ライトノベル作法研究所
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  4. 感動の正体公開日:2012/11/24

小説で読者を感動させるためには?感動の正体

 そこら辺にあるRPG7さんの質問 2012年11月22日

 私は思わず涙が出るような感動するシーンを書きたいのですが「そもそも感動てなんだ?」と考えになりました。
 気持ちが共感できる……違うな……
 大切なものを失う、泣くけど感動じゃないな……
 悲しい現実を破る……ベタぽい、ていうか感動しない……
 一体感動て何者なんだ?

●答え●

かーくんさんの意見2012/11/22

 こんにちは。

 例えば、絶望から一発逆転で大勝利とか、幸せを予感させておいて破滅させるとか、落差の激しい対極の感情を喚起させられるストリーだと、感情が揺さぶられる、つまり感動するということが心理学的に言えるそうです。

 もちろん、読者を感情移入させることが必要になります。感情移入させるには、登場人物の気持ちがわかる、こういうことってあるよね、と思わせなくてはなりません。
 それには普段からの人間観察や、自分の心の動きを知って、それを作品に反映させることが必要だと思います。

Smanさんの意見2012/11/22

 創作は不幸な人間の専売特許。
 ――などということはありませんが、その言葉の意味だけを考えると頷ける部分もあります。

 不幸の中のささやかな幸福(救い)といったものは古来からの王道展開として、現代でも感動を味わうことができます。ささやかな幸福を手にした代償が、さらなる不幸だったなんてオチも涙を誘うものがあります。
 このとき、ささやかな幸福や代償の不幸(例えば生きる糧になるだけの小さな幸せや、大切な人を失うといった不幸)、により感動を得るわけで、そこに注目し勝ちですが、こうしたシーンは感動のトリガーになっているだけで、トリガーだけを書いても意味をなさない陳腐なものに見えると思います。

 トリガーを引くには銃口を向けて狙いを定めなければ標的に当たらないわけで、感動のトリガーを引くためには、不幸なキャラクターがひたむきに生きている姿を書いたり、理不尽に負けず頑張って生きている姿を書くなどして狙いを定めなければなりません。

 むしろ、こうした人物描写や人間関係の描写が(書く際の)感動の本質であると私は思います。

 私が好む感動というのが不幸を題材としたものというだけなので、「不幸」以外にも涙を誘う方法は多くあるでしょう。私は苦手なのでここに書くことは躊躇われますが。

 こういう言い方はどうかと思いますが、感動作品というのは「感動できて当たり前」な作品なので、設定からして既に感動できる要素がそこかしこにちりばめられています。
 そうすると、当然のこと「泣ける要素」は共通してくるので、既存の感動作品をよく分析してみると良いと思います。
 まあ、そういうのは結局のところ言葉にすると陳腐なものばっかだったりするのですが。

あざらしさんの意見2012/11/23

 こんばんは、あざらしと申します。
 大変面白いご質問だと思いました。
 以下、あくまで個人的な感想全開です。(語尾が明言口調になっているのは、そういう理由です。ご了承を)

 私なりの結論から申しますが、『心を動かすこと』全てです。
 文字通り、感情が動く、です。

 本当は、感動とは何かを文字(言葉)で”端的に”表すことは出来ないと思うのです。
 言葉で伝わらない物は世界に確かに存在していて、そのために画家は絵を描き、作曲家は曲を創り、彫刻家は……と、キリがないのでこれぐらいにしますが、そもそも言葉で表せない以前に、言葉で語り尽くせないのが感動ではないでしょうか。

 だからこそ作家は一冊の本を通じて”言葉にならないこと”を、読者の心の中に産み落とす。
 これが感動の本質だと思いますし、ここに一般小説もライトノベルも区別はありません。
 短文で感動を生むというと詩や俳句がありますが、一文は単なる一文ではなく、その背景を”感じ取れる”からこそ感動を生みます。

 ちょっと方向性を変えます。

>一体感動て何者なんだ?

 ともかく、このご質問が出た時点で、そこら辺りにあるRPG7さんが何らかの作品に感動した経験があるはずですよね。
 けれども、その作品を未読・未見の人に対して、抱いた感動、その本当のところを伝えるのは無理だと思うのです。

 例えば『この本良かった! 感動した』という人に、どこが感動したか解説してもらったとしても、感動は伝わってきません。むしろ、もの凄く陳腐に聞こえるような事柄がクローズアップして伝わってしまうように思います。

 ですが、これが伝わるケースもあります。
 読書ならば、同じ本(A)を読んで”感動した”という共通の経験を持っている人同士の場合です。
 ここで伝わったのは言葉ではなく、(A)を読んだ経験、もしくは近似値の物語(や、経験)によって得た感動したという記憶、感情の想起であるはずです。
 これはもう言葉によって伝わったのではなく、物語が心に残した航跡であり、作家の功績だと思うのです。
(あえて言うならば、感動の源は、この感情の想起だとは思いますが)

