ライトノベル作法研究所
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  4. 改行を活用する公開日:2011/12/30

改行を活用する

 文章を読むことは基本的に、めんどくさくて疲れることです。
 だから、少しでも読みやすいように工夫しないと人は読んでくれません。 

 特に改行が少なく、巨大な文字の塊がデンっと視界に飛び込んでくるようだと、それだけで読書意欲が損なわれます。

●改行無しの文章例
 魔法の修得に必要な学問は多岐にわたる。古代文字にも精通しなければならないし、その文字が伝播した由来や歴史まで学ばなければならない。読み書きにいたっては言うに及ばず、薬品等の分量計算や、方程式から結果予測するための数学的知識、演算能力も必要とされる。世界に干渉する魔法は、知の総合力で勝負する分野だ。単に呪文――世界の法則と意識を接続するためのアクセスコードを覚えただけでは、魔法使いにはなれない。

●改行を活用した文章例
 魔法の修得に必要な学問は多岐にわたる。
 古代文字にも精通しなければならないし、その文字が伝播した由来や歴史まで学ばなければならない。読み書きにいたっては言うに及ばず、薬品等の分量計算や、方程式から結果予測するための数学的知識、演算能力も必要とされる。
 世界に干渉する魔法は、知の総合力で勝負する分野だ。
 単に呪文――世界の法則と意識を接続するためのアクセスコードを覚えただけでは、魔法使いにはなれない。

 どうでしょうか?
 適度に改行を入れた方が、あきらかに読みやすいですよね。

 文章がギッシリ詰まりすぎていると、人は読みたくなくなるのです。
 ライトノベルに改行が多いのは、読みやすくするための工夫です。

 ただし、改行は、なんでもかんでも多用すれば良いわけではありません。
 ページ内の空白が多くなりすぎると、中身がスカスカになり、文章を水増ししているような悪い印象を受けます。
 また、所構わず改行してしまうと、逆に読みづらくなります。

 文章が長くなったから適当に分ける、という改行の使い方をしてはいけないのです。
 改行は段落ごとに行うようにしましょう。
 段落とは、まとまった1つの内容を示す文章の集まりです。

 段落を分ける必要が無ければ分けてはいけませんし、必要が有れば分けなければいけません。
 例えば、『彼が怒った』という文章の後に、『怒った』とは関係のない文章が続くと、読者を混乱させてしまう原因になります。
 そこで、この間に改行を置くのが正解になります。

●悪い例
 彼は腕を振り上げ激しく怒った。普段は温厚な顔が、真っ赤になっている。その時、玄関のチャイムが鳴って、カツ丼の出前がやってきた。

●悪い例2
 彼は腕を振り上げ激しく怒った。
 普段は温厚な顔が、真っ赤になっている。
 その時、玄関のチャイムが鳴って、カツ丼の出前がやってきた。

●悪い例3
 彼は腕を振り上げ激しく怒った。
 普段は温厚な顔が、真っ赤になっている。その時、玄関のチャイムが鳴って、カツ丼の出前がやってきた。

●正しい例
 彼は腕を振り上げ激しく怒った。普段は温厚な顔が、真っ赤になっている。
 その時、玄関のチャイムが鳴って、カツ丼の出前がやってきた。

 どうでしょうか? 正しい例の方が、他のどれよりも読みやすくありませんか?
 改行は段落ごとに行うようにしましょう。

 また、改行は目立たせたい文章を引き立てることにも活用できます。
 最初に一番言いたい文章を独立させて1つの段落とし、その後ろに補足となる段落を用意するのです。

●例
 世界に干渉する魔法は、知の総合力で勝負する分野だ。単に呪文――世界の法則と意識を接続するためのアクセスコードを覚えただけでは、魔法使いにはなれない。

●改行活用例
 世界に干渉する魔法は、知の総合力で勝負する分野だ。
 単に呪文――世界の法則と意識を接続するためのアクセスコードを覚えただけでは、魔法使いにはなれない。

 これは「世界に干渉する魔法は、知の総合力で勝負する分野だ」という文章を引き立てるための改行です。
 読者に伝えたい重要な部分を目立たせることができます。

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