頭への衝撃に注意

脳は豆腐のように柔らかい器官です。固い頭蓋骨によって守られていますが、頭部への衝撃によって傷ついたり、内出血が起きたりすることがあります。

おろそしいのは、頭を強打して内出血が起きた場合でも、外傷がないため他人はもとより、当人も気づかずに治療を遅らせてしまうことです。

こんなエピソードがあります。冬場のスキー場のことです。
ある男性がスノーボードで何回も転倒し、頭を数回打ちました。その後、立ち上がって自力で数百メートル先の小屋にたどりついたものの、そこでバタンと倒れて意識を失ってしまったのです。すぐに病院に運ばれてましたが、その頃には、手足が痙攣し、瞳孔が半ば開いていました。
救急病院でのCTスキャンの診断では、急性硬膜下血腫でした。急性硬膜下血腫は脳と頭蓋骨の間にある硬膜の内側に血液の塊ができることをいいます。
何度も転倒して頭を打つことで、脳と頭蓋骨の間にある血管が破れて出血し、それが凝固した塊が脳を圧迫したのです。
周辺に多くのスキー場がある長野県大町市立大町総合病院の話では、緊急患者として運び込まれた重傷のスノーボーダー20名のうち、11例がこの急性硬膜下血腫でした。しかも6例は手遅れだったそうです。

外傷がないからと油断すると、大変な目に合ってしまうのですね。頭部への衝撃にはくれぐれも注意しましょう。


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