ゆさぶられっ子症候群

泣きやまない赤ちゃんを必死でなだめようとする若いお母さん。やがて彼女は、だんだんイライラしてきて、つい乱暴に我が子を揺さぶってしまいました。すると、赤ちゃんは急に痙攣を起こして、ぐったりします。驚いたお母さんは、慌てて病院に運びますが、赤ちゃんは意識が戻らず、やがて脳死にいたる……
これが『ゆさぶられっ子症候群』の最悪な例です。

赤ちゃんは、頭部が大きく首の筋肉が定まっていません。そのため身体を大きく揺さぶると、頭が大きく動き、脳表面と頭蓋骨裏側の静脈をむすぶ血管が切れ、出血して脳を圧迫してしまうのです。
また、脳は脳脊髄液によって頭蓋の中に浮かんでいますが、赤ちゃんでは、まだ頭蓋と脳の間に隙間があるのです。そのため頭を激しく揺さぶられると、脳が頭蓋骨にぶつかってダメージを負いやすいのですね。
症状としては、痙攣、呼吸困難、昏睡、目からの出血などがあります。
脳にダメージを負うと、その後の知能、運動機能の発達に悪い影響を及ぼしますので大変です。
ただ、ふつうに赤ちゃんをあやしたり、高い高いをしたり、乳母車に乗せた程度の振動では、ゆさぶられっ子症候群は起きません。

これは主に児童虐待に見られる症状です。


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