ライトノベル作法研究所
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  4. 読者視点を手に入れるには?公開日:2014/06/05

読者視点を手に入れるには?その2

文長さんの意見2014/06/02

 あまくささんが仰るような理由から、作品書いて読んでもらうのは伝言ゲームみたいなものと思った方がいいかもしれません。
 そもそも内容はどうあれ感想や批評を書くというアクションを起こす人は一割以下だと思います。
 アクセス数が1000あったってよほどじゃないと100個も200個も感想もらえないと思います。
 開始1行で読むのを辞めた人、タイトルを見て読む気が失せた人なども含めると、本来的には「何が良かったのか、悪かったのか」と聞くべき対象が相当数いることがわかります。

 例えば企業がよくやる製品アンケートだって、とりあえず商品買って使ってみた人の声以上に、買わなかった人の声の方が大切な場合もあります。
 そしてそういう声は、作り手にはなかなか見えないし、届かないことがほとんどです。
 なぜならその人たちはコメントも残さず批判もしない反面、買わない、読まない、寄り付かないという行動に出るからです。
 批判的なコメントは特にないから作品は悪くないだろう、と思ってたらいつまでたっても反応がつかないとか、むしろ気付けば誰も感想くれなくなったとか、そういうことも起こり得ます。

 読むのを諦めた読者の中にはそもそも好みのジャンルが違うとか、たまたま気分や都合が合わなくてとかいう人もいるとしても、興味を惹かれたけど読むのを止めた人が圧倒的多数存在する、と常に意識しないといけないと思います。
 それは仕方ないと言えばそうですが、そこそこきちんとストーリー構成が定まっている前提で、一行ごと、一場面ごと、ひとつの章ごとに「ここまで読んで、つまらなそうだから諦めた」と言う人が出る可能性を考えて、絶えず仕掛ける文章や展開を描く必要があるかなと。
 どういう内容が受けるのか、については究極的にはわかりませんし、人気作家でも当たり外れはあるので、自分の信じる小説の良さやおもしろさを突き詰めることしかできないと思います。

 媒体として全然違うにせよ、口語体で描写もそんなにないまとめ記事でもいい話とか洒落にならないほど怖いとか、読者に充分ストーリーを伝えて楽しんでもらうことは一応できるわけですから、小説というある意味特殊なフレームだけに囚われないことも必要のように思います。
 無駄に描写がたくさんあるとか、文学気取りで意図が見えない場面が続くとか、そういう作品はたくさん見かけます。
 作品の雰囲気によりますがトントン拍子で進む方が興味を持って読みやすいし、トントン拍子で進んでも理解しやすいように文章表現とストーリーを構成することが大切だと思います。

あまくささんの意見2014/06/01

 文長様、お久しぶりです。
 引き合いに出していただいたので、ちょっと調子に乗ってみます。

 書き手と読者の間には、深くて暗い川があるんですよね。
 それでもやっぱり伝えたくて、エンヤコラ今夜も舟を出すっていう感覚が堪らないんですw

 『黒の舟歌』のパロディはさておき、このサイトの投稿室に作品を上げて感想のやり取りをしていると、書き手の意図なんて本当に伝わらないものだと思います。

 今、仕事から帰ってきてこれを書いているのですが、運転しながらラジオを聴いていたら、野球の話題で「メジャーのピッチャーは自分の一番いい球を投げようとする。日本のプロ野球のピッチャーはバッターの隙を突くことを考えて投げる」と言っていたんですね。
 これかな? と思いました。自分の持つ一番いい球を投げる。これも大事なことで、忘れてはいけないと思うんですね。一方で、バッターの隙を突いて投げるということが、小説に置き換えれば「読者を意識する」ということだと思います。

 冒頭のつかみとか、先を読みたいと思わせる仕掛けとかは、セオリー化された技術であって習得が可能です。そういうことをきちんと習得していけば、読者の視点なんてわかりませんけど、「最後まで読んでもらうこと」は可能だと思うんですね。
 そういう努力を怠らないことが、「読者を意識する」(自己満足を排する)ということなんじゃないかと。そのくらいに割り切っておくことが重要なんじゃないかと思っています。

兵藤晴佳さんの意見2014/06/01

 私も常々気にしている話題なので乗っかります。
 私なりの考え方ですが、なにかの参考になれば幸いです。

 まず基本的には作者自身が「面白い」と思ったネタを信じる事。
 ここから始めます。
 そして、そのネタを如何に見せれば読者も面白いと思ってくれるのか?
 この部分が読者視点になるのだと考えています。
 具体的に重視しているのは

