すでに地球は”妖精さん”のものだったりします。

人類は衰退しました

ジャンル：ＳＦ 著者：田中 ロミオ 出版社：ガガガ文庫 発行年月： 2007年05月 本体価格 571円 (税込 600 円)

すとれんじているさん（男性・１８歳）　ボトルさん（男性）一押し！

■ 解説

　わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。
　すでに地球は”妖精さん”のものだったりします。
　平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。
　わたしは、そんな妖精さんと人との間を取り持つ重要な職、国際公務員の”調停官”となり、
　故郷のクスノキの里に帰ってきました。
　祖父の年齢でも現役でできる仕事なのだから、さぞや楽なのだろうとこの職を選んだわたしは、
　さっそく妖精さんたちに挨拶に出向いたのですが……。
　
　美少女ゲーム界のカリスマシナリオライターが満を持して小説家デビュー。
　田中ロミオが長年の経験と風聞を駆使して挑む、全方位対象の新境地。

■ ボトルさんの書評

　自称「ウィンドウズ用アプリケーションソフトに使用されるテキスト・データの作成」を生業とした人の作品。

　ほのぼのとした雰囲気、雰囲気のわりに奥の深い内容、生活面までよく練られた世界観、
　徹底的に排除された専門用語、癒し系の雰囲気に潜むブラックユーモア……。

　さすがに長年エロゲ……ゲフンゲフン、テキスト・データを作ってきたベテラン。

　そんじょそこらのラノベとはクオリティが違います。


お気に入りのキャラはいますか？　どんなところが好きですか？
　勿論、妖精さん。
　無邪気にとんでもないことを言ってくれるところが好きです。
　可愛いものには毒がある。


この作品の欠点、残念なところはどこですか？
　特に無いと思います。

■ すとれんじているさんの書評

　著者・田中ロミオは、あとがきで言葉を濁していますが、本職はアダルトゲームのシナリオライターです。

　ただ、本人が「小学校の図書室に並べられる予定でした」と冗談交じりに話すように、
　１８禁ゲーム的要素は皆無で、むしろ一般的なラノベよりも健全なくらいです。

　率直に言って、異色のラノベです。
　１巻を例にとれば、恋愛もありませんし、アクションもありません。
　ほのぼのしたり、くすっと笑ったり、不思議に思ったり、そんな楽しみ方をする小説です。

　ゲームシナリオライター出身のラノベ作家は多いのですが、
　「絵ありき」の業界の人であるせいか情景描写が下手だったり、
　あるいは癖があって読みづらかったりなど、文章表現に欠点がある人が多いように感じます。

　しかし、田中ロミオの文章は非常に流麗でわかりやすく、けれん味がありません。
　また、「妖精さん」の言葉遣いがかなり秀逸で、良い雰囲気を演出しています。

　また、設定だけを見ると、ファンタジー小説であるように思えるのですが、
　その実かなりしっかりとしたＳＦです。

　たとえば１巻の「妖精さんの、あけぼの」は、「どこがＳＦなの？」と思われそうな話ですが、
　「社会科学(Social Science)のＳＦ(Science Fiction)」になっています。

　２巻の「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」は、某名作ＳＦ小説へのオマージュが取り込まれていますし、
　(それ以外にもこのシリーズは全体に、さりげないパロディが多いです)
　「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」は、
　「ドラえもん」のタイムパラドックスＳＦ中編「ガラパ星から来た男」を髣髴とさせる時間逆行ものです。


　この少々風変わりなラノベは、読書好きの間で高い評価を受けています。
　全国の大学の文芸系サークルの投票によって「一年間で最もおすすめの本」を選ぶ
　「大学読書人大賞」で、５位入賞を果たしました。
(１位から５位まで、全て１点差という大接戦だったそうです)。
　
　全国の読書家学生をうならせた、質の高い作品であると言えると思います。


お気に入りのキャラはいますか？　どんなところが好きですか？
　２巻から登場する「助手さん」です。
　このキャラクターの魅力を説明しようとすると、
　ネタバレになってしまいそうなので、詳しいことは言いませんが・・・
　是非、読んでみてください。


この作品の欠点、残念なところはどこですか？
　作品の独特の波長に合わない人には、きついだろうと思います。

■ 一言感想コメント

・現代から人口の減少をたどったという世界と、 「妖精」というメルヘンなものを組み合わせている。
　しかし、現実味を帯びている雰囲気である。

・途中で飽きる事無く、最初から最後まですらすら読めた。
　ライトノベルをたくさん読むようになって、こうなる作品がなかなか見つからなくなったので、
　最も面白い作品と言えばこれになる。

