としての体をなしていない」
「ギリギリ読める」
「率直に面白い」
「受賞を確信できる」
●ジジさんの回答
> 「応募規定違反」
 毎年1、2本程度ですね。短い物語を規定に合っているように見せかけるため、こっそりページ設定をいじったりしたものがあります。

> 「小説としての体をなしていない」
 少なくとも紙原稿での応募が義務づけられている賞では思い当たりません。

> 「ギリギリ読める」
 惜しい! と思うものは、全体の9割8分ほどかと思います。

> 「率直に面白い」
 年に10本あれば豊作という感じです(基本的にはこの枠の中に収まる作品に受賞を期待することになります)。

> 「受賞を確信できる」
 年に1本あるかないか、です。

■質問2014/04/02
 先日のQ&Aで「ヒロインに処女だと発言させるのは避けるべき。品性を落とす」とお答えになっておられました。
 これは読者が青少年のラノベだからでしょうか。それとも高年齢者が読む一般小説なら(状況がそれを必要とするなら)許されるものでしょうか。友人には打ち明けなくとも、今後性交渉を持つであろう恋人になら(躊躇う理由として)打ち明けるという経験もありまして、伺いたくなりました。
●ジジさんの回答
 読者層が成人なら問題にはなりません。が、一般向けというのは「想像」が肝になるラノベとはちがい、「共感」という要素が最重要です。
 一般社会において、好きな女性に男性経験を訊く、もしくはなんのエピソードや伏線もないのに女性が自分の経験を語るという状況に、多くの人が共感できるのか? と考えれば、必然性がないのであれば触れないほうが無難です。
 ただ、必然性があり、物語の展開上必要な告白なのであればもちろん問題はまったくありません。
○追記
 品格面での共感というものは、「建前」であればよいという点を述べ忘れておりました。
 建前とは、人間が表面上に浮かべる言わば「表現」です。建前としては訊かない。でも内面ではもんどり打つほど気になってしかたない――というのは自然ですし、建前に加えた本音の部分でさらに共感させられるので、正しく使えれば高い効果を上げられます。
 外は綺麗に、内はドロドロ。
 これが一般向け、特に女性読者を意識した場合、最適まではいかずとも適解くらいは言えるのではないかと考えています。

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