戻る 目次へ戻る 次へ

竹宮ゆゆこ&駒都えーじの強力タッグが贈る青春ラブコメ。

ゴールデンタイム


ジャンル学園
著者竹宮 ゆゆこ
出版社:電撃文庫
発行年月: 2010年09月
本体価格 530円(税込 557 円)
愛怨アリスさん一押し!(女性)

■ 解説                               

 晴れて大学に合格し上京してきた多田万里。
 大学デビュー、東京デビュー、ひとり暮らしデビュー、と初めてのことづくしで浮足立つ彼は、
 入学式当日、不意打ちにあう。
 圧倒的なお嬢様オーラ、完璧な人生のシナリオ、得意なのは一人相撲。
 襲撃者の名は加賀香子。薔薇の花束を万里に叩きつけた彼女は、
 万里の友達でもある幼馴染みの柳澤を追いかけて、同じ大学に入学してきたという。
 そんな眩しくも危うい香子が気にかかり、放っておけない万里だが―?


■ この作品について、熱く語ってください!            

 『とらドラ!』でメジャーになり、『わたしたちの田村くん』も執筆した竹宮ゆゆこさんの新作です。

 今回は前の2作のほんの少しの面影を残しながらまったく新しい作風に仕上がっています。
 『イラスト担当さん』は駒都えーじさん。
 竹宮ゆゆこさんが『イリヤの空 UFOの夏』のファンだという話もあり採用されたのではないかと。
 そして、『挿絵』は一切ありません。
 表紙、裏表紙、冒頭の折り込みカラーイラスト、章の始まりごとに小さなイラストがあるくらい。

 一番画期的なのは『大学生』、『上京』、『法学部』というキーワード。
 
 特に『法学部』は後半になっていくと、
 以後の巻に影響してくるのではないかと思わせられる空気になっていきます。

 主人公の多田万里には18歳までの記憶がまったくありません。
 たまに意味深に万里の幽霊が、万里たちの情景を地の文で語っています。
 この『万里の幽霊』もかなり印象が薄いのですがとても重要な人物でもあります。


 描写や全体的のイメージからすると本当に印象が薄く、まさに『幽霊』なんです。
 でも、この『万里の幽霊』が出てくる度に『そういえばいたんだ!』と思わされてしまう。
 印象が薄いのですが逆に存在感のある存在でもあります。

 ヒロインと『思われる』、加賀香子。
 前作『とらドラ!』の逢坂大河の様な存在……
 完璧さを演じる、脚本するヒロイン。

 香子は主人公が大学の入学式で知り合った友人の小学校からのストーカーのようなものです。
 ストーカーなのですが、わたしにはあまりうざさを感じさせませんでした。

 
 いうなればコミック版『おそるべし!音無可憐さん』の可憐さんが
 ストーキング相手以外に見せる意外さがかわいらしい。
 それでも好みによって印象は分かれるかなと。
 
 恐らく誰もが『とらドラ!』と同様の展開と過小評価してしまうかもしれない。
 しかし、まったく違う展開が待ち構えています。

 地の文章は逸脱しています。
 香子の髪の毛の動き、口元、表情、ひとつひとつの細かい仕草……
 他の登場人物にもこのような細かい描写はありますが香子の描写はダントツ。


 読んだ後も心に残ります。
 風景や街中を歩く様子……授業風景……文章がすんなりと心に浸透していく。
 人工の文章ではなく、まるで自然物のような透明感。

 物語の最後にはとても気になる展開が待ってます。

 その展開は竹宮ゆゆこさんが意識している高橋留美子さんの作品や
 80〜90年代のアニメやドラマが連想されます。
 ドラマ版『いたキス』の各話のラストの区切り的な……

 まだ1巻読後ですが2巻以降の発売も気長に待ちます。
 とにかく続きが気になってしまう作品です。


■ お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?  

 全員です。
 いじめっ子たちもいい味は出てるし、完全な脇キャラもかなり性格が肉づけられている印象。
 
 主要人物たちに関してはライトノベルのキャラクターさをなぜか感じさせられない、
 とても自然でリアルな存在感があります。


■ この作品の欠点、残念なところはどこですか?          

