ライトノベル作法研究所
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  5. 待合桜公開日:2012年12月21日

待合桜

空ノさん著作

 圭一は噂を聞いた。

 どんな願いでも必ず一つだけ叶えてくれる、桜の木があるらしい。

 ◆

 都心から車で二時間、ようやく人里離れた目的の樹林へとたどり着いた。圭一は軽く息を吐き出し、左右からアーチを描くように反り立つ木々の中を歩き出す。
 圭一の願いは、妹を苦しめる原因不明の病を治すことだった。もちろん、願いが叶うと信じているわけではないが、すがるものもない。悶々とくすぶってばかりもいられず、桜の木を目指すことを決意したのだ。
 わずかに形を残す廃道をたよりに歩き続けること数十分、突如視界が開けた。ほんのりと漂う樹木の香り。景観に不釣り合いな薄いピンク色。ぐるりと円形に縁取られた空間の中心に、桜の木はあった。冬だというのに満開に咲いた桜は奇妙この上ないが、圭一の意識はすぐに切り替わった。
 桜の木の下に女が倒れている。
 駆け寄ると、やせ細った女はゆっくりと起き上がった。比較的若く感じるが、化粧もしておらず、何日も洗っていないようなべっとりとした長髪は、彼女をずいぶんと老けて見せた。
 なぜ、こんな場所に女性が一人で?
 圭一が尋ねようとしたそのときだった。女は自分の鞄を引っ掴むと、圭一を押し退け、桜の木から逃げるように走り出した。桜からある程度の距離をとると、そこで立ち止まった。
 ぽかんとするしかない圭一だったが、突然甲高い声で笑い出した女に、なにか得体の知れない恐怖を感じた。
 女が圭一の方へ向き直る。
「ありがとう、あなたは命の恩人よ」
 含みのある笑顔と意味不明な言葉。圭一は反応の仕方がわからない。
 何から訊くべきか迷っていると、女はふらつきつつ話し始めた。
「あー酷い目眩……。ねぇ、あなたも待合桜の噂を聞いて訪ねてきたクチ?」
「まちあい……桜? よくわからないが、俺は願いが叶うという噂を聞いたんだ。どうしても助けたい人がいてね」
「そう。じゃあ喜んでいいわよ。その噂、本当だから。ただし」
 女はそこで言葉を止め、圭一をまっすぐに指さした。
「願いを叶える権利があるのは、私。あなたじゃない」
「……どういう意味だ?」
 背筋に怖気が走る。彼女との距離はほんの十メートル程度のはずなのだが、なにか別の次元に放り込まれたような強い違和感に襲われた。
 急激に乾きだした喉を潤すように唾液を飲み込む。
「あなたは囚われた。もう当分の間、そこを出ることはできないわ」
 彼女の言葉がさっぱり理解できない。
 囚われた? 誰に?
 わからないのならば、動けばいい。圭一は歩いて女へ近づく。
「からかわないでくれ。俺と君しかいないこの場所で一体誰に――ッ!?」
 圭一はなにかに足をぶつけた。痛みはないが、目の前にはなにもない。見えるのは、圭一を見つめてクスクスと半笑う女だけだ。
 手を伸ばしてそれに触れる。ある。見えない壁がある。
 脈打つ心臓は徐々に高鳴り、焦燥感を助長する。
「それは、待合桜が創る檻。一人の人間の願いを叶える代わりに、別の人間を捕らえて餌にする。あなたは誰かと入れ替わらない限り、待合桜に生命力を奪われ続ける運命」
 圭一は女の言葉を理解しようとすることで精一杯だった。見えない壁にもたれ、食い入るように女を見る。
「私もあなたと同じパターンで囚われたのよ。私と入れ替わりで外へ出た女は永遠の若さを願った。そしたらね、四十過ぎの女が二十歳くらいの容姿になったの。信じられる?」
 女は、事態の深刻さに気付いた圭一を一瞥し、言葉を繋ぐ。
「不安よね、ここ電話も通じないし。一週間で出られた私は幸いかも」
 圭一は自分の未来が運に委ねられていることを理解した。
 吐き気を催し、その場にへたり込んでしまう。
「待合桜! 私を永遠に今の姿のまま死なない体にして!」
 女の張り上げた声が木々に反射して散らばる。こだました音が空に消えていくと同時、桜の花弁が女を包み込み、そして弾けた。
 女は無表情のまま鞄から包丁を取り出し、両手で勢いよく自分の胸を突いた。何度も、何度も。
 圭一はその異常な光景に息を飲む。
「死なない……死なないわ!」
 女の体からは、一滴の血も出なかった。痛みもない様子で、恍惚とした表情で声高らかに笑っている。
 噂は本当だった。
 が、だからどうした。このままでは死を待つのみだ。
 焦る圭一を尻目に、女は背を向けた。
「桜の木の下で死神と寄り添い、奇跡の待ち合わせ。だから待合桜。ぜひ、次の餌に教えてあげるといいわ」
 そして口元をスーッと吊り上げる。
「……それまで生き延びられればね」
 圭一は言葉を失う。
 背後の待合桜が風に押され、嘲笑するようにざわめいた。

