それは作者の狙いによるんじゃないでしょうか。何を読者に伝えたいのか、です。
過去の友人と敵対する悲しみを描きたいとしたら、先に仲のよかったころのエピソードを示しておかないと読者に通じないでしょう。それも、複数のシーンでたっぷり見せないと効果が薄いと思います。それをやっておけば、主人公が友人と対峙しながら仲のよかった頃の情景が走馬灯のように脳裏をかすめるみたいな演出ができます。
しかし、そういうのとは別の狙いも有り得るわけです。
例えばですが。
いきなり主人公と過去の友人が対峙している展開から話を始めます。で、主人公か友人のどちらかは、相手がかつての友人だと気がついていないんですね。
そういう状況で、相手を覚えている側がときどき意味深な様子を見せます。そうすると、覚えていない側と読者に「?」という感情が生まれます。
その疑問でストーリーを引っ張っていき、ある時点で真相を明かす段取りです。
この場合の狙いは、仲のよかった友人同士が戦わなければならない悲しさを表現することではなく、どちらかと言えば謎とサプライズ、そして皮肉な読後感を残すことです。
以上の2例を考えると、前者だったら仲のよかった頃を先に見せておかないと意味が無く、後者だったら先に見せてしまったら意味が無いと言えます。