ライトノベル作法研究所
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  4. 作家修行公開日:2014/06/22

下読みによるラノベ新人賞攻略Q&Aまとめ

●作家修行の方法について

■質問2014/04/25
 ライトノベル作家にとってもっとも必要な能力とは何でしょうか?
 それはどのようなトレーニングで伸ばすことができるでしょうか?
●ラノベ編集者さんの回答
 まずは文章力が必要です。
 豊富な語彙を用いて読みやすい文章を書ける、というだけなら大半の人ができていますが、風景が頭の中に浮かんでこない、会話が不自然、キャラがなにを考えているのかわからない、テンポが悪い、というケースがよくあります。
 ここら辺は全て文章力が不足しているせいです。
 小説に要求される文章力がどういったものか理解した上で、プロの作品を読み込むといいと思います。

■質問 2015/01/24
 今風のファンタジーというのがいまいち感覚でつかめないので、参考となる作品があれば紹介してください。
●ジジさんの回答
 感覚をつかむなら、数を読むしかありません。
 シリアスかコメディかでも変わってくるかと思いますが、ひとつの分岐点となった『ゼロの使い魔』(2004年刊行)以降のアニメ化作品を総当たりにしてみてください。
 いちおう、今時かはわかりませんが、設定のひねりかたの参考作としてアサウラ氏の『ファング・オブ・アンダードッグ』 (2014/11/21刊行)は推したいと思います。

■質問 2015/01/24
 よくブログやamazonなどの通販サイトで見かける、ラノベのレビュー投稿なんですが、あれって、作家になるうえで、役に立つのでしょうか?
●ジジさんの回答
 物語を書くのと評価するのとでは、必要な能力が大きく異なります。ですので、アマチュアのうちは物語を書くほうが絶対によいですね。
 ただ、評価ポイントを審査同様にきちんと自分の内に据えて評価するのは、人によっては修行になるかもしれません……評価する立場に自分があると思うと上から目線になるのが人間ですので、そのあたりの兼ね合いが取れる人ならば、ということですね。まあ、難しいところかと思いますが。
 繰り言になりますが、レビュー投稿を作家修行に利用するなら、
・その人の評価ポイントが定まっているかどうか
・「他人の作品を評価できる自分はすごい」と思い込まないだけの人間性が備わっているかどうか
 この2点をクリアできているなら、効果は期待できるかと思います。
 ただし、これも繰り言になりますが、アマチュアのうちはなにを差し置いても自分の作品を書くことを優先するべきです。

■質問 2015/01/24
 作家修行に役立つ、読んでおくべき小説、ラノベがあったら教えて下さい。
●ジジさんの回答
 ファンタジーなら正統派ではありませんが『エルリック・サーガ』

 SFなら『宇宙軍士官学校』

 推理込みの物語ならラノベではありませんが『着物始末暦』

 いずれも参考になるかと思います。

■質問 2014/10/10/05
 『今感』を探る際には、やはり最近の新人賞を受賞した作品だとか、アニメ化している人気作などを読むのがよいのでしょうか。
●ジジさんの回答
 今感を調べるのにもっとも簡単なのは、「今最高に売れている人気ラノベの1巻を10タイトル読む」です。
 そして読む際は、「その作品が売りにしている特徴」と「なぜその作品が売れたのかを考える」ことを心がけてください。それをすることで、なんとなく「今感ってこうじゃないか?」という像が見えてくるかと思われます。

■質問 2014/10/02
 小説作りを上達させる際には、「数」と「質」どちらが大事でしょうか?
●ジジさんの回答
 応募作の質を上げるという一点に絞って考えるなら、賞の規定枚数に合わせた10万字相当の作品を完成させる経験を積むのが適切かと思います。
 私もそうですが、経験値というものは普段実行していることに対して積み上げられていくものなので、8万字で経験を積むと8万字で物語を終わらせることに特化してしまいがちです。しかも完成させるという成功体験も積み上がっていきますので、さらに8万字という環境に適応した脳になっていく可能性が高いでしょう。
 整理して言えば、「書ききる=成功体験を得る」、「10万字の作品を書く=応募作含む文庫本1冊分の長編作品を構築する経験値を得る」ことになります。
 ですので、できることならば10万字相当の作品で経験を積みましょう。

■質問 2014/10/02
 小説家になるためには小説を書き続けることとよく言われています。書き続けていれば、いつかは必ず受賞できるということでしょうか?
●ジジさんの回答
 できる、という確証ではなく、可能性がある、ということになりますね。
 書かなくなれば、デビューの確率は0になります。
 書いて投稿を続ければ、デビューの確率は0・1パーセントでも存在し続けることになります。
 0が1になることはあませんが、0・1は1になる可能性がありますし、1は10に、10が50になる可能性もあるわけです。
 ただし、なかなか結果が出ないということは、作品に明確な弱点・欠点があることは確実です。2次まで進んだ作品があるなら、その部分は評価シートでなにかしら指摘されているのではないかと思うのですが、どうでしょう?