 ◆

 同時刻。
「ぎゃあああぁぁぁっ!!」
 化粧台の前に座る若い女は、鏡に映った自分の顔を見て絶叫した。
「なによ……なんなのよこれ……っ」
 まるで固形化した粘土のように、顔の皮膚がボロボロと剥げ落ちていく。
 その内側からは、四十を超え艶を失った本来の肌が顔を覗かせていた。

 ◆

 待合桜は、どんな願いでも必ず一つだけ叶える。

 必ず、一つだけ。

作者コメント

 空ノと申します。
 二千字って本当に少ないですよね……。
 設定披露だけで終わっちゃうんです、いつも。

 ジャンル『ホラー+ミステリー』
 電撃お題『桜の下で待つあの人』
 字数制限『二千字以内』

 よろしくお願いします。

2012年12月24日(月)12時19分 公開

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感想

些見氏我離屋さんの意見 +10点2012年12月24日

空ノさん、こんにちは。さみしがりやです。
拝読しました。

なんと、ホラー。私はホラーが苦手なのですが、お話にすいすいと引き込まれました。

「一つだけ」の使い方がすごくお上手でした。ゾクッとしました。

敢えて言うとすれば、四十歳過ぎの女性のことで少し違和感がありました。
今の時代、四十過ぎでもキレイな方が多いので、桜に願う動機としてはやや弱いかなぁと。よほど醜い姿だったなら分かります。というか女性の事はよく分かりませんね(笑)
素人のイチャモンとして聞き流してもれえれば(汗)

前作とは全くちがった作風で驚きました。『悪の権化 魔王さまっ!』は今でも私のお気に入り作品の一つなので(笑)

失礼しました。
次回作も楽しみにしております。

タカテンさんの意見 +30点2012年12月24日

こんにちは。タカテンです。
先日は自分の拙作に感想をありがとうございました。
拝読いたしましたので感想を送らせていただきます。

おおう、この発想は全然自分にはありませんでした。
しかもオチもまた拝読中には思いもつかなくて「なるほど!」と声をあげてしまいました。
くそー、これはやられたなぁ。
掌編は発想とオチが命だと思うのですが、そのどちらも自分的には満足のいくレベルに仕上がっていて、ホント「やられた」という感想しか出てきませんです、はい。

ただ、ひとつケチをつけるとするならば、主人公の背景が重すぎるような気がします。
妹の病気を治したい。その願いが叶うのならばまだしも、終盤はまったく違うところへ落ち着きますから、ここまで重い背景はいらないように感じます。
なんせ他の奴らは若返りとか永遠の命とかほざいてますしね。
主人公も金が欲しいとか、女にもてたいとか欲のつっぱった願いにしておいて、その後彼がどうなったのかなんてどうでもいいと感じられる設定にしておいた方が個人的には気が楽ですw
ええ、なんか今の内容だと彼も、その妹さんも不憫でならないのですよ、うん。

