ライトノベル作法研究所
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  4. 物語の起伏、日常系を書くコツ公開日:2013/10/27

下読みによるラノベ新人賞攻略Q&Aまとめ

●物語の起伏、日常系を書くコツ

■質問2013/10
 物語の起伏とは、具体的に説明すると何を指すのでしょうか?
●ジジさんの回答
 私の経験から言って起伏がないと判断される応募作は、日常の普通の生活が延々と続き、これからもこうして続いていくのだ! で終わるものがひとつ。
 もうひとつが、主人公が特に困ることもなく起こった事件を解決し、こんな事件に満ちた生活がこれからも続いていくのだ! で終わるもの。
 主人公が起こった事件の中でどうあがき、どうもがくか……どう困り果て、それをどんながんばりでクリアするかが描かれていない物語はつまらないものだと判断されます。

■質問2013/10
 「生徒会の一存」のような日常系、青春ものの作品において、物語の起伏はあるのでしょうか?
●ジジさんの回答
 日常系、青春ものにはかならず主人公の青春を脅かす事件(恋愛や失恋、人間関係の危機等)が起こります。
 それを悩み悶え、上記のようなあがきやら、もがきやらでなんとか這い出す様子こそが起伏になるわけです。

■質問2013/10
 例えばアニメ、サザエさんですがあれを小説に起こした場合、物語に起伏が生じているとお考えでしょうか?
●ジジさんの回答
 あの一家はそれぞれの構成メンバーが明確な役割を持っています(いちばんわかりやすいのはカツオ=トラブルメーカーですね)。
 つまり、あの一家の一員がなにかしらのアクションを起こせば、その属性を反映させた事件が起こるわけです。
 そして、その事件を個々の役割に基づくリアクションによって発展させ、立ち向かい、解決に至る。そういう意味では、あの一家はその構成人員がそれぞれの役所を演じるだけで山も谷も表現できる強固な物語世界を持っているのです。
 よって、物語として描くならば起点になるメンバーにアクションを起こさせて事件を勃発、随時他の家族を投入して事件を育成、家族ないし家族外のメンバー(中島やらノリスケ一家やら花沢さんやら)によって事件をかきまぜたりにぎやかしたりし、起点キャラに近い家族キャラ(たとえばカツオが波平に怒られるのが起点なら波平)のリアクションでどんでんを返して物語の着地点へ至らせる。という構成になるかと。

■質問2013/10
  日常モノ、会話主体のストーリーの良い面悪い面、理想像やこれはやってはいけないというものもありましたら、教えてください。
●ジジさんの回答
 会話メインなら、「間が保たせられるほど会話密度を上げられるか?」、そして「会話をうるさく感じさせない味が出せるか?」が満たせるかどうかになるでしょうか。これができていれば理想ですし、できなければ辛いということになります。

●ジジさんコラム2013/10
 日常物を書いているけれども、なかなか結果が出せない、評価されない(起伏がないと評される)という方も多いかと思います。これを改善するもっとも簡単な方法は、「キャラに役割を持たせること」と「舞台設定で山パートと谷パートを分ける」ことです。
 今回はあずまきよひこ氏の漫画『よつばと! 』 で例えてみます。

 よつばと!世界は基本的に、家ととなりの家しかありません。これを日常とします。それ以外の外の世界は、非日常とします。
 よつばは物語の主人公で、「起点」になります。すべてのエピソードは彼女が発端となり、その後「トラブルメーカー」としての業務をこなすことになります。
 そこにとーちゃんという「事件を締める人」、ジャンボという「非日常への案内人」、ヤンダという「トリックスター」、となりの家の人たちやその他の人という「日常と非日常の橋渡しをする人」がからんできます。彼らの共通項は、よつばを「初めての体験」へ誘い、その中でよつばが感じたこと、行いに始末をつけることになります(その大半はとーちゃんの仕事になりますが)。オチはよつばがつけていながら、実は彼女の起こしたトラブルはまわりのキャラがそれぞれの役割に応じて回収しているわけです。
 そして、初めての体験という物語のテーマは常にありながら、非日常の話(アップテンポで動きが大きい)と日常の話(クールダウンの細かい事件)を交互に配することで、物語世界に山と谷を作っているのです。
 このように、キャラの役割と山と谷の舞台設定を明確に設定することで、かなり日常物の質の向上が望めるかと思います。

■質問2015/01/19
  自分の作品には、あまり多くの登場人物が登場しません。中心人物は多くても四人程で回って行く感じです。ですが、わいわいした感じ(学生特有のあれです)を出す時に、やはり人数の少なさはネックとなりそうです。単調さ、無理矢理さがなく、かつわいわいとした(解り辛くて申し訳ないです)小説にするには、どうしたら宜しいでしょうか?
●ジジさんの回答
 一案として、「会話シーンを変える」があります。
 たとえば「基本的に状況描写をせず、だらだら4人の会話を垂れ流す日常シーン」、「なんらかの出来事が起こり、その状況を地の文で整理しながら4人が会話を進めていく推理シーン」、「その出来事に対して4人が行動を起こす。それを描写しつつ4人の言葉を工交錯させるアクションシーン」というふうに、4人の会話自体ではなく、会話が行われるシーン(シチュエーション)を変えていくことで変化をつけるわけです。
 また、会話の合間にどれだけ地の文を挟むかでスピード感も変わりますので、同じようなかけあいの字面になりがちだなと思う場合はセリフではなく、地の文のほうで調整してみるというのも手です。

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