ライトノベル作法研究所
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  4. 漫画家に成れる目安は原稿10本完成公開日:2013/11/20

プロ漫画家になれる目安は原稿10本完成

 漫画家を目指す若者に都内で低家賃の住宅(シェアハウス)を提供し、漫画家育成支援をしているNPO法人『NEWVERY』の代表・山本繁さんは、漫画家になるための目安を次のように語っています。

「ぼく、漫画家になれますかね?」
「うーん、10本完成原稿を描けたら漫画家になれると思うよ。今まで何本描いた?」
NPO法人NEWVERY山本繁のブログ 2011年9月18日 『漫画家になれる目安』より引用

 山本さんが、漫画家や編集者に会って話を聞いたり、漫画家デビューした支援者に接してきた結果、だいたい10本目ぐらいでデビューしているのがわかったそうです。

 この点からも才能とは、いきなり最初から大成功する能力ではなく、一つのことに習熟していく能力、継続力であると言えます。

 漫画の神様と言われる手塚治虫は漫画を描くマシーンのような人間で、死ぬまで寝食を忘れて漫画を描いていたことで知られています。売れない時代、不遇の時代があっても、諦めずに描き続けた結果、晩年(デビュー28年目)になっても『ブラック・ジャック』といったヒット作を生み出しています。

 私には漫画家の知人がいるのですが、彼はプロとして生きていくために、エロ漫画を描いています。本当は少年漫画を描きたいそうなのですが、競争が厳しすぎて、編集者に認められてもなかなか連載を持たせてもらえないため、風呂のない家賃の低いアパートに住んで、昼夜関係なく漫画を描いて少年誌に載るチャンスを待っています。
 彼がデビューして3年後に再会したら、あまりにもやつれていたので驚きました。有名漫画家の元でアシスタントをしながら、生活の為の作品を描き、その合間に描きたい作品を作って、出版社に持ち込んでいるそうです。

 漫画家になるというのは、他のあらゆる物を犠牲にして、漫画を描くという孤独な作業を一生涯続けることなのだと痛感しました。

 ラノベ作家も似たような物、というより生き残るためのバトルロワイヤルは漫画家よりもさらに厳しいです。
 アマチュア時代にたかだか10本程度の完成原稿を作れない人は、プロデビューしてから死ぬまで続く、終わりのない執筆という名の長距離マラソンを走り抜いていくことはできないでしょう。

●補足・スタージョンの法則

 SF作家シオドア・スタージョンは以下のような格言を残しており、創作版パレートの法則などとも呼ばれています。

「SFの90%はクズだ……だが、残りの10%はそのために死んでもいい位である」
SF作家シオドア・スタージョン

 この言葉の意味するところは、10%の傑作を生み出すためには、90%の失敗作や試行錯誤の過程が必要だということです。プロが生み出す作品でも90%はくだらないものであり、歴史に残ることはありません。

 この法則に当てはめれば、才能の有る無しを判断するには最低でも10本は完成作を作ってみなくてはならない、ということです。

 いきなり第一作目で新人賞を受賞してしまったという人は、たまたま当たりの一本が最初に来ただけ、と言うこともできます。その証拠に、ほとんどの新人作家は一発屋として消えていく運命にあります。 

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