 ちなみに、ご質問文中で3つ書かれていらっしゃる例ですが、小説においてどれもが感動になり得ます。
 これらの例。おそらくですが、そこら辺にあるRPG7さんご自身が感動した物語の”パーツ”ではありませんか?
 出された例をご自分で否定されているのは、『短い文章では簡単に感動が伝わらないから』ではないでしょうか。

 最後に余談になりますが。
 多少のお金と時間が許すならば、映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』 の視聴を強くお勧めいたします。
 人によって歴史に残る名作という評価から、最悪の映画という評価までキッパリと割れますし、直接的にライトノベルの参考として利用できる物語でもありません。(アンテナを張ってさえいれば、なんだって参考にはなるはずですが)
 視聴後にネットにある映画レビューで、様々な人の感想を読んでみてください。
 そこら辺りにあるRPG7さんが、どのような感想を持たれたとしても、少なくとも感動という言葉を用いる、起因する感情の奥行きと広さを実感されることと思います。

 音楽でもそうですが、寂しい曲や楽しい曲といった曲調に関わらず『感動した』という感想が生まれるように、物語においても感動は様々です。
 私としては、『感動とは=○○だ』という答えを出そうとすることは、そこら辺りにあるRPG7さんの今後の執筆に対して弊害があるように感じます。
 出来ることならば、答えを出そうとするのではなく、執筆を通して答えを追い続けて頂きたく感じました。(ニュアンスが難しいですが、答えではなく、ご自分なりの方程式を探すことはとても良いと思います)

 感動という抽象的な言葉が元ですので色々と話しが飛んでしまいましたが、ラノベど真ん中の感動パターンを吸収されるならば、ゲームソフトメーカーでkeyという会社(正確にはシナリオライターの麻枝准氏)が解りやすいと思います。
(言葉が悪いですが。解りやすいだけに一時期、雨後の筍の如く出来の悪いkey作品のようなラノベも乱立しました。もう一ひねり、ラノベ既存の感動を超える事を志されるならば、是非とも多種多様なメディアからエッセンスを吸収して頂きたく思います)
 基本的に18禁のメーカーですが、物語そのものは京都アニメーションが数作、かなり忠実にアニメ化していますので、年齢関わりなく視聴しやすいはずです。

 他には、ご質問文の3つの例から思いついた作品ですと『滝川廉治著:テルミー きみがやろうとしている事は』 個人的感想は割愛しますが、人によっては、かなり強くツボにハマル内容だと思います。(逆に言えば、全く同じ事を伝えたとしても感動するか否かは、当然その人の趣向によるという事ですね)

 少々長くなってしまいましたが、私の感想は以上です。
 ではでは、執筆頑張ってください。

かんぞうさんの意見2012/11/23

 動とは、普遍的な真実を発見したときに起こる感情を言います。
 例えば、子を思う母親の愛情などを、その子は普段は感じていませんが、ある時、そのことを実感するときがあるでしょう。
 そう言うときに人は感動します。

 また、簡単なところでは、「夕日は美しい」という真実に気がついて感動することもあります。このような誰でも気がつく真実って同じ感動でも底が浅いですね。

 気がつきにくい真実を発見させることが感動につながりますね。

 よく物語の場合、登場人物の死が感動を呼びますが、これは悲しいから感動するのではありません。
 例えば、厳しくしごかれて憎んでいた師匠が、主人公をかばって死んでしまった場合など、主人公は、師匠が自分を愛していた故に厳しく当たっていたということに気がつき、悲しみと同時に感動するみたいなところです。

トータスさんの意見2012/11/23

 上手くお応え出来る自信が無いので、私が感動したモノを上げさせて頂きます。
 映画が多いのですが、作品名を上げます。

パーフェクト・ワールド
グラン・トリノ
老人と宇宙

 パーフェクト・ワールドでは、脱獄囚と人質になった少年との交流と、その後に待ち受ける理不尽な結末。
 だが、その後に続くであろう繋がり。

 グラン・トリノでは、頑強な老人と、その老人の車を盗もうとした移民の青年の繋がり。
 最後に老人は壮絶な死を迎えるのだが、その後に残された者達の思い。

 老人と宇宙では、妄信し、猛進する事しか知らない宇宙人が、ある人間の少女を神と崇め、その人の為に全てを捧げる。
 だが、その事を少女は望まない。
 だから、そうならないで欲しいと願い、訴える。
 それに応えんとする宇宙人が、全てを投げ打ってでも、その願いを叶える。

 哀しくも、嬉しい。
 嬉しくも、悲しい。
 その差が大きい事が、感動に繋がるのではないだろうか?

