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クリスマス・テロル―invisible×inventor
講談社ノベルス創刊20周年記念密室本 メフィスト賞作家特別書き下ろし作品 “密室本”最大の問題作、あるいは傑作。孤島密室! 女子高生・冬子が「本物の衝動」に突き動かされてたどり着いた見知らぬ孤島。 そこで出会った青年から冬子はある男の「監視」を依頼される。 密室状態の岬の小屋に完璧にひきこもり、ノートパソコンに向かって黙々と作業をつづける男。 その男の「監視」をひたすら続ける冬子。 双眼鏡越しの「見る」×「見られる」関係が逆転するとき、一瞬で世界は崩壊する! 「書く」ことの孤独と不安を描ききった問題作中の問題作。あるいは傑作。
それはきっと私たちの中にも潜在的にある感情の一つ。 しかし、主人公の冬子が出会ったのは、抑制や我慢でどうにかなる類の「衝動」ではなかった。 むしろ、それだけでどうにかなってしまう「衝動」は、本物とは言えないのかもしれいな。 「本物の衝動」 その衝動に、何の前触れもなく出会ってしまったら? 相変わらず、ことごとく壊れた登場人物。最悪で、ある意味最高なラスト。今回も炸裂。佐藤節。 状況への回答の正当性。 リアリティを切り捨てた佐藤の作品ならではの楽しみ方がある。 (それは西尾維新にも言えるのだけれど) フリッカー式からは確実に成長している作者の人物描写力。 飛びぬけてイカれて飛びぬけてイカす登場人物の掛け合いを楽しんで頂きたい。
どこかがかみ合わない佐藤元哉の作品を顕在するような登場人物だと思っています。 その台詞回しと後半の壊れっぷりに、どうしようもなく惹かれてしまう。 案の定最後の最後まで幸せになれないのだけれど、 その最期は「一心 岬」の人物に最適のものだったと。 そしてその凄まじい最期にさえ、美しさを感じずにはいられない。
佐藤らしいと言われればそうなのしょうが、 今作のテーマである「密室」その肝心のトリックが「アレ」では、 少々読者達も納得できないような気もする。 致命的なお話なのだけれど、 それが「佐藤 元哉」の作者の味であったりするのだから中々、侮れない。 「純粋な推理小説を楽しみたい」人にとっては、この作品は鬼門だと言ってもいいでしょう。 むしろその人に私は、佐藤の作品そのものをお勧めしない。憤慨するのが目に見えている。 ――佐藤の本領は「トリック」にあるのではなく「壊れた人物」の描写にある。 それを納得した上で、楽しみたい一冊。
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キリサキ
姉さんより大切なモノなんて何一つなかった。 ずっと一緒に。それ以上、何も望まなかった。 けれど、姉さんはいなくなった。あの日、あの瞬間、始まったのだ。――すべてが。 僕は、死んでいた。 最期の瞬間は覚えていないが、気付いたそこにはいわゆる三途の河原、ってやつだ。 「君のようなものに進むべき道を示唆する案内人だよ」目の前に現れた、死神のような案内人。 まだやり残したことがあることがあると言う俺に、案内人は新たな身体を与える。 霧崎いづみ、という女の身体を。新しい生活。新しい身体。 霧崎いづみとして生活する俺に、ある日、転機が訪れた。クラスメイトの死。 犯人は、世間を騒がす連続殺人犯“キリサキ”だと言う。 ――なぜだ。なぜ今“キリサキ”が現れる? そいつはこの世に存在するはずがない。 なぜなら“キリサキ”は……。俺は“キリサキ”を追うが―。 戦慄のサイキック・サスペンス。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 田代 裕彦 第三回富士見ヤングミステリー大賞受賞「平井骸惚此中ニ有リ」で小説デビュー
連続殺人犯「キリサキ」を中心に物語は進むのですが、結末は予想がつきませんでした。 最後まで「どうなるの?」と思いながら読み進めてしまいます。 なにより物語の始めの1行で主人公が死にます。 これほどインパクトのある冒頭を初めて読みました。 (ここから先はネタバレです。) 主人公である「俺」が女子校に通ったりというところは面白いというかとても痛快です。 「キリサキ」の話も進めつつ女になってしまった「俺」と、 ナヴィの会話や行動は読んでいて楽しいです。 しかもそんな中に意外な伏線がたくさんあるので油断できないです。
主人公「俺」とナヴィです。特にナヴィは喋り方が素敵です。
しっかり読んでいれば大丈夫だと思います。
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