ライトノベル作法研究所
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  4. 口が上手いキャラを書くコツとは?公開日:2014/12/20

口が上手いキャラを書くコツとは?

 カンダ林さんの質問 2014年11月05日

 リーガルハイの古美門、俺ガイルの雪ノ下など、口が上手いキャラクターはたくさんいます。毒舌、相手を言葉責め、理屈(屁理屈)を並べまくる。それらを上手く書くには何を学べばいいのでしょうか?
 どなたか教えてください。よろしくお願いします。

●答え●

ゆうまさんの意見2014/11/05

 マインドコントロールなどの話を読むと、まず相手の話を聞き、相手の意見を否定するようなことを前面に出さないそうです。少しずつ相手の意見の中から弱い部分を見つけ、そこにつけ入って、相手の考えを少しずつ軌道修正させるというのは聞いたことがあります。
 口が上手いというのが、どういうことを指しているのか分かりませんが、「反発を買わずに」「相手を自分に同調させる、支配する」という観点でいうとという話です。

迷える狼さんの意見2014/11/06

 「スレイヤーズ」の主人公「リナ」は、口が達者であると同時に、殺されても文句が言えない様な悪口を即思いつくなど、相当な毒舌でもあります。
 「フォーチュンクエスト」の仲間キャラ、盗賊「トラップ」も、相手を口先三寸で騙したり、痛烈な皮肉をかます毒舌家だったり、誰だろうと平気で無礼な言葉を吐くなどして、それが原因で度々トラブルを招いています。
 「ゲゲゲの鬼太郎」の「ねずみ男」は、人を騙してお金儲けをする詐欺の常習者ですし、「忍者ハットリくん」の「ケムマキ」も、「甲賀忍法 口車(実際にこんな忍法はありませんがw)」を使うなど、かなり話術に長けています。

 そして、最近のライトノベルの傾向として、自分の欲求を第一に考えて、相手に理不尽な要求を平気で突きつける、とんでもない無茶ぶりをする、といったキャラクターが増えています(そして、それらの被害者は大抵主人公です)。

 筋が通った理屈をこねるキャラとしては、「銀河英雄伝説」の「ラインハルト」と「ヤン」のダブル主人公、「コードギアス 反逆のルルーシュ」の主人公「ルルーシュ」、「ログ・ホライズン」の主人公「シロエ」、「ロードス島戦記」の魔術師「スレイン」、「アルスラーン戦記」の軍師「ナルサス」など、基本的に戦術や戦略に優れる者(将軍や軍師など)、団体や集団のトップや相談役などのキャラクターは、理屈を並べたり、理論を展開するのが上手です。

 ただし、こういうキャラクターは意外と口下手で、相手には意図が伝わらなかったり、あらぬ誤解を受ける事があります。

 また、当然とも言えますが、基本的に探偵ものの登場人物、特に主人公には、口が達者なキャラクターが多いです。

 とりあえずですが、カンダ林さんが求める条件であれば、「心理学」を学ぶのがよろしいのではないでしょうか。
 その時々に応じて、その場のキャラクタ-の心理を考えながら、どのキャラクターにどんなセリフをしゃべらせればいいのか、解りやすくなると思います。

あめ玉コーラ味さんの意見2014/11/07

 いきなりトリッキーなことをやろうとするとたいてい黒歴史になります。それもいい経験になるので別にとめはしませんが、失敗なんてしないに越したことはない。

 まずは相手を言い負かす(毒舌でも言葉攻めでもいいですが)分野を決めましょう。
 そしてその分野で理屈のストックを蓄えて状況に合わせて活用できるよう訓練しましょう。
 そしてその分野を順次拡大していきます。
 ちなみにこの作業は終わりがないので「ストックをためていたらいつの間にか80になってしまった」ということがないように。

 理屈のストックをためる→それを活用する
 地道な繰り返しが一番の近道です。
 実際に口がうまい人やキャラクターを研究して論点のずらし方や弱点の見極め方を学ぶのも勉強になります。