それでは拙いですが自分からは以上です。
執筆お疲れ様でした。

五十嵐十五さんの意見 +20点2012年12月24日

 こんにちは。街の綺麗なイルミネーションを想像するだけで哀しい五十嵐十五です……。目を通させて頂いたので感想をば……。

 読み終わって一言『恐っ……』って思いました。昼に読んで良かったです。てっきりタイトルから純愛系の掌編を想像していました。ホラーだという注釈が欲しかった……。
 序盤に主人公の妹と話す場面を出しても良かったんじゃないかと思います。そうすれば主人公への感情移入がすんなりできるかと。
 難癖になるかもしれないですが、要するにコレ、願いを叶えられる人が入れ替わり立ち替わりするってコトですよね? すると噂の流行具合によっては一週間ともたず入れ替わることもあるんじゃないかと思いました。そう考えるとあまり恐くはないかもです。
 全体的にホラーとしてはよくできていると思います。次回作も楽しみにしていますのでそのときは宜しくお願いします。

マクローリンさんの意見 +20点2012年12月24日

作品を拝読しました。
感想返しというのはあまり好きではないのですが、どのような作品を書いているのかと。

以下は書き方・文章の好みです。
>女は自分の鞄を鷲掴み、圭一を押し退けて桜の木から遠ざかる方向へと走り出した。そして、ある程度の距離をとったところで立ち止まる。
文章の好みだと思いますが、当ざかる方向へ、というのが少し詰まりました。
*女は自分の鞄を引っ掴むと、圭一を押し退け、桜の木から逃げるように走り出した。桜からある程度の距離をとると、女はそこで立ち止まった。

> 女の張り上げた声が木々に反射して散らばる。こだました音が空に消えていくと同時、桜の花弁が女を包み込み、そして弾けた。
こういう神秘的な絵になるシーンを書くのって、難しいですよね。
インパクトがほしいですよね。
*女の張り上げた声が、周囲の木々に反響し桜を揺さぶる。桜が一枝、花を散らした。花びらが薄紅色の淡い燐光をまとい女へと降り注ぐ。燐光が女を包み込み、そして弾けた。
なかなか上手くいきませんね、難しい。

>女は、事態の深刻さに気付いた圭一を一瞥し、言葉を繋ぐ。
一瞥ってのがいいですね。締りのある言葉で。
圭一が変な行動に出ないか、見ておかなくていいのかな? と思いましたが、後を読んで納得しました。

>背後の待合桜が風に押され、嘲笑するようにざわめいた。
節の終わりになるんでしょうか? 最後の行なので嘲笑(ちょうしょう)だと締まらない感じがしました。
*嘲笑(あざけわら)うかのようにざわめいた。



なめらかな文章ですね。読みやすいです。
あと、冬桜を題材にする作品は珍しいですね。

話の途中まで、似たような童話か何かを思い出しましたが、オチの部分は初めてです。
だから「一つだけ」なのか、と予想を見事に裏切られました。

二千字でこれだけ書けるのが羨ましいです。
私には無理です。

汁茶さんの意見 +30点2012年12月25日

こんにちは。汁茶と申します。
拝読いたしました。


おおーっとなりました。読み終えて。
お題の使い方には人物を特殊にする、状況を特殊にするなどがあげられますが、御作のように桜を特殊にすることで状況も特殊にするとは見事だと思いました。
桜の設定になぜかコードギアスが頭をよぎりました。
ロジック的なことに突っ込むと、圭一が出られた時、女は死ぬんですよね? で、妹の病気が治り、次囚われた人が出ると妹の病気再発、と。
設定スキーな自分は状況の活かし方を妄想したくなります(笑
第三者を閉じ込めてしまえればいいんですが、この場合はやはり妹と二人で回していくようにするべきでしょうか。交代で桜に囚われて、同じ願いを言い続ける。これがベストなのかどうか。
いろいろと思考実験が出来る作品だと思いました。
例えば、桜から出てきた人間が今桜に囚われている人を解放してほしいという願いを言ったら桜はどう答えてくれるのか。願いを優先するならば桜は解放せねばならない。生贄(こう呼んでおきます)を取ることを優先するならば桜は願いを叶えることが出来ず。
さあ、どっち? みたいな(笑
正しい解答なんかレスする必要はありません。こんなのは遊びですし。


