ライトノベル作法研究所
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  4. ミステリーはライトノベルに合わない?公開日:2014/03/08

ミステリーはライトノベルに合わない?

 ミステリーも好きさんの質問 2014年03月02日

 ライトノベルのレーベルに推理小説はあまり合わないということを目にしますが、本当なんでしょうか。

 こちらのラノベ書評のミステリーコーナーをのぞいてきましたが、ラノベレーベル外で出版されたものが結構たくさん混じっているようです。
 ライトノベルのミステリー専門レーベルがつぶれたとか、ゴシックの桜庭一樹さんや、米澤穂信さんが一般小説のレーベルで本を出されるという現象が起きています。

 新人賞がそれぞれのレーベルで出版することを前提としているとすると、レーベルに合わないものは採られないということになりませんか。
 ライトノベルの新人賞に推理小説を送るのは、今はハンデが大きいとか、カテゴリーエラーという感じなんでしょうか。

 明るい学園生活と、連続殺人や犯人の悪意が似合わないのでしょうか。
 バトルでカッコよく解決する方がよくて、調査したり考えたりする展開がダメなんでしょうか。
 それとも、ライトノベルの面白さが入っていれば、推理小説といっても不利にはならないのでしょうか。

 何でもけっこうです。ご存じのことがあれば教えてください。

●答え●2014/03/11

 こんにちは。
 あらゆるコンテンツには、ライトユーザー層(初心者)と、コアユーザー層(マニア)がいます。
 ライトノベルは、「小説」というジャンルにおける、ライトユーザー層をターゲットにしたものではないかと考えています。このライトユーザー層は、移り気の多い10~20代の若者がメインのため、ミステリーのエッセンスを極力敷居を低くしてく届けなければ、興味も持ってもらえなければ、理解もしてくれないのです。

 ライトユーザー層は、「手軽に楽しめるおもしろいコンテンツ」に興味があるのであって、コアユーザー層のようにミステリーが好きで、ミステリーを読むことを目的にしている訳ではありません。このようなコアユーザー層向けのコンテンツをライトユーザーに届けても、受容されません。

 最近、集英社スーパーダッシュ文庫の『六花の勇者』 (2011年8月)という作品を読んだのですが、ファンタジーの世界に密室トリックを取り入れています。このトリックによって主人公が犯人だと疑われて、仲間たちから命を狙われる中、真犯人とそのトリックを暴き出すというストーリーでした。

 秀逸なのは設定です。基本となるのは、世界を滅ぼす魔神が復活する時、6人の勇者『六花の勇者』が現れて、これを滅ぼすという、ありふれたものです。名探偵が出てくる訳ではありません。
 しかし、六花の勇者が集合場所にやってくると、なんと勇者の証を持つ者は7人いました。一人が偽物なのです。しかも、外に出られなくなる霧の結界に7人は閉じ込められてしまいます。この結界は、魔神に味方する7人目の作動させた罠で、結界を解くには、結界を張った人間を殺さなければならない、というものです。

 勇者同士が、疑心暗鬼に陥って、お互いに殺し合おうとする様は、キャラクターの生の感情が現れていて、ぞくぞくします。魔物との混血児の女の子が真っ先に疑われたり、お姫様に片思いする騎士が主人公に嫉妬して判断を曇らせたり、自分の判断を正しいと信じる聖者が、嘘を言って仲間を炊きつけて主人公を殺させようとしたりと……

 導入部分は、有り触れたファンタジーなので敷居が低く、推理よりも、キャラクターのぶつかり合いや、愛憎に焦点を当てています。ここがおもしろいポイントです。

 ミステリーをやりたいのではなく、ミステリーの要素を物語を盛り上げるために利用しているのです。なぜなら、ライトユーザーが求めるモノは、「手軽に楽しめるおもしろいコンテンツ」であって、本格ミステリーではないからです。

青大将さんの意見2014/03/02

 最近はミステリー仕立てのラノベも増えて来ていますよ。
 「神様のメモ帳」(2007年1月刊行)や「文学少女」(2006年4月刊行)、「狼と香辛料」(2006年2月刊行)等も、ミステリー要素が入っていますし、最近の電撃大賞受賞作だと、「パララバ」(2008年金賞)、「月光」(2010年9月刊行・第16回電撃小説大賞最終選考作)等はミステリーです。決してミステリーとライトノベルの親和性は低く無いと思います。
 ですので、新人賞にミステリーを送るのはそんなにハンデは大きく無いと思います。「氷菓」(2001年11月)や「GOSIK」(2003年12月)は、レーベルが無くなりはしましたが、受賞出来たと言う事は、これらの作品がライトノベルと認識され、なおかつ面白いものであったからです。