 で、実践編。学んだことを生かしてみましょう。
 何でもいいですが、例えばこのサイトだったらラノベの王女様っぽいことをしてみたらどうでしょう。
 つまりわざと常識に反したことやデリカシーのないことを言ってみてそれにかみついてきた人たちを論破する練習をするっていうことです。
 こういうのは自己完結していると危険ですからある程度は試してみましょう。もちろん結果には最大限の注意を払いながら。

 僕でよければいつでもスパーリングの相手になりますよ。

カンダ林さんの意見2014/11/07

 回答ありがとうございます。
 やっぱり、初心者やるのは難しいですね。何度も練習します。
 「理屈のストック」というのがいまいちわからなくて申し訳ないです。どういうものなのでしょうか?
 こんな私にそのようなことを言っていただいて、嬉しいです。どこでそういう練習ができるのでしょうか?

あめ玉コーラ味さんの意見2014/11/07

> 「理屈のストック」というのがいまいちわからなくて申し訳ないです。どういうものなのでしょうか?

 トランプで考えるとわかりやすいと思います。
 「口がうまい人」というので大方の人が思い浮かべるのはトランプでいうところの「カードの切り方がうまい人」だろうと思います。
 だから屁理屈を言ったり毒舌を言ったりすることにあこがれる人っていうのは「カードの切り方」ばかりに目がいきます。
 しかしゲームと現実の違いとして一番大きくて多くの人が見落としがちなのがトランプはあらかじめカードが配られるのに対し、現実ではだれもカードを配ってくれないというところです。
 現実では自分でカードを獲得するというフェーズがあります。

 僕が言うところの「理屈のストック」というのは要するに「戦うためのカードを集めろ」ということです。

 「カードの切り方」に関しては多様なパターンがあるので実際に試して会得するのがいいでしょう。
 これだけ情報が氾濫している現代社会ではそういった技術的なことはその辺に転がってます。
 ただ現実はままならないものでそういう技術に気付くのにも腕が必要です。
 たとえばどなたかが紹介されていた「笑点」にしてもそこから10学べる人もいればどんなに目を皿にしても1すら学べない人もいます。

> こんな私にそのようなことを言っていただいて、嬉しいです。どこでそういう練習ができるのでしょうか?

 ネットがいいでしょう。対面のコミュニケーションだとリアルタイム性が要求されますし、失敗したときに尾を引く可能性がありますから。
 とにかく片っ端から論戦を仕掛けてみてはどうでしょう。

カンダ林さんの意見2014/11/08

 疑問に回答していただき、ありがとうございます。
 カード、すなわち「情報」を集め、貯めていき、必要なときに使えると思った情報を出せるようにしておくということですね。
 例に挙げた、笑点を見ても、ただ「面白いな」「すごいな」くらいしか思っていなかったと思います。「どうして面白いのか」をよく観察して、わかったことをメモするように心がけます。

丘野ひなたさんの意見2014/11/08

 練習としては、模写をしてみたりものまねをしてみたり、いろんな方法がありますね。

ギョウムさんの意見2014/11/08

 リーガルハイの古美門について。

①物語の構造
 リーガルハイの物語の構造自体が古美門の口の上手さを大前提として成り立っています。
 特に第一シーズンでは「口の上手い古美門は裁判で連戦連勝し一度も敗けたことがない。果たして古美門は最後まで敗け知らずでいられるのか?」が興味の中心にあります。
 古美門の口の上手さが勝利し続けられるかどうかに視聴者の関心が集まるように物語が設計されており、古美門が口が上手いということを受け容れなければドラマ自体を楽しめない構造になっています。しかも、サイドストーリーとして新垣結衣の新人弁護士の成長物語が語られているのですが、それは「口下手な正論は、口が上手い説得力に勝てるのか」というところに焦点があてられています。このように、リーガルハイの構造は口の上手さを基盤に物語が組み立てられています。

 もちろん、シナリオで古美門の口上手なセリフがよく練られ考えられ、堺雅人の超絶的な滑舌の良さがあってのことですが、物語構造自体が「古美門は口が上手い」を視聴者に受け入れさせるものになっている点は重要だと思います。
 もし、そうでなければ、単なるちょっと変わったキャラで終わっていたと思われるからです。

