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  4. 女性の中二病とは?男性との違い公開日:2014/10/28

女性の中二病とは?男性との違い

 うっぴーさんのコラム 2014年10月28日

 男性には、自分には隠れた異能力(才能)がある。実は最強なんだ。といった力への憧れがあります。
 これを反映して作られたのがラノベや漫画の主人公です。例えば、ヒット作である『ストライク・ザ・ブラッド』(2011年5月刊行)の主人公、暁 古城(あかつき こじょう)は、高校生でありながら世界最強の吸血鬼である第四真祖です。天災にも等しい力を持った12体の眷獣を従えています。
 彼のような存在になりきって、力への憧れを満たそうとする心理が俗に中二病と呼ばれます。要するに、自分は特別な存在だと思いたい、特別な存在になりたいのです。

 中二病とは、このような男性が生まれ持った本能に結びついているために、理性的ではない、子供っぽいと受け取られます。自分が凡人であることを受け入れる、優越感や劣等感に振り回されないようになるのが成熟の条件なので、中二病と呼ばれるのでしょう。

 同様に、女性には生まれつき「美」と「関係」への憧れがあります。
 これらを反映して作れたのが、少女向けレーベルや少女漫画のヒロインです。女性もまた、男性と同じく、「特別な存在になりたい」という欲求を持つのです。ただし、その方向性は、男性とはかなり異なります。
 以下は、腐女子の方にインタビューした女性の中二病についてのやり取りです。

Kさん 2014年7月27日 10:56
「こんにちは、いつもおせわになっています。女性の厨二病に関してですが、リアル女子中学生や高校生をみると「女子高校生異世界召喚王族嫁」物が主流かと思います。元祖は「王家の紋章」「炎のミラージュ」ですね。この路線は不滅のようです。「セーラームーン」は「プリキュア」同様、小学生低学年で卒業するようです。
 しかし、うっぴーさんの仰るように、「美と関係性」は影響が大きいように感じます」

うっぴー 2014年7月27日 10:59
「なるほど、どうもありがとうございます!お姫様、王妃というのは、美の象徴であり、同時に複数の男性からチヤホヤされる地位なので、女性は憧れるのではないかと思います。女性にはチヤホヤされたい願望というのも、やはりあるのでしょうか?」

Kさん 2014年7月27日 16:28
「こんにちは。娘に少し詳しく「女子が陥りやすい厨二病」を聞いてみました。まず「チヤホヤされたい」というより「誰からも人気があるイケメン男子が、何故か自分だけにちょっかいを出す。自分だけを好きになる」系。これは映画になった「好きって言いなよ」「花より男子」などですね。

Kさん 2014年7月27日 16:39
「あとは携帯小説やpixivのタグによく見かける「嫌われ」「貶め」系いじめモノ。少女小説や漫画では、「いじめ」「復讐「異世界嫁」が変わらず人気らしいです。女子中高校生で「同情して一緒に自殺する」という事件が実際に起こりますが、これも女子特有の厨二病に原因があるかも知れません。男子にはないようですから」

うっぴー 2014年7月27日 21:03
「どうも勉強になります! 「嫌われ」「貶め」などのいじめ系が人気というのは、男性心理からはちょっと想像ができないですね。シンデレラのように、いじめられてから逆転するのが、快感なのでしょうか?」

Kさん 2014年7月27日 21:22
「こんばんは。「逆転する」とか「見返してやる」よりも、「ある人にとっての特別な存在」に、より惹かれている気がします。これは、女子特有かも知れませんね」

うっぴー 2014年7月27日 21:26
「なるほど、「逆転する」とか「見返してやる」は、相手との競争を求める男性心理ですね。女性は、特定の人から深く愛されたいと願うものですものね。それはもしかすると、愛だけでなく、好きな相手からは憎悪であっても強い結び付きを得たいと思うものなのでしょうか」

Kさん 2014年7月27日 21:37
「さすがですね、うっぴーさん。「愛だけでなく、好きな相手からは憎悪であっても強い結び付きを得たいと思う」は、まさしく厨二女子の真理に近いと思います」

 インタビューは以上です。Kさん、ありがとうございました!
 私は少女向けレーベルも読んでいますが、少女向けは登場人物の数が少年向けレーベルより多く、人間関係がより一層複雑です。

 例えば、高殿円の『プリンセスハーツ』 (2007年5月1日刊行)のヒロインは、大国パルメニアの王女メリルローズに瓜二つの容姿を持っていたことから、アジェンセン公国大公ルシードの元に、王女の替え玉として嫁がされます。ルシードは子供時代パルメニアに人質として囚われていた際、メリルローズと恋仲になっています。結婚相手が意中の人ではなかったことに気づいたルシードは激怒しますが、大国パルメニアと戦争になる訳にもいかず、ヒロインをあくまで王女として扱いつつ、いつか本物のメリルローズを手に入れることを望みます。
 ヒロインは、メリルローズのことを憎んでおり、ルシードはパルメニアをいつか滅ぼすことを望んでいるで、二人は仮面夫婦として打倒パルメニアのために共闘しますが、いつしか本物の愛が芽生えていく。という愛憎が複雑に絡んだ、説明だけで一苦労な人間関係が展開されます。
 男性向けライトノベルは、ここまで複雑な人間関係は、まず展開されません。ここに、さらに様々な人間の愛憎が絡んで行きます。

 ヒロインが王妃であり、綺羅びやかなドレスに身を包み、特別な力が宿った宝石を持っているというところが「美」。ルシードに最初は嫌われながらも、徐々に愛を育んでいく、メリルローズと対決するというのが「関係」の部分です。

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