>少なくとも私には魔法以外の方法は思いつきませんでしたし、仮にあったとしても魔法を超える確実性はないと思います。
魔法だとしてしまうのは説得力を出すうえで便利なんですが、別の手段でもそれが説得力を持つように状況とか調整してしまえばいいわけで。
「私物の弓矢を持ち込んでるレゴラス級射手」でも「水上を風のように駆け抜けられるニンジャ」でも「海流を読み切ってピンポイントに毒を流せる毒使い」でも、作者ができると設定してそれなりの描写をしてやれば読者はついてきますよ。
もちろん、スレ主さんの作品では「魔法以外じゃそんなことできない」でいいんですが。
さらには、今回謎めいた人物感を出すのであれば、殺戮手段そのものが謎でも良かったのではないかなと思うわけです。
魔女の魅力に関しては、読者が共感しやすい視点人物が魔女に魅力を感じれば、読者もある程度つられて魅力を感じてくれると思うのですよ。その意味で、落ち着いた初老の船長はちょっと弱かったかもしれません。
殺戮シーンも、他のキャラが見ていなくても良いんですよ。
無力な魔物の子供を殺しながら、薄く笑っているのか、唇をかみしめているのか、単に無表情なのか。それだけでも魔女の過去に迫るヒントになる。
謎はストレスであり、解き明かす過程は快楽です。設定として謎だけポンと投げるのではなく、少しずつ明かしていくことが魅力をあおることになると思います。
で、プロットのお許しが出たので2種類ほど。
◆1つ目は、魔女の魅力にフォーカス。
魔女そのものの設定は謎にしたままとし、視点人物には殺戮シーンを目撃して魔女の魅力にメロメロになってもらいます。
オープニングとエンディングは対比を作り出し、視点人物の変化を印象付けるのが目的。
●オープニング
昼の船上。水兵である視点人物が、本を読んでいる同僚Aを茶化すところから魔女の紹介につなげる。
この時点では、視点人物にとって魔女は良く知らないしあまり興味もない相手。
●シーン1
夜の船上。視点人物、魔女、船長が当直。
視点人物が魔物の子供らを発見し、船長は放置を命令。
ちょうど当直時間が終わり、交代。
視点人物は魔女の微妙な態度が引っ掛かり、後をつける。
●シーン2
シーン1の続き。魔女が魔物の子供を殺戮するシーンを視点人物が隠れて見る。
良識的には止めるべきだと思いながら、魔女の美しさに飲まれて何もできない。
殺戮を終えた魔女は、視点人物に口止めして去る。
●エンディング
数日後の昼の船上。オープニングとは逆に、本を読んでいる視点人物を同僚Aが茶化す。
視点人物のモノローグで、魔女に惹かれていることと本を読み始めた動機を説明して終わり。
動機は下記2パターンのどちらか
普通パターン:魔女の背中を追うために魔術を学ぶことを決意。読んでいるのは初級の魔術書。
ド変態パターン:もう一度魔女が美しく魔物を殺戮する姿を見るため、自分自身が将来魔物と化して魔女に殺されることを決意。読んでいるのは魔物への変成法を含む邪悪な黒魔術書。
◆二つ目は謎を強調。
スレ主様の魔女とは別の人物だと思えば少しは「改変された感」がマシにならないかなぁと考え、魔女でなくともよい形まで一般化して書いてみました。
設定を少しいじり、船長にも来歴は明かさず「打ち解けてくれない新米士官」と思われている形。
また、口癖と殺戮の際に色気が出るのを追加。色気は本文でも妖しく笑ってるので、そこからの拡大解釈。
その代わり、シーンは増やさず視点人物は船長のままとしてみました。
●シーン1
夜の船上。船長が行方不明になっている人物に関して新米士官に話を振る。
普段は仕事に関すること以外すべて「プライベートですので」で話を切ってしまう素っ気ない新米士官だが、今回だけはなぜか少し多めにリアクション。
それに気をよくした船長はもう少し新米士官と仲良くなろうと雑談を振るが、「プライベートですので」と素っ気なくかわされる。
そこに魔物発見の報が入る。子供であることを確認し、船長は放置を命令。
この時点で、船長は新米士官の雰囲気が少し変わっていることに気づく。
当直時間が終わり交代する新米士官に、船長はこの後どうするのかを問う。
新米士官は「プライベートですので」といつもの答えを返すが、いつもと違うにじみ出る色気に船長はぞくりとするものを感じる。
●シーン2
翌日の船上。魔物の子供の殺戮跡の報告を受けた船長が、新米士官と話している。
新米士官は船長に船の装備が減っていないなら問題ないでしょうと言った後、その殺し方が行方不明の人物が得意だったことを告げる。
行方不明の人物=新米士官だと明言はしないがそう匂わせる会話を少し続け、最後は動機を問う船長に新米士官が昨夜と同じ色気のある「プライベートですので」で答えて閉める。
どちらも、謎の魔女であること自体はあまり変えず、視点人物の感情を変化させることで一つの物語としての読みごたえを作ることを考えて組んでいます。