■質問 2014/10/01
 わたしの書く小説のほとんどが物語の展開が似ています。全く違った展開にするためにはどのようなことに心がけたらよいでしょうか?
●ジジさんの回答
 ご自身が書かれているジャンル以外の本を読むのが第一。第二は映画でもコミックでも、小説以外の作品を、シナリオの構造を確認しながら見ること。
 自分の中のマニュアルを厚くする作業が有効です。

■質問 2014/09/29
 ラノベの研究資料を集めるために図書館や古本屋を使う場合、どういったことに気を付ければいいのですか?
●ジジさんの回答
 基本的には「去年~今年に1巻が発売された作品を探す」のがよいかと思います。
 次に、「自分が書いている/書きたいジャンルの作品を探す」。これは古いものと新しいもの、どちらも資料になりますので有用かと思います。

■質問 2014/09/29
 プロのラノベ作家は、普段、どんな本を読んでいるのでしょうか?
●ジジさんの回答
 私のまわりで言えば、人気作や話題作、お勧めされた作品、知人の新刊を、本数を絞って読む人が多いですね。これはもうラノベが娯楽ではなく資料であり、仕事そのものだからです。
 あとは娯楽兼資料として、映画を見たり他ジャンルの本を読んだり音楽を聴いたり、とにかくインプットに努めます。
 ただ、私は作家の知り合いが多くありませんので、そういう人もいるくらいの話ですが。

■質問 2014/07/13
 新人賞デビューと読書量は関係ありますか?
●ジジさんの回答
 デビューというものだけを考えれば関係ありません。
 奇跡の1本が応募時に書ければよいだけですので。
 ただ、「読書=データの蓄積」です。
 ラノベでなくとも、それぞれのメディアにはそれならではの文章表現や好まれる作品の傾向など、「常識」に相当するものが多々あります。これを知るためにはまず読むしかありません。

■質問 2014/07/13
 月に3冊小説を読むというのは十分ですか少ないですか?
●ジジさんの回答
 上記の理由から、できればもう少し量を読んでいただきたいところです。
 もちろん(主に経済的に)無理は禁物なのですが、自分が書こうとしているジャンルのもの、世間的に売れている人気作、ネットなどでレビューを見かけて興味を持った知らない作家の作品、この3タイプのものを3冊ずつくらいは読んでいけるとよいですね(あくまでも理想です)。

■質問 2014/07/13
 人気の動向を知るためにいろんなシリーズを1巻だけ読めばいい? ひとつのシリーズを読みとおすべき?
●ジジさんの回答
 私は前者を推奨しています。
 特にラノベは打ち切られる可能性を考慮し、1巻を読み切りとして成立させているものが多いですので、データ収拾のためなら1巻だけで充分です。
 読んでみて続きが気になったら、読者として続きの巻を買えばいいかと。

■質問 2014/07/13
 ライトノベルだけ読めばいい? むしろ一般のエンタメを読むべき? それとも映画やゲームなど他ジャンルまで詳しいのが有利?
●ジジさんの回答
 表現方法の妙や作品を光らせるための発想は、どこからやってくるかわかりません。
 その不確かなものを確実に受信するためにはより多くのアンテナが必要ですので、できうる限りいろいろなメディアに親しむのがよいですね。

■質問 2014/07/13
 上手ではない小説の欠点を見つける読み方をするのがいい? 上手な小説だけから学ぶ読み方をするのがいい?
●ジジさんの回答
 実行できるならどちらも同時にするべきです。
 特に作品の軸となっている設定の構造とそれをからめた展開、キャラクターの作りかたと立て方、この部分に注目して読むようにしましょう。

■質問 2014/07/12
 賞に応募する前に、読者の反応を見るためネットに作品投稿したいのですが、どういったことを覚悟しておいたほうがいいのでしょうか? また、聞き捨ててもいい意見は、どんなものでしょうか? 
●ジジさんの回答
 ネットでは特にそうですが、基本的に不特定多数の方に意見を求める場合、「それぞれの方が好むジャンル/設定(ネタ)/キャラはどのようなものなのか?」を明確にしておかないと、こちらが望むデータ――この作品は果たしておもしろいのか?――が得られないまま終わってしまいます。たとえば、あっさり塩ラーメンが好きな方に超こってり熊本ラーメンの感想を求めても、聞けるのは「拒絶の意」だけです。
 投稿によって意見を求める際は、意見をくれる人の言葉をプラス・マイナス値を弾き出すためにデータ化する準備をするべきです。
 そしてなによりも「他人の感想は常に極端なものであり、充分な文量を満たしてくれることはありえない」と心得ておくべきでしょう。
 極端且つ短すぎる好き嫌いコメントを大量に集め、そこからデータを抽出するのは精神的にこたえる作業になりますが、成功すれば応募前に大きなアドバンテージを得ることができます。
 また、ひと言レスの酷評は、データになり得ないので除外してもかまわないかと思います。
 10文字以上かけて書き込まれた酷評は大事にしてください。その中にかならず酷評の理由が練り込まれています。