私からは以上です。

執筆お疲れ様でした。
それでは失礼いたします。

とよきちさんの意見 +30点2012年12月226日

おはようございます、空ノさん。感想返しに参りましたとよきちですよぃ。

それではさっそく~

面白かったです。テレビの『本当にあった怖い話』に出てきそうなタイプのお話でした(笑)

ただ、一点。他の方も言っていることなので恐縮ですが、冒頭の主人公の理由が最後まで頭にひっかかってました。原因不明の病気にかかった妹。……まさか妹が――? とも思ってたのですが違いましたね。
純真な主人公が可哀想な目にあってエンド、というのはなかなか読後感はよろしくはないと思うので、痛い目をみて当然というようなキャラにすれば良かったかなぁと。
名探偵のほうのコナンでも、とりあえず今から死ぬやつは視聴者をむかつせる行動をとりますよね。そいつが死ぬ事で視聴者が『可哀想に……』という感情から『ザマァw』という感情にシフトさせることでキャラの死を受け入れやすくさせているんだと思います。
この物語の主人公の場合、全体のバランスとしても器が小さいほうがベターかと。

とは言え、その他設定や文章に関しては本当にお見事でした。面白かったです。

拙い感想ですが、ここまでで。一個人の感想ですので作者様のほうで取捨選択をお願いします。

それでは空ノさん、ごちそう様でした!

AQUAさんの意見 +30点2012年12月27日

こんばんは。たぶんホントに初めましてでしょうか。作品拝読しました。
一読後の感想は「うん、オモシロ怖い!」です。
こういうストンと落ちる感じ、まさに掌編の妙ですなぁ。

大事な導入部分もすごく分かりやすくて、とてもスムーズに世界に入りこめました。
その後も森の絵が浮かんできて、女の狂気も伝わって……。
そして「一回だけ」という言葉の捻りも、盲点でした。納得。

指摘するポイントをうーんんと捻り出してみるとすると、他の皆さんがおっしゃっているような、小さなツメの甘さみたいな部分でしょうか。
入れ替わりネタ&読後感の悪さといえば、電撃リトルリーグ第一回の「スイカ頭」の話が参考になるかと思われます。
つまり、バッドエンドそのものはアリということで。
ただ可能であれば、主人公キャラを高校生くらいにして、彼らが身近に感じている「やらしい悩み」を取り扱うといいカモ?

※例えば「いじめっ子を殺してくれ」とか言ったとして、一度願いが叶った後、取り消されるときにどーなるか……等の矛盾についても、できれば潰しておいた方がよろしいかと。
「自分に関することなら」何でも叶えてくれる、とか?

ではでは☆

bambookさんの意見 +30点2012年12月29日

 ども、bambookと申します。
 拝読させて頂いたのでご感想を。

 完成度非常に高いですねw すんなり溶け込んでいく、よくできたお話だと思います。掌編ゆえの面白さと、おいおいこれからどうなるんだ続きが気になるじゃないかという次作への期待を覗かせるのがいいですね~。

 では今後の参考までに幾つか気付いた点を。

 文章、描写は非常によくできているかと。憧れ見習いたい領域ですね。スッとお話を読めましたし、後味も納得のいくものです。

 で、指摘するとしたら内容の方になるのですが……細かい点で不可解な部分があるものの、掌編でそこまで気にするのはいかがなものかと思う所でもあります。説明文増えるとこのスッとした読み味がなくなる気もして。

 説明不足というかそのおかげで主人公や不死となった女性のこの後が気になるよう収まっているのですが、気にする人はそこが気になるかな? これはもう個人趣味の領域だとも思うんですが……。

 あとは……三人称視点で描かれているのですが、最後の部分の尺が短いので、章というか節でわけられてると「あ、ここはこれだけか」みたいな印象はあります。だからといって長くしろというわけではなくて……えーと、最後の老婆帰還を含めた視点というか……うーん。結論前の◆取り払ったら逆に変になりますかね? ……変になりそうですね。すいません、なんか抱いている違和感みたいのをうまく文章にできません。なんとなく伝わればよし、伝わらなければ深く気にすべき点ではないのかと。

