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タイトル:設定・構想は秀逸かもしれません 投稿者: あまくさ

>そして【結】の1行目の死者との再会で「自分たちは望んで手にかかったのに、それをいつまでも気に病みすぎた」と主人公に諭して、再起させるという流れでした。

うん。ここがポイントの一つのようですね。(良い意味でです)

この主人公、少し潔癖すぎるところがあるような印象です。自分を責めすぎるために、かえって事態を悪くしてしまうという。そこにどうやって気づかせ、立ち直らせていくかが重要になりそうです。
ジャンプ型の主人公であれば、多少言動がいい加減であっても「主人公補正」によって好結果を獲得していくのではないかと思います。しかし、御作では主人公にそういう免罪符を与えていないのが興味深いです。
言ってみれば、最近うっぴーさんがしきりに強調されている「承認欲求充足型」主人公の真逆です。そういう意味では読者に煮え切らない印象を与えるかもしれませんが、それは庵野秀明さんの主人公が読者を苛立たせることがあるのと本質的に同根と言ったら褒めすぎでしょうか?
でも、少なくとも私はそういう物語の方が読みたいです。

問題の「技術」ですが。

1)他人の力を奪うことができる。
2)その結果、相手の命を奪ってしまうことになる。
3)ただし命を奪って力を得るためには、相手の同意が絶対条件。

この理解で合っているでしょうか?
これ、たいへん秀逸な設定だと思うんですね。
3の設定があることで、相手も何らかの理由から命を差し出しても主人公に助力したいと願っていたことが理解できます。そして、それは主人公が自分では気づいていなくても、どこか「他人に信頼されるいいやつ」であることを示いてもいます。

それでも主人公が悩むのは当然。たとえ正当な目的や相手の同意があったとしても、大切な人々の命をいくつも奪ってしまったことには変わりはないからです。
つまり、ストーリーの初期設定の段階で、主人公に「ジレンマ」が与えられているんですね。「あちらを立てればこちらが立たず」という、解を出すのが難しい残酷な方程式。
そういうのを「キャラクター・プロブレム」というのですが、それがしっかりと押さえられているのではないかと感じました。そして、そのジレンマをいかに克服するかという暗中模索の行動の軌跡そのものが、ストーリーを紡ぎ出すことになります。

ジレンマの提示は序盤に置く。

    ↓

物語の真ん中あたり(サタンさんの仰るミッドポイント)に折り返し地点をつくり、ジレンマ克服のヒントを拾わせる。主人公自身は、それがヒントであることにまだ気づかなくてもよいが、物語は様相を変えて終末に向けて収束していく流れが開始する。

    ↓

しかし、ジレンマは簡単には解決せず、むしろ物語全体を通しての最大の破滅要素に主人公は直面する。

    ↓

最大の破滅を乗り越えて、主人公は克服のヒントを明確に自覚する。ここから物語の最終局面が始まる。物理的な戦いとしてはまだ大きな危機の連続になるが、主人公は精神的には吹っ切れている。
つまり、すでに成長は完了していて、続く困難な戦いは成長の結果を確かめる「卒業試験」のようなもの。

作劇術としては、こういう感じの流れが一つの有力な形だろうと考えています。
これに照らして、

>そして【結】の1行目の死者との再会で「自分たちは望んで手にかかったのに、それをいつまでも気に病みすぎた」と主人公に諭して、再起させるという流れでした。

このイベントが、いいところに置かれていると思うんですね。
ジレンマ克服のストーリーは、肝心の克服パートを読者が納得できるかどうかに成否がかかっています。
御作の構想を拝見するかぎり、そのあたりについてはスレ主様はよく考えていらっしゃると思える設定が散見されます。

巧いと感じる点は他にもあり、例えば、

>主人公に関する捕捉としては、端的に言えば「ジャンプ型の主人公になりたかったけど、なれない人間」と言えばもう少ししっくりくるでしょうか。

>友人との衝突に関しては、その友人は主人公とは真逆であり、まさにジャンプ型主人公そのものに近い人間です。

こういう対比によって主人公のキャラを際立たせそうです。

それから、後半に置かれた2周目についは、主人公の成長を描く過程の中でどういう位置づけを考えていらっしゃるのか気になるところです。ここは1周目とは何かしら違った意味合いが求められるところだろうと思います。

重く切実な要素の多い主人公やストーリー展開ですが、ラストはハッピーエンドに辿り着く構想は、個人的には必ずしも「虫が良い」とは思いません。読者が十分に納得するように細部をつめて描き切るのはかなりの力技になるとは思いますが、物語の骨格は間違っていないのではないかと感じました(私ごときが偉そうに言って、申し訳ありません)。

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