②誰に対してでも口が上手いわけではない
 古美門が口の上手さを発揮するのは、もっぱら新垣結衣に対してと、裁判関係者に対してのことだったと思います。
 謎の召使・里見浩太朗、元妻の国際弁護士・鈴木京香、父で元検察官の中村敦夫のような(古美門にとっての)大物に対しては、ふつう以上に相手を尊重した話し方をしていたと思います。
 この点は、古美門をただのエキセントリックな口先キャラにしない、リアリティの面で重要なことだったと思います。
 ドラマ的にも、常に口の上手さ全開ではメリハリがなくなって面白さが半減します。ここぞというところで口先が爆発するから面白いのです。

③証拠で勝っている
 古美門は口の上手さだけで裁判に勝っているのかというと、そういうわけではありません。
 裁判は証拠による証明の場ですから、きちんと証拠を提示して勝っています。蘭丸という忍者的な人物が活躍するなどして、証拠を集めています。ただ、口の上手さを法廷戦術に活用して、それが結果的に勝利につながっているのは確かですが、勝つためにはそれだけでは足りないはずです。

 口の上手いキャラを書く時に大きな問題になるのは、勝ち負けは誰が決めるのか? ということです。

 いくら口が上手くても、喧嘩の相手が「参った」といわなければならないのだとしたら、勝敗のカギは相手の側に渡ってしまいます。それを避けるために、読者に勝ち負けの判断を委ねるのかということになりますが、作者がセリフをいつも上手く書けるわけではないし、読者だっていろいろです。「口の上手さで常勝」ということはなかなか実現しにくいと思います。

 しかし、裁判という場を持って来れば、判定を下すのは裁判官です。裁判官さえ説得できれば、勝つことができます。 そしてもちろん、裁判官は作者が操ることが可能です。しかも、必ずしも口先が不十分であっても、証拠によって勝たせることができます。視聴者は、古美門の口の上手さが間接的にではあれ勝利に貢献しているのを見れば、口の上手さを含めて古美門の勝利と考えてくれます。
 このように、口の上手さを勝利させるための仕組みを用意していることは、上手いセリフを書くことと同様に重要だと思います。

④視点の転換
 古美門のような口の上手さを書くにはどうすればいいのか。もっとも直接的なのは、古美門のセリフをよく吟味することだと思います。リーガルハイはノベライズされた本が出版されていますし、「月刊ドラマ」でシナリオそのものが何本か掲載された号があります。セリフをじっくり読み返して、分析されるといいと思います。

 単純に考えれば、古美門の口の上手さを表現するには、新垣の口下手を表現すればいいわけです。正論らしきものを主張させるわけですが、そこに穴を作っておけば、古美門は穴を突くだけで新垣を圧倒できます。
 もっと一般論でいえば、古美門のような詭弁は、一種の視点の転換ではないかと思います。ひとつの事象に対して、常に複数の論理で説明できるような訓練をすれば、ひとつだけの視点にとらわれることが少なくなり、視点の転換がしやすくなるのではないかと思います。

 具体的には、何か論争的な学問を研究するとか、ディベートをやってみるとかはどうでしょう。
 たしか大隈重信だったと思いますが、佐賀にいた若い武士の頃、友達に、賛成でも反対でもどっちでも受けて立つから議論でかかって来いと挑戦していたはずです。重要なのは、賛成の議論でも反対の議論でも相手に勝てるように訓練していたということです。

カンダ林さんの意見2014/11/09

 回答ありがとうございます。
 古美門は口の上手さと同様に確固たる証拠も提示して勝利していますね。そのあたりの重要さも、よく考えます。
 視点の転換ですか。あらゆる視点から論ずることで、それぞれの穴を見つけることができる。その穴をつくことが論破するということでしょうか。
 リーガルハイのほか、口が上手いキャラが登場する作品を読んで、研究していきます。

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