■質問 2014/07/10
 創作の上での、他者(読者)、自分(創作者、制作者)を意識することの、メリット、デメリットを教えて下さい。読者を意識しようと、共感は得られやすいもの、他人の目や避難に怯え、二番煎じのような作品しか書けない、それすらも書けなくなるように状態になってしまう危険性を感じます。
●ジジさんの回答
 自意識によるメリットは、エッジをそこなうことなく作品という形にまでネタを削りあげられることでしょうね(絵描きなら、自分が思い描いたとおりの線を引ける、ということになります)。
 ただ、そうして生み出したものが他人に賞賛されると、作り手は自分がお客様に作品という娯楽を提供するサービス業であることを忘れ、お客様が作品ではなく、自分という希有な存在に対してお金を払うのだと勘違いするようになります。これこそが最大のデメリットということになりますね。
 だからこそ私は制作者という言葉が好きですし、自身に制作の人間であれと言い聞かせて生きています。
 また、読者を意識するメリットは、マーケティングを始め自分の感性と世間の傾向のズレを正しく理解しやすく、実際に作り上げる前に各修正ができるという点です。
 これは書いたり作ったりすることが仕事になると非常に大事になってくる能力で、私が下読みを続けている理由の三割はこの能力を鍛えるためなのです。
 デメリットについては、すでにご自身が述べておられますね。作者も作品も挙動不審になります。

■質問2014/04/02
 私は現在、物語を書くことが出来ない状態になってしまいました。書ける人と書けない人の原因は何なのか教えて頂けないでしょうか。私は書きたいイメージや、キャラは浮かんでも、お話にすることが出来ないでいます。
●ジジさんの回答
 基本的にモチベーションの低下ではないかと思います。では、モチベーションが下がるとどうなるか? 「作業」ができなくなるのです。
 極端な例を出せば、「生きる」というものに対する三大作業は「食うぜ!」、「寝るぜ!」、「愛でるぜ!」です。モチベーションが下がると、人間は緩慢に死んでいきます。
 これを「物語を書く」に置き換えると、「情報をインプットするぜ!」、「話(キャラ、設定、ストーリー)を練るぜ!」、「実際に書くぜ!」の三大作業によって成立しています。
 おそらく「物語を他人に見せる」ことに対する恐怖心が、創作というものに対するモチベーションを妨げている状態であると思われます。
 対処法ですが、まずは創作の三大作業を並べてください。そして、「どの作業なら楽しいか/どの作業が辛いか」を線引きしてください。
 それがすんだら、「楽しい」作業をし、「辛い」作業は置いておく。別に作品ができあがらなくてもいいですので、とにかく「楽しい」ことばかりするように。
 簡単に考えれば、おそらくは「インプット作業」からの「キャラ作成」や「設定作成」が楽しい作業になるかと思いますので、どんどん見たり読んだり聞いたりしつつ、「考えて」みてください。

■質問2014/04/02
 質問にご返答ありがとうございます。
 私は、インプット作業が苦手というか、どうも辛いみたいです。最近物事や、社会に無関心になりがちです。ファンタジー要素と関係する日本神話やら、ニュースやら、見ようとしますが、頭に入りません。楽しいだけの作業をして、果たして物語が書けるのだろうかという疑念が湧きましたので、また質問させていただきました。
●ジジさんの回答
 誰かと話をするのが苦痛……という状態でなければ、アニメでもコミックでもニュースでも、ひとりで考えるのではなく親しい方と雑談してみるとよいかとは思います。
 それも辛いようなら、インプット作業は、しばらくはすっぱり止めてしまうべきでしょう。
 楽しい作業だけするのは、苦しいとご自身が感じる作業に取りかかれないままダメになってしまうよりは、よほど価値があります。
 1は10になる可能性がありますが、0が1になることはありませんので。

