脳の大きさと性能

脳の大きさと、頭の良さとは比例するものなのでしょうか?

実は、天才と呼ばれる人たちの脳が、特別、大きい、重いということはありません。

プリンストン大学メディカルセンターの病理学者トム・ハーベイらは、秘密裏に天才物理学者として名高いアインシュタインの脳を解剖しました。
その結果、アインシュタインの脳の重さは1230グラムであるのに対し、対照群の男性は平均1400グラムで、むしろアインシュタインの方が軽かったのです。

では、解剖学的に、アインシュタインの脳と一般人の脳に差はあるのでしょうか?
アインシュタインの脳には2つの特徴がありました。1つは、脳の複雑な思考の元ととなる領域の神経細胞の周辺に、栄養を供給したり、いい環境を作るために働くグリア細胞が非常に多かったことです。ただ、その領域の神経細胞の数は平均より少なく、これが頭の良さを決める決定的な要素とはなり得ませんでした。
もう1つは、大脳の皮質に脳神経細胞がギッシリ詰まっていたことです。ただし、これは脳が加齢と共に萎縮して密度が高くなっただけだと考えられています。
ラットの研究では、神経細胞がうまく働くためには密度が高いより、むしろゆったりしている方が、良いことが知られています。つまり、この特徴も頭の良さを決める要素とはなり得ません。
その後にも、アインシュタインの脳は解剖され、研究されましたが、結局、解剖学的に特別なモノであったという結果は出ていません。

つまり、天才の脳も、常人の脳とあまり変わらないのです。


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