・常識無視+カオス表現が多め。

■ あなたはこの作品についてどう思いますか？（読者投票）

最高です！一押し。 おもしろいです！オススメします。 なかなか良いと思います。 ふつうです。 イマイチです。 おもしろくないです。 買うと損します。 -Mini Vote-

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奇妙な仕事が舞い込んだ。一年だけ結婚してくれ、だと？　お相手はあのクーア財閥の女王だ！

スカーレット・ウィザード

○読者投票結果 　最高です！一押し。 11 　おもしろいです！ 1 　なかなか良いです。 0 　ふつうです。 0 　イマイチです。 0 　おもしろくないです。 0 　買うと損します。 0

ジャンル：ＳＦ 著者：茅田砂胡 初版発行　1999年 07月 中央公論新社 価格（第１巻）900円 (税込：945円)

tanakaさん　珠翠さんの一押し！

■ 解説

　海賊達の王という異名を持つこの俺に、
　エネルギーと情報の二つを支配するクーア財閥の女王から仕事の依頼が。
　だが、出されたものは『婚姻届』だった。かなり異色な宇宙恋愛物語。

■ tanakaさんの書評

　なんと言っても個性的なキャラクターたちと展開の上手さですかね（笑）

　キャラ一人一人が確固たる信念を持って作中を駆け回りますね。
　相対的にキャラの全体的なイメージが似通っている感は否めませんが、
　それを補って余りあるかと。

　展開、一つの事件と新たな事件との繋ぎ方の上手さはやはり、目を見張るものがありますね。

　読者を飽きさせない。正に次から次へと事件が起こるという感じですかね。
　特に、同じキャラたちで続きものを書こうとなさっている方は一読の価値があるかと。

　個人的見解ですが、特に、男側から女側に対する気持ちの推移の仕方が安っぽくなく、
　好感が持てます。
　
　実はコレは恋愛に入れようか迷いました。
　あとがきで、作者が仰っているのですが、ハーレクインロマンスを意識して書いているそうです。
　実態は見事に違いますが。
　特に後半部分になると、ケリーのジャスミンに対する好意が度々示されることになるのですが、
　その描き方が、安っぽくなくて、好きですね。


お気に入りのキャラはいますか？　どんなところが好きですか？
　特に主人公たちと、周りの、ジンジャーやダイアナが好きですね。
　皆、自分の信念をしっかり持っていて、したたかに貫きとおしていくところですね。


この作品の欠点、残念なところはどこですか？
　キャラクター達の超人さ。

　多かれ少なかれ、ライトノベルの主人公達はスーパーマン、超人的な性質を持つ部分が
　あるのですが、この作品は特に、その部分が甚だしいかと。
　結局後付けする形で、補ってはいますが、普通、此処までになるのかと、少々疑問に思えたりもします。

　結局、主人公たちの超人さ加減に目を瞑れるかどうかで、
　この本を受け入れられるか、否かが決まってくるかと。

■ 珠翠さんの書評

　一押しと言われたら、これしかありません！

　出してる所が、マイナーなのでそれほど知られてませんが、知ってる人は知っている。
　まさに、ラノベの最高峰です。下はあらすじです。

『奇妙な仕事が舞い込んだ。一年だけ結婚してくれ、だと？
　お相手はあのクーア財閥の女王だ。殺しても死なない男がご希望だとか。
　理由や事情は知らないが宇宙きってのお尋ね者『キング・オブ・パイレーツ』向きの仕事じゃない。
　一匹狼の海賊の誇りをかけて決着を宙でつけることになったが…』

　男性女性、どちらにも楽しい話です。年齢もこれに関しては関係ありません！

　バックグランドがしっかりしていて、キャラクターも魅力的。本当に一押しです。


お気に入りのキャラはいますか？　どんなところが好きですか？
　主人公達が滅茶苦茶なところですね。

『男を押し倒すのがあんたの流儀かよ？』
『いけないか？』
『待てよ。これじゃ立派な性的いやがらせだぞ！』
『夫婦間でそんなものは成立しない』
『強姦なら成立する！』

　作中より抜粋した主人公二人の会話。

　色気がなさ過ぎて、笑いました。

■ あなたはこの作品についてどう思いますか？（読者投票）

最高です！一押し。 おもしろいです！オススメします。 なかなか良いと思います。 ふつうです。 イマイチです。 おもしろくないです。 買うと損します。 -Mini Vote-

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