■質問2014/01/09
 作家にとっての基礎訓練とは何だと思いますか?
●ジジさんの回答
 「読むことと書くことを好きでいられる自分づくり」ではないでしょうか。
 応募者の段階はもちろん、プロになれたとしてもその先ずっと書くことと向き合っていかなければいけません。
 時代とともに移り変わるサブカルチャーの流行をインプットし続け、アウトプットする手段を考え続けなければならないのです。
 だとすれば、それが苦痛になったら終わりです。
 そして、大半のベテラン投稿者はそれが苦痛で実行できなくなるからこそ思考停止し、時代性に合わない作品をポストに投函してしまう現実があります。

■質問2014/04/22
 プロットやマーケティングについて考えすぎてがんじらめになって書けなくなっている作家志望に、書けるようになるアドバイスをお願いします。
●ラノベ編集者さんの回答
 マーケティングについてはラノベがどんな層をターゲットにしていて、どんな戦略で売っているのかを分析する程度で十分だと思います。
 それ以上してしまうと既存の作品に似たものができる可能性が多いにありえます。
 現在の売れ筋と同じ傾向の作品を新たに担当したい編集者もそんなに多くないでしょうし、売れ筋とかぶせてしまうと逆に受賞しにくくなることも考えられます。
 マーケティングについてはしすぎないほうがいいくらいのことしか言えなくてすいません。
 プロットについては書けないならさっさと本文にとりかかってしまうしかないと思います。

■質問2014/03/27
 年を取るデメリットの克服方法を教えて下さい。
●ジジさんの回答
 プロになりたいという念力で嫌悪感をねじ伏せ、血の涙を流してでも「自分が書こうとしているジャンルの売れ筋作品」を読みあさるべきです。
 近年のラノベには宇野朴人氏の『天鏡のアルデラミン』(電撃文庫・2012/6/8刊行)のような厚みのある戦記ものや、ラノベテイストのあるヤングアダルト作品(ソノラマノベルスやCノベルスといった新書シリーズや、それこそメディアワークス文庫等)が多数存在します。
 まずはそのようなものから慣らしていくのが楽かもしれません。

■質問2014/04/22
 あー、こんな作家が欲しいなー。とラノベ編集者さんが欲しい人材とは?
●ラノベ編集者さんの回答
 自分の意見をしっかり持っていて、且つ人の意見もしっかり聞ける人だと助かります。
 あと自分よりも若い人のほうがいいですね。
 社会人経験があれば尚良いです。

■質問2014/04/22
 作家は一芸特化か、ありきたりを手広く書けるか、どちらが欲しいか?
●ラノベ編集者さんの回答
 どちらも必要ですが、ありきたりをそれなりの質で書くスキルというのは作家にとって重要なものです。
 自分が担当したいのは後者がしっかりしている作家です。

●ジジさんのコラム 2014/03/26
 アニメを小説のストーリー作りの参考にする際には、「アニメは演劇的な観点で作られている」ことを認識するべきかと思います。
 アニメのシナリオやコンテの構造はまさしく、演劇や映画そのままですよね。
 ですので、キャラの動かしかたも場面の見せかたも、小説に持ち込むと情報が膨大すぎてうまく入らない、そして切り取るべき映像の焦点が文章と噛み合わない、という現象が起こりがちです。
 ちなみに私は「文章媒体とシナリオは目指す表現が別ベクトル」だと認識するまでそこそこ時間がかかりました(その間にそこそこ仕事で失敗もしました)。
 以上の点から、「アニメを全部見るのではなく、自分が小説に落とし込みたい場面を絞って切り取り、情報をコンパクトにまとめる」ことが重要です。

●ジジさんのコラム 2014/03/26
 プリキュアなどは顕著ですが、女子向けアニメには男子向けにはない制約が山のようにありますので、ラノベの参考にはなりにくい気がします。あの方法論で文章作品を作ると、やけに観念的になったり理屈っぽくなったり、単純に盛り上がらなくなったりします(経験上)。
 そういう意味で、成人女性向け以外の小説媒体では常に男子向けを意識するほうがよい気がします。

■質問2014/03/26
 女子向けの制約とはどういうものでしょうか?
●ジジさんの回答
・バトルを楽しまない。
・敵を殺したり、敵に重傷を与えたりしてはいけない。
・基本的に道具を直接打撃武器として使ってはならない。
 等です。

■質問2014/01/07
 小説(ラノベ)ハウツー本は、役に立つと思う?
●ジジさんの回答
 結論としては「質問が設定されていない状態で書かれたハウツーは、悩んでいる人向けなのに悩まない人が書いてるため、その作者とフィーリングが合う人以外には役立たず」となるでしょうか。玄人には素人が「どんなことを悩むのか?」がそもそも想像できませんし、それがわかったとしても「なんでそんなことを悩むのか?」が理解できません。
 また、専門知識・専門技術の説明をその道の素人にするのは、すべてを高いレベルで理解している玄人にとっては非常に難問という現実があります。

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