 確かに、一般小説より漫画よりなライトノベルにおいて、ミステリーは少し地味な気もしますが、だったら頭を使うキャラクターと、体を使うキャラクター両方を用意して、華やかさをキープする、と言う方法も考えられます。
 繰り返すようですが、ミステリーとライトノベルは、親和性は高いと考えています。

丁寧語の魔術師さんの意見2014/03/02

 合わないわけじゃないし、ラノベでも普通にたくさんあるよ。
 新人賞受賞作だと今度アニメ化する『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』(2012年1月・刊行)もそうかな。

 個人的な意見を言わせてもらうと推理小説に関してはラノベうんぬんじゃなくて、一般小説のサイドが異常な気がするね。

 エンタメのジャンルなんて腐るほどあるのに一般小説ってかなりの割合で推理系のミステリだったりするじゃない?
東野圭吾が偉大なのは知ってるけど流石に異常だと思えるよ。海外から見てもこの割合はかなりミステリーなんだってさ。

 だから一般小説側からラノベを見た時に推理ミステリが極端に少なく見えるのは、一種の錯覚でしかないかもね。
 ま、少なくともラノベで推理モノがカテエラってことは絶対にないね。

飛車丸さんの意見2014/03/02

 ミステリに限らず、SFでもファンタジーでも恋愛でもなんでも、本格派に寄れば寄るほどラノベとは合わなくなります。
 要はバランスですね。

文文さんの意見2014/03/02

 面白ければカテエラは関係ありません。

 という机上の空論は置いておいて。
 推理小説とライトノベルとの相性が悪いのは、最近のアニメ化ライトノベルのタイトルを眺めて行けば明らかでしょう。
 時代が時代ならミステリーが受けたのかもしれませんが、今は何も考えずに楽しめる作品が受ける傾向にあります。
 もちろん、ライトノベルの中から推理小説が駆逐されたわけではありません。そういう需要もあります。しかし、その市場はラブコメや学園ものに比べて明らかに小さいです。
 無理とは言いませんが、ライトノベルで本格的な推理小説をやりたいのならば、それはかなり茨の道だと言わざるを得ません。

 しかし一方で、推理要素を兼ね備えた作品というのは、意外と多いものです。ここ数年でアニメ化した作品としては『この中に一人、妹がいる』( (2010年8月刊行)、『変態王子と笑わない猫』(2010年10月刊行)などが挙げられるでしょうか。
 これらの作品は、キャラ萌えを中心に据えながら謎解き要素を入れることで、読者に続きが気になるよう仕向けています。 

 ただラブコメしているだけだと飽きてしまいやすいため、読者の興味を引っ張る要素として推理要素を入れているんですね。

 きちんとしたロジックの構築と上手な伏線の張り方ができれば非常に有効な手法といえます。それが難しいのですがww

 ざっくり語ってきましたが、まとめると『ラノベで推理小説をしたいなら、それ以上にキャラ萌え、ラブコメなど需要の大きなところに力を注いだ方が良い』というのが私の考えです。参考までに。

smanさんの意見2014/03/03

 ぶっちゃけさ、近年の「ライトノベル」ってのは明確なジャンルがないんだよ。
 それぞれ「SFっぽい話」「推理っぽい話」「ファンタジーっぽい話」ってな具合。
 「ライトノベル」にSFの要素を入れてみた、推理要素を入れてみた、いくつか複数のジャンルの要素を入れてみた、ってな感じ。

 だから、推理モノが好きで推理小説を書いてる人は、ラノベでデビューしてもラノベの枠組みじゃ満足できなくて一般を書くに至るんだと思うよ。
 ただ、推理モノのラノベで看板タイトルくらいの大ヒットってあんま聞かないから、そもそも「ライトノベル」と混ぜるのが難しいジャンルなのかもしれないね。
 少年漫画では名探偵コナンとか金田一少年の事件簿とか誰でも知ってるような有名作があるし、ラノベでも不可能ってわけじゃないとは思うけども。

>ライトノベルの新人賞に推理小説を送るのは、今はハンデが大きいとか、カテゴリーエラーという感じなんでしょうか。

 これについては、まあ、「ミステリー大賞」とか「ファンタジー大賞」とか、そういうわかりやすい新人賞ならいいけど、「面白ければなんでもいいよ!」ってのが多くの新人賞のスタンスなので、このテの不安はジャンル関係なくどんな作品にもあると思うよ。
 とはいえ、送る新人賞の過去の受賞作品をいくつか手の取れば、その賞がどういうのを欲しているかってのはわかるけども。

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