 以上、僭越ながら感想とさせて頂きます。ではでは

にぼしさんの意見 +20点2012年12月29日

 願いが叶うって聞いて「ギャルのパンティーをおくれ!」ってセリフが再生されてしまった。

 どうも、空ノさん。にぼしです。
 感想返しにきました。

 願いを一つだけ叶えるってそういうことか。
 うまいですね。

 文章もいいですね。シリアスな空気がとてもよく伝わってきて、読んでいて引き込まれる感じがしました。

 個人的にはハッピーエンドを見たかったのですが、二千字じゃあやっぱりきついですよね……。詰め込んだら作品の良さが潰れそうだ。

 他には……特におかしいところはありませんでしたね。

 感想は以上ですね。

 また次回作もみたいと思います。
 執筆お疲れ様でした!

インド洋さんの意見 +30点2012年12月30日

 こんばんわ、インド洋です。
 拝読させていただきましたので以下に感想を残させていただきますね。

 率直な感想として、お題と文字制限を考えた上ではありますがかなり完成度の高い作品であるように思いました。オチも予想外のところでストンっと落とす感じがよいですね。ひとつ気になったところを上げるとすればお題の「あの人」という部分がちょっと弱いかなという点ぐらいでしょうか。

 正直、お題ありの2000文字縛りだと20点までかなとも考えていたのですが、一度自分で書いてみて苦労を知ったという点もあり、今回はこの点数とさせていただきました。
 総括としましては、落とし方の方向性が予想していたものと違っていた点が個人的にはいちばんよい部分だったように思います。


 短く拙い感想で申しわけありませんが、以上です。
 ではでは~

ミチルさんの意見 +30点2012年12月30日

空ノさん
 こんにちは、ミチルと申します。御作を読了いたしました。やられたな、というのが率直な感想です。僕も似たようなアイディアを持っていたのですが、御作の方がはるかに鮮やかでした。暗い未来を想像させる、恐ろしいお話でした。完成度も高かったです。
 文章も読みやすく、物語に引き込まれました。挿入部分に無駄がなく、読者の想像を掻き立てます。たった一つの願いを叶える、という言い回しの印象が読後にがらりと変わるのもお見事です。
 
 惜しいのは、桜の木である必然性をあまり感じなかった事でしょうか。重箱の隅をつつくようですが、お題が藤だったら『たった一つの願いをなんでも叶える藤の花がある』と変わりそうな気はしました。気のせいでしたらすみません。御作の雰囲気だとなんとなく柳のようにゆらめく、しだれ桜っぽい木が似合う気はします。

 とりとめのない感想になりましたが、面白かったです。これからも執筆を頑張ってください。

香椎 涼さんの意見 +40点2012年12月31日

空ノ様
はじめまして、香椎涼といいます。

同じ電撃チャンピオンロードのお題ということで拝見しました。
読んだあと、おお、なるほどと納得させられました。良さのすべてはこのオチにある気がします。読み返してみると、冒頭にも同じように願いを一つといっているのですね。見事でした。
実は少しだけ読んだことを後悔しました。同じ電撃のお題として作品を出すのに、僕のときたら比べ用のないくらいダメダメなのでw

んー、特におかしいなと思う部分はないです。普通に楽しく読めたとしか感想が出てこない感じです。すみません。

それでは、執筆お疲れ様でした。

虚田さんの意見 +40点2012年12月31日

初めまして。虚田と申します。
拝読致しましたので、感想を書かせて頂きます。

「凄ぇ……」
読了後、思わず呟いてしまった一言です。

話の展開自体は、際立って斬新、という訳ではないのですが、最後の2行、ここに本作の凄さが集約されています。
ただ、「何でも願いを叶える」という設定だけなら、恐らく多くの方々が考えるとは思いますが、その代償、願いを叶えたモノの末路、読後の戦慄感までをも演出するラスト、お見事でした!


「妹を苦しめる原因不明の病」や、「一つだけしか願いを叶えられない、という真相を知ってしまい、葛藤する」などの要素を組み込めば、短編、一話完結型の連作、あるいは長編に発展できるかもしれませんね!