1)主観を排するのではなく、誰もが共感できる主観で書く。
2)読者の期待を裏切らない。

 主にこの二点です。

1)についてですが、自分の得意分野や頭の設定を文章にする時に、丁寧に説明してあげることを意識しています。
ここで言う「丁寧に」というのは、細々とした説明やディープな知識をを書き連ねる。という意味ではなく、如何に簡潔明瞭に設定をや知識を物語の中に落とし込めるか?
 という意味です。
 物語の進行に合わせて必要な分だけ、そしていざ説明する時には、なるべく簡単な言葉でぶっちゃけた説明できれば最高であると思います。
 例えば孫子の兵法から引用して、包囲戦のやりかたなんかを長々と書いても読者が付いてきてはくれませんが、これを三行で書くと。

1)撃って引きつける
2)走って回り込む
3)囲んで殲滅する

 こうなります。
 ラノベに関して言えば、娯楽小説なので、このくらいぶっちゃけても大体の概要が合っていれば問題はないと思うのです。
 あとは飽きさせないように小ネタをとにかく放り込む。
 10個の小ネタを放り込んで内の2、3個でクスリとさせれれば問題ないくらいの勢いで放り込みます。
 ただし、パロディやオマージュ等の元ネタがあるモノを多用すると面白くないので注意が必要です。

 2)についてですが、こちらはおおよその結末が予測できるような伏線を作中にきちんと散りばめる事です。
 「どんでん返しができないじゃん」
 と言われそうですが、どんでん返しとは相反する要素ではありません。
 バトル物ならば、戦闘の戦術でどんでん返しを行っても、ヒロインとの結末でどんでん返しをやってはいけない。という意味です。
 物語の「転」にするどんでん返しと「結」で行うどんでん返しは意味が違います。
 どんでん返しは「転」で行い「結」の為に伏線を散りばめましょう。
 「結」でどんでん返しをやると高確率で「ご都合主義」とか「急展開/神展開」とか言われます。

 他にも細々とした積み重ねが必要ですが、この辺りを意識していれば、それほど作者の意図が伝わらないという事態は起こらないと思います。

兵藤晴佳さんの意見2014/06/01

 あなたが読みたいと思う話を描けばよいのです。
 ただし、あなたが挙げたコメントのうち、相手にしてはいけないものがあります。
 「どんでん返し」と「残るもの」。

 劇作家の場合、「どんでん返し」を狙った作品は必ず新人賞で落選すると言われています。
(と言っても、いわゆるブールヴァール劇には『どんでん返し』の傑作はあるんですがね。ロベール・トマ『罠』とか。)
 まずは、直球を投げましょう。

 また、「感動させよう」とすると必ず滑ります。
 かつて、宮崎駿は虫プロにいた頃、手塚治虫が「感動させる」何の脈絡もなくヒロインを死なせる筋書を考えたのを見て、一気に引いたそうです。
 読者の関心を引き付けるために、緻密なプロットを組むことを考えること。

 基本はこの2つだといいます。
 「サスペンス」……読者に対して情報を伏せることで、「知りたい」と思わせる。
 「劇的アイロニー」……登場人物に対して情報を伏せることで、同情や笑いを誘う。「志村! 後ろ!」がその類です。

 あなたが面白いと思うことを、確実に読者に伝える工夫をしてください。

 恐らくその悩み、解消される日はきません。
 モノを書き続ける以上、それは悩み続けるべきものです。

沢渡まゆさんの意見2014/06/03

 文章とは、まず大前提として、「言語は万能なものでないこと、その働きは不自由であり、時には有害なものであること」というのを、僕たちは肝に銘じなければいけません。
 この大前提を僕らはいつも無視してしまうので、言語に過信しすぎ、時に言語に溺れ、その結果争いを起こしてしまうんです。 

 谷崎潤一郎の文章読本のことばです。
 わたしもその通りだと思うし、そういうことを肝に銘じることが読者の視点に立つことだと思います。
 つまり、読者に通じるのは書いたことの半分くらい通じればよしとして書かなければならないということです。

 文章力を過信せず、自分が書いた文章の半分が通じていれば、おもしろいと思われるよう書いていくことだと思います。

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