客観で。
 
・挿絵がないと文句をいう人もいるでしょう。
・また、『とらドラ!』ファンはとてもとっつきにくい。
・『ライトノベル』と定義していいのかわからない。


・自分的には『田村くん』と『とらドラ!』よりかなり読む時間がかかり、
 文体や描写はすごく好きなのになぜか読みにくい……
・あとはパロディを入れるのは控えてほしかったかも。
・パロデイは竹宮ゆゆこさんらしくていいのですが、
 やはり新しい作風として書いてほしかったこともあります。
・おそらくこの先映像化してしまうこと。

 あと、『ライトノベル』として出したのはとても惜しい。
 普通の恋愛小説でも通用できるはず。


■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)     

最高です!一押し。
おもしろいです!オススメします。
なかなか良いと思います。
ふつうです。
イマイチです。
おもしろくないです。
買うと損します。


-Mini Vote-
『ゴールデンタイム』のご注文はこちらから >>>

最後の日まで、あと1年。彼らはその時を待っている。

最後の夏に見上げた空は


 ○読者投票結果
 最高です!一押し。 31
 おもしろいです! 12
 なかなか良いです 8
 ふつうです 0
 イマイチです 1
 おもしろくないです。 1
 買うと損します。 0

ジャンル学園
著者住本 優
出版社:電撃文庫(メディアワークス)
発行年月: 2004年12月
本体価格 590円 (税込 619 円)

星の欠片さん一押し!(女性・13歳)

■ 解説                               
 
 かつて起こった戦争に投入されるはずだった兵器―『遺伝子強化兵』。
 無理な遺伝子強化によって望まない力を手にした代償は、
 17歳の夏に死んでしまうという運命だった。
 平和になった今―16歳の、最後から二番目の夏。
 それまでの記憶を全て失った強化兵の少女・小谷順子は、編入先の高校の門をくぐっていた。
 しかし、その高校はものものしい塀と鉄条網、銃を持った警備員に囲まれていて……
 最後の日まで、あと1年。彼らはその時を待っている。
 あがくように、あるいは諦めたように。せつなく胸をしめつける短編連作登場。


■ この作品について、熱く語ってください!            

 最初に繊細な絵に惹かれ、次に題名からして哀しい話なんだろうなぁと、
 ぼんやりと感じてこの本を開きました。
 最初は綺麗な絵を見て読み始めた私でしたが、

 私は2時間かけ、全三冊立ち読みで読破しました。

 私がこの本を見つけたのはすでに完結した後だったので、一気に読んでしまいました。
 それほど先が気になります。

 この小説を読んでいる間、私の心の中は期待と不安でいっぱいでした。
 ありきたりな言葉ですみません、けれど本当にその通りだったんです。


 戦争の為に遺伝子を弄られ、望みもしない力を手に入れた代償は、17歳になった時に待つ「死」。
 暖かく優しい空気の中で、しかしその言葉がいつでもつきまといます。
 あらすじを読んだだけでは、きっと、この物語の中心人物・小谷順子は死んでしまうだろう。
 けれど、最後の最後のどんでん返しで、もしかしたら、
 彼女を想う名門さんと幸せになれるかもしれない。けどやっぱり……。
 と、読んでいる間は勝手な心の葛藤で、貪るように文章を読んでいってしまいます。

 「遺伝子強化兵」という、自分ではどうにも出来ない運命に振り回された少年少女達は、
 短い命を精一杯生きていきます。
 とても透明な文章が綺麗で、それによって哀しさと切なさが、胸をいっぱいにします。

 ラストでは、私は店頭であるにもかかわらず涙を零してしまいました。
 本当にぼろぼろと、人目も構わず泣きました。


 ライトノベルで泣いたのは初めてで、本を濡らさないように必死でした。
 それが嬉しさの涙なのか、切なさのなの涙かは、皆様が読んで確かめてください。


■ お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?  

 やっぱり主人公である二人が好きです。
 名門さんは、不器用な優しさが本当に哀しくて、胸が締め付けられます。
 一人の大切な人のためにこれほどできるのかと、私はこの人が大好きです。

 小谷さんの方は、少し天然で憎めません。
 でもどこか芯が強くて、こんな女の子になりたいと思う、私の理想像と一致します。
 二人が絡む場面が好きで、そっけない名門さんと、一生懸命な小谷さん。とても微笑ましいです。


■ この作品の欠点、残念なところはどこですか?          

 短編なので、すこしだらだらとした感じが否めません。
 そういう雰囲気が苦手な方は、無理だと思われるかもしれません。



■ あなたはこの作品についてどう思いますか?(読者投票)     

最高です!一押し。
おもしろいです!オススメします。
なかなか良いと思います。
ふつうです。
イマイチです。
おもしろくないです。
買うと損します。


-Mini Vote-
『最後の夏に見上げた空は』のご注文はこちらから >>>

あなたの知っている隠れた名作を教えてください
 
 一押しのライトノベルのレビューを大募集中! 投稿してくださる方は、

 『一押しのラノベ募集係』 『一言感想係』 よりお願いします。
その小説、105円で売られているかも……

戻る トップへ戻る 次へ