楽しく読ませて頂きました。
次回作もお待ちしています!

かき氷さんの意見 +10点2012年12月31日

空ノ様へ。

こんにちは、かき氷です。私の作品にご感想をくださり、ありがとうございました。
御作を拝読致しましたので、感想返しをさせていただきます。

なかなか魅力的な設定ですね。読んでいて、話にぐいぐいと引き込まれました。恒川光太郎氏の 『神家崩落』 を彷彿とさせますね。あちらは主人公が神家という家に囚われ、出て行くためには最低でも誰か一人は神屋に身代わりとして置いていかなければならないという設定でしたが、この待合桜は更にエグい。
囚われるだけでなく、生命力をも吸い取られる。しかも、あらかじめ準備をしていかなければ水も食料もなしに耐えしのがなければならない。途中、願いを叶えてもらえるだけ良心的な所もあるか? とも思いましたが、それも一時的にしか適わず。……エグいなぁ(誉め言葉です)。

が、やせ細った女が鞄を引っ掴んだり、成人男性を押し退けられたり、逃げるように走り出せたりしたことに違和感。
……あなた、一週間も飲まず食わずだったのにずいぶん元気ですね。しかも、口の中もからからのはずなのによく語りますし。おまけに生命力も吸われてると。
包丁をわざわざ用意して来たくらいなので、噂が真実であると確信に至った何かや、囚われるという情報を事前に得て水、食料の準備をして来たという可能性も否めませんが、しかし、
>>「私もあなたと同じパターンで囚われたのよ」
とも言ってるので、ちょっと無理やり過ぎるかな?
>>「桜の木の下で死神と寄り添い、奇跡の待ち合わせ。だから待合桜。ぜひ、次の餌に教えてあげるといいわ」
というのも、彼女自身そうやって教えられたかのように感じられますし。

余計なことかもしれませんが、仮に矛盾をなくすとしたら女に「あなたの知る噂は正確ではないわ」と語らせ、更に既存のセリフも微調整してみるのはどうでしょう?
噂は、〈願い事を叶えてくれる桜の木〉ではなく、〈ある桜の木の側に長い間居続けると願い事が叶う〉などとし、加えて主人公はその噂の断片だけを知ってやってきたと。
これなら、女がある程度の準備をして来ることもでき、矛盾をなくせ、更に断片しか主人公は知らないので冒頭の噂もそのままに展開できます。
それに、修正も少しで済むので文字数もかさばらない。
下手に噂を変えてしまうと御作の雰囲気を損ねたり、ミスリードを狙っていることを感づかれてしまう恐れがありますが、噂の断片しか知らない主人公視点=読者視点として基本的に話は進むのでその心配もありません。

もしくは一番手っ取り早い方法として、女がいた期間を一週間ではなくもっと短くするというのはどうでしょう? これならある程度は体力を残せ、色々と語らせることもできるかもしれません。

なお、本来は+20点としたい所ですが、前述の点が気になったもので評価は+10点とさせていただきます。……厳しめの評価ですいません。

しかし、文章、ストーリー、共に大変魅力的なお話でした。
あくまで数いる読者、その中の一意見、感想に過ぎませんので、空ノ様が参考になると思われた所だけを役立てて貰えれば幸いです。

空ノ様、どきどきする一時をありがとうございました!

unyaさんの意見 +30点2013年11月11日

オチがとっても良かったです。
桜の秘密がとっても怖くそして魅力に感じる作品でした。
あの後の主人公の行方と「変わらない姿のまま死なない女」のこの先が目に浮かぶようです。

本さんの意見 +40点2014年03月22日

こんにちは。はじめまして。
最近このサイトに来ている本です。
拝読させてもらいましたので、感想を一つ。

とっても読みやすかったです。二千字以内でここまで書けているなんてすごいです。
ホラーは大の苦手なのに、話しにのめり込んじゃいました。最後まで読んで、意味を理解した瞬間にゾゾゾッとしました。

ホラーとミステリーがうまく書かれていて、良かったです。
文章もつまることなく読めました。

短い感想ですいません。それでは。