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  4. ジョジョの奇妙な冒険に学ぶ公開日:2014/07/23

ジョジョの奇妙な冒険に学ぶ物語のテーマ

ペルシアのヘルシアさんの投稿 2014年07月22日

 個人的に、「どうすれば『作品のテーマ』を表現できるのか」ということを考えた時、最も参考になる作品は、(漫画ですが)『ジョジョの奇妙な冒険』 だと思います。

 頭脳系能力バトルの元祖という意味でも重要な作品で、後の日本の漫画業界に与えた影響は計り知れませんが、作品が人気の理由は恐らくそれだけではありません。
 『ジョジョ』は、累計百巻を超え、合計八つの部にわたる壮大な物語でありながら(連載中なので、これから更に増えるかもしれません)、ずっと特定のテーマ、『人間賛歌』を一貫して描き続けているのです。

 第一部のかなり初期の時点から、このテーマは作中で言及されています。
 人間としての誇り高き魂を忘れず、己の信じる正義の為に強大な敵と立ち向かう主人公達。
 それと対比されているのは、己の能力の限界に耐えられず、結果人間の道を外れ、化け物と化した宿命のライバル。
 とある主人公側の登場人物は、こんな台詞を口にしています――
『人間賛歌は勇気の賛歌、人間の素晴らしさは勇気の素晴らしさ』。
 『ジョジョ』において『人間』とは、たとえどんな強い敵を前にしても、自らの正義を信じ、勇気をもって立ち向かえる、逞しい存在として描かれています(また作中では、この強い意思を『黄金の精神』という言葉で表現しています)。

 当然、それは簡単な道程ではありません。
 主人公チームだからといって戦闘中無敗の死なない奴らではなく、むしろ自らの意思を貫き通したが故に敗北を喫し、敢え無く殺されてしまった主人公側の登場人物は数多く存在します。
 しかしその散り様もまた『人間』、カッコいいことこの上ありません。
 そしてその遺志を受け継いだ仲間達は、最終的に邪悪な強敵を見事打ち倒すのです。
 この方針、この一貫した図太いテーマは、話がいくら進んでいっても一切変わりません。

 そしてジョジョにおいて凄いと思うのは、主人公達は基本的に(例外もありますが)、その敵と戦う「必要がない」のです。
 たとえ戦う道を選ぶことで、自らの命を危機にさらすことになると分かっていても。
 たとえ元々敵は自分を眼中にいれてすらおらず、黙って見ていれば平和に暮らせるままであるとしても。
 それでも、自らの信じる強固な正義のために、なんの躊躇いもなく戦うのです。
 何故そのような行動をするのか、登場人物に訊いてみたとしても、
「人間としてのプライドが、自らをそうさせたから」――
 それぐらいに素っ気なく、且つシビれる答えだけが返ってくることでしょう。

 彼らには、偽善の欠片もありません。
 そこにあるのはただ、本当に人間が歩むべき正しい道を堂々と歩み続ける、逞しい主人公達の勇姿です。

 ……熱が入って長くなってしまいましたが、正直聞くより読んだ方が早いです(オイ
 絵柄が独特なので最初は慣れないかもしれませんが、『ジョジョ』における『作品テーマの描き方』はとても参考になります。
 漫画版が読みにくい場合、第一部、第二部は既に全話アニメ化しており、第三部もアニメ化が進行中なので(或いは旧版もありますが)、そちらで見てもいいかもしれません。
 また、このテーマが最も強調して描かれている第五部『黄金の風』は、他とほぼ完全に独立したストーリーとなっているので、極論第五部だけを読んでも構いません。
 第四部までの知識が一切なくとも、第五部は支障なく読めますので。

 『ジョジョ』において、『人間賛歌』や『黄金の精神』がどう表現されているか。
 これを読めば、作品テーマの表現の仕方というのは、おおよそよくわかる筈です。

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