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シリアスレイジ
疫学史上最悪のウィルスが蔓延し、自然環境が一変した世界。 17歳の守屋篤志は、変異した環境の調査やサンプルの採取を行う「変異種採集者」を目指す一人だ。 実習に参加するも、周りはエリート気取りの嫌味な奴らばかり。 だが、学園の人気者、神崎財閥の令嬢・栞は篤志の隠された実力を見抜き好意を抱く。 そんな中、予期せぬ事態が発生する。 監督官の変異種採集者たちが突如決起、実習生を人質にし犯行声明を発表したのだ。 一人逃れた篤志は考える。進むべきか、退くべきか。 相手は戦闘・サバイバルのエキスパート…。 栞たちのために、篤志は孤独な戦いに身を投じるのだが。
主人公が素敵です。ていうかストーリーの作り方が。 AMAZONの書評とかでも書いているのでネタバレにはならないでしょうが、 とあるウィルスの流行によって激変した世界を舞台に、 それを調査する変異種採集者(レイスハンター)を目指す少年が主人公なんですが、 まず彼が熱血君です。 そして、それを支える人々や、敵の一人一人にしても、一本芯が通った、 人間らしいキャラクターに仕上がっています。 新しい世界の状況とかも、凄くリアルに頭の中で再現できます。 1巻ごとにだいたい一つ〜二つ事件が起こるんですが、凄くスリリングです。 イラストも素敵です(まぁ、私の好みなだけですがw)。 読み始めたらズルズル〜っと読みつづけてしまうくらいはまりました。 本音を言うともっと続けて欲しいくらいです。 全7巻で、だらだら続かないので、財布の調子が悪い人にもオススメです。 中坊の私でも揃えられました(笑
とりあえず一巻中で一人げます。ネタバレあるんでご注意を。 守屋篤志:主人公です。 今時のさめたカッコ付けじゃないですw ていうか彼は素晴らしいですよ。苦労人ですが。 1〜7巻中で三人挙げるならば(上記を除いて) 1・菱緒先輩:のんきな科学者(マッドサイエンティスト)ですが、 本気出した時はおおおおお〜と思いましたね。 2・ジュリア・スチュアート・ダービッツ:6巻で登場しますが、凄く複雑な関係の女性です。 人生をダービッツ家の血という存在によって大きく変えられてしまった人です。 相棒のミナーエフとの会話は時に切なくなります。個人的には守屋君を超えるくらい好きです。 3・神楽真:ある意味一番腹黒いかもしれません。 生い立ちも相当複雑な経緯を経て今に至っていますし、 軽く見せかけて実は誰よりも熱かったりと、ジョーカーみたいな奴です。 機械の操作も、菱緒先輩には及ばないものの堪能で、レイスハンターもできる、超人みたいな奴です。 もっと小者系かなと思いましたが、裏切られました。
まぁでも、巻が進むほどに解消されていきますが。 ちょっと強すぎなキャラが多い気がしますが、個人的には嫌いじゃないですね。 以下ネタバレ ゾディアックとの戦闘を終えて、日常に戻った篤志が、栞や大牟田さんたちと共に、 レイスハンターとして世界を駆ける、みたいな物語もできれば書いて欲しいですね。
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終戦のローレライ
1945年、夏。彼らは戦っていた。誰にも知られることなく、ただその信念を胸に。 昭和20年、日本が滅亡に瀕していた夏。 崩壊したナチスドイツからもたらされた戦利潜水艦・伊507が、 男たちの、国家の運命をねじ曲げてゆく。 五島列島沖に沈む特殊兵器・ローレライとはなにか。 終戦という歴史の分岐点を駆け抜けた魂の記録が、この国の現在を問い直す。 第22回吉川英治文学新人賞受賞。
着実に「敗」の文字が迫る大日本帝国の、 海軍の教官として漫然とした日々を過ごしていた絹見(まさみ)少佐は、 ある日突然「非常に高位な人物」からの招集を受ける。 絹見を呼び出したのは、軍令部作戦課長の浅倉大佐。浅倉は、絹見に極秘任務を命じる。 「戦利潜水艦、伊507の艦長に任ず。 太平洋の底に沈む特殊兵器『ローレライ』の回収任務にあたれ」 秘密裡に集められた乗組員は、 何故か海軍の「規格外品」とも言うべき一癖も二癖もある者ばかり。 アメリカ海軍からの襲撃、元ナチス将校の叛乱などを経て回収した兵器『ローレライ』の正体は、 人間の少女だった――。 この作品、登場人物の書き込みが非常にリアル。 脇役というモノがほとんどおらず、全てのキャラクターが過去に何があって、 何を感じて今に至るのかが克明に表現されている。 誰が主人公なのか微妙という側面もあるが、そんな問題が些細に思えてしまうほど、 全てが物語の歯車として重要な働きをしている。 ナチスドイツの人体実験の末に生まれた超能力少女を、日本とアメリカが取り合う―― という要約も出来る。しかし、とにかく様々な「物語の軸」が存在している。 人間兵器少女と、無力感に苦しめられる少年兵のラブストーリーという軸があり、 歴史の狂気に翻弄された孤独な兄妹の戦いという軸があり、 よく読み込めば案外似たもの同志である絹見と浅倉の対決という軸がある。 ライトノベルという分類はされていないが、 キャラクターとストーリーが見事に融合している様は必見。
強いて言うなら元ナチス将校のフリッツ・シンヤ・エブナー少尉。 日系というだけで妹のパウラと共に人体実験施設に収容され、 さらに大切な妹が超能力に目覚めて兵器化されてしまう。 プライドもモラルも全てを捨て、憎むべきナチスの一端に加わった彼は、 「恐怖を克服するために自らが恐怖になる」という信念を抱いて心を閉ざす。 簡単に言ってしまえばシスコンもとい妹思いの兄貴だが、潜水艦の日常や戦いを生き抜くにつれ、 「パウラの唯一の肉親」から「伊507の乗組員」と変化していく。 また、敵キャラの浅倉大佐。華族出身の生真面目な青年と評判だった彼が、 いかに「歪んで」いったかという経緯は凄まじいと思う。
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