 何かをしてくれた事に対しての感謝の気持ち。
 だけど、それを伝えられない。
 伝えたいけど伝わらないと思ってしまう。
 伝えられない・伝え切れない程の、感謝の気持ち。

 参考になるかは判りませんが、この様に私は考えて見ました。

唯斗さんの意見2012/11/23

 とりあえず、辞書で確かめてみました。

【感動】
 ある物事に深い感銘を受けて強く心を動かされること。
 また、ある辞書には、美しいものやすばらしいことに接して強い印象を受け,心を奪われること。

 上の辞書の意味だけを見ると、感動とは強く心が動かされるという意味であって、マイナスの面も含むと解釈できます。
 つまり、ある人の行動を見て「ほんと、この人嫌な人!見ていられない!」と思うことも感動の一つと捉えることができるかもしれません。

 ただ、もう一つの辞書にある通り、 感動とはほとんどの場合がプラスの面で使われることが多いです。

 もちろん、小説や映画である人物が死んでしまったところに感動した。
 というのはあるかもしれませんが、よく考えてみると、そういうときは
「あの人物が死んでしまった時はほんと泣けた」
 悲しい、というような表現をするんじゃないでしょうか。

 ではなぜ主人公が最後に犠牲になったりして死ぬ映画や小説などで皆さんが「感動した」という言葉を使うのか。

 自分なりに考えると、それは。その場面(死ぬ)に感動したのではなく「映画」自体に「感動」したと解釈するべきだと思います。
 もしくは「小説」自体に「感動」したというべきです。

「俺はあの場面が感動したなぁ」
 というのは、間違ってはいませんが、それは、今までのストーリーが積み重ねてきた物事があるからこそ、そこで、感動するのだと思います。

 だとしたら、一般的に考えて感動とは、今まで貯めてきたプラス(明るい?)部分が一気に崩れて、読者や視聴者を裏切った際にどれだけ彼らがそれに心を動かされるか、もしくは共感できるかというものではないでしょうか。

 またプラスの部分とは読者が感情移入している部分といえるかもしれません。
 勿論、もともと暗い作品などは例外かもしれませんが。

 自分でも何を言っているのかと思える雑文になってしまいましたが、お役に立てたらと思います。

かがみさんの意見2012/11/23

 泣けるシーンを最初から書ける人はそれでいいんですが、そうでない人が書こうとすると大変なんですよね。
 感動の正体という質問とは少しずれますが、書き方の話でよければ。

 感動というのは結局、化学反応なわけです。

 何ホルモンを分泌~とかいう話は私もわかりませんが、何一つ抽象的でない、具体的で明確な条件があって、それが達成された時に人は感動するわけです。

 それじゃあどうすんだよという話ですが、読者に感情移入してもらうのです。全編の9割かけてこれを行い、最後に読者を不安にさせておきながらハッピーエンドにすればいいわけです。

 当たり前の話かもしれませんが、参考になれば幸いです。

メルトさんの意見2012/11/25

 個人的な感覚ですが、感動というのは、救いに近い感覚だと思っています。

 宗教的なもので恐縮なのですが、神の御業、あるいは神(のようなもの)に触れた時、神業としか思えない人間の所業を目にした時、それら一連の衝動から生まれる感覚が、いわゆる感動に繋がるんじゃないかな、と思っています。

 僕の中で神というのは、人間の理解を超えた場合に持ち出されるものであって、漠然とした信仰の対象でしかないのですが、昔から誰の中にも神は住んでいると思っています。どうしようもない時や、救いを求める時、感動する時に、自分の中にいる神を実感するわけです。

 例えば、大自然の驚異、偉人による作品、天才と呼ばれるスポーツ選手のプレー、カリスマ性に優れた人物、人間の想像を超えた奇跡、救いのある物語、などなど。挙げればきりがないですが、僕はその全てに神を感じているのだと思います。人は感動する時にこそ、神を感じるわけです。目に見えない何かを感じるのです。神に一歩近づいた分だけ、神を感じさせる力が強くなり、心を動かし、感動を起こす力が生まれる、と思うわけです。

 補足的に、人には感動でなく、不安を感じさせるものもあります。それは闇です。圧倒的な、闇。人間は、闇の中に何かを感じるのです。それは目に見えない、漠然とした、恐怖です。
 目に見えない神を無意識に感じるのと同様、闇の中にも無意識に恐怖を感じるわけです。闇を恐れない人は、自分自身を最も信頼している人なのだと思います。そういう人は、とても心が強い人であり、同時に、とても心に余裕がない人だと思ってしまいます。

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