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走って帰ろう!
「馬鹿野郎。人生はいつだって突然の連続だ」 告白した女の子にあっさりフラれ帰宅した平凡な高校生、速見卓也を待っていたのは、 夜逃げした両親の残した12億5千万円の借金と、黒いスーツにグラサンのヤクザだった! 借金を返すため、卓也はサラブレッドのオーナーを夢見るヤクザ、原田のもとで、 非合法自転車レースの選手となる。 『倒産』『丘サーファー』『ブロイラー』『委員長』『赤い彗星』、 奇妙なレースネームと莫大な借金を背負った仲間と走る一周2.4キロの周回レース。 走行妨害、落車、ドーピング、仲間の死……その中で卓也がしかける大勝負とは!? ドライな感性で描く、渾身の青春サバイバルエンターテインメント! 第7回えんため大賞優秀賞受賞作登場!!
同じスポーツ題材作品である銀盤カレイドスコープぐらい学園の関与は実に薄いです。 『学園を日常。戦いを非日常』とするライトノベルが多く、 ページ数の半分近く(またはそれ以上)を学園を中心とした日常描写につぎ込む作品が多い中、 この作品は主人公が借金まみれになりながら、なおも学生であり、 それが作品中で重要なファクターになっているにも関わらず、 学園シーンはほんのわずかしかありません。 主人公の日常スケジュールを考えると明らかに学園にいる時間の方が長いにも関わらず、です。 作品のテーマを語るのに必要のないエピソードはばっさり切る、 という態度が実によく出た作品ですね。 上記のように、学園だけでなく作品全体の構成が、 ほとんどテーマを語るためのエピソード群を並べたものとなっております。 キャラクター紹介的エピソードもなく、大体のキャラがレースシーンで登場し、 そのレーススタイルと背景でキャラを描ききります。 中にはセリフが一切ないのに、性格だけはなんとなく掴めそうなキャラもいたり……。 そんな感じで、主人公の心理描写も含めてひたすら行間を読ませます。 ヤクザが経営するというアンダーグラウンドな非合法レースが舞台というのも、 ストーリー全体に緊張感を、主人公に不安を与え続けます。 それらの恐ろしさを描くエピソードの数々は、 ヘタにサブキャラやらヒロインやらが惨殺されるよりよっぽど重く、 作者のストーリー構成におけるセンスの良さが光ります。 なんだかんだで読後感は爽やかであり、後腐れが少ないのも気分が良いです。 エ○ゲ化が進みつつあるライトノベル群には飽き、 少年漫画的なスポ根モノも別に求めない、という貴方にぴったり!
本編の主人公。 多くのキャラが通称名で、かろうじて主人公は本名がわかるものの、敢えてレーサー名で。 後ろ向きな思考は持つものの、前向きな姿勢で、 挫けそうになったり投げ出しそうになったり怪我をしたりしても、ひたすら走り続ける。 なぜ走るのか? どこへ向かって走るのか? それが本作のテーマです。
しかも昨今流行の多くのライトノベルにケンカを売っているかのような構成です。 オマケに専門用語乱発です。 好きじゃないと付いていけないです。
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花咲かす君
「花咲じじいが出るらしいよ」 葉月の親友・真帆が、弓道部の安城先輩から聞いた話は、あまりにばかげていた。 先輩のクラスの生徒が、花咲じじいにつかまり、魂を抜かれて花びらにされてしまったというのだ。 真帆は真剣だが、葉月は当然、まじめにとりあわない――。 しかしその後すぐ、真帆が家で倒れ、そのまま昏睡状態に陥ってしまった! 桜の古木をめぐる学園ファンタジー。 2002年度ノベル大賞受賞作家、デビュー!
主人公葉月の能力、 そして彼女と行動を共にする桜の木の神の少年の関係も、日本神話に基づいたものです。 派手な戦闘シーンはありませんが、 日常生活で人が抱える悩みや心の闇をしっかり表現しています。 そしてそれが読んでいて苦痛ではない。 読み終わったあとに確かな感触を得られる物語です。
素敵な人です。 心を老いさせない、前向きで活力に溢れた生き方をしています。 理想です。
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