結論から申せば、「面白ければ知りたくなるから、まず興奮するシーンを描いて、それから説明する」ということになります。簡潔に言えば「興味が先、好奇心は後」です。
どう説明すれば、というのは小手先の技術であって、「読んでもらう」「面白がってもらう」「無駄に退屈させない」ための核心ではないわけです。
1.設定は削れるだけ削るのが大事
さらに申せば、面白いけど知りたくならないなんて、たくさんあります。面白かったから後はどうでもいい、面白かったけどよく知っている/だいたい分かる等々です。ですので好奇心ですら必須ではありません。説明なんて、ないほうがいいし、話が分かるために必要だとして、どうやって削りに削るかが大切です。
2.作者は面白いと勘違いしがち
この点、作者的によく間違います。設定やギミック等々は考えていて面白いからです。空中浮遊できる仕組みはどうしよう、過去を改変したら何が起こるか、重力を電磁力で打ち消せば、量子力学の多世界解釈のここをこうすれば、等々、設定を思いつき、弄り回すのはとても楽しい。
そのため、つい「これなら読者もこの設定を面白がってくれるだろう」と勘違いしがちです。そんなことは起こり得ません。自分で考えたから楽しかった、面白かっただけなんです。その結果だけ伝えられても、とても退屈です。だって自分(読者)で妄想したほうが20倍くらい面白んですから(そして作者の設定にケチをつけだしたりする)。
3.設定はなくすのが大事
大事なことなので誇張して繰り返しますが「設定なんぞ、ないほうがいい」ということです。言い換えれば「お勉強したんじゃない、楽しみたいんだ」ということです(説明ではなく物語が読みたい、と同義)。
ですので、「必要なオリジナルの設定や用語造語の説明を(略)どういう風に書けばよろしいでしょうか?」に対する、第1の答えは「書くな」です。そのためには「説明が必要になることは削れ」ともなります。「読者の大半が知っていることを元に書け」ということでもあります。ですので、ストーリーやドラマ、キャラクターを立たせるために必要でない設定は削るのが大事です。
4.それでも必要な設定はまず行使してしまう
それでも、オリジナルな世界や、キャラクターが読者の目を引く行動をするためには、オリジナルなアイテムが必要になることが多いですし、リアルに既存の類似するものと区別すべく造語する必要に迫られることも少なくないでしょう。
その場合は上述しました「面白ければ知りたくなる」を使う手があります。危険な威力/効果があるオリジナル兵器を出すとして、まず作動させてしまう手があります。
例えば主人公のうっかりで、悲惨でいてコミカルな状況を引き起こし(例えば「爆発して、部屋はボロボロ、ドアは吹っ飛び、中の主人公は煤顔で爆発髪」みたいな)、「なんだこれは?」にしておいてから、異変に気が付いてやって来たサブキャラが主人公を叱りつつ説明するとか。
5.使うイベント起こせば、説明を聞いてもらいやすい
異変を起こせば、読者は知りたくなりますし、事情を知らないキャラに事情をしるキャラが説明するのも自然になります。「何したんだ!」→「馬鹿野郎、それは(略)するもんなんだぞ!」みたいなよくある流れですね。
6.目を引くためだけの設定は不可
ただし、そのアイテムを作中で必ず本当に使用する前提で、やれることです。目を引くためだけに単発のイベントを起こしてはなりません。そんなことすると読者の期待を裏切ることになります。「チェーホフの銃」(銃を見せたら、その銃は使われなければならない)のコツですね。
7.とっておきの設定には類似品を使ってみせる
これ、例えば「ラスボスが世界を滅ぼすために○〇すると脅している」状況では使えません。あるいは、アイテムの行使をずっと先まで伸ばすけど、アイテムは紹介しないとドラマ進行に支障があるとかの場合。
その場合は例えば、似ているけれど威力は弱いアイテムを使っておきます。銃であれば、訓練用の銃を暴発させて、空き家一軒吹っ飛ばしておく。そうしておいて「敵が持ってる銃は、これの1万丁以上の威力」とか説明しておく。つまり、本番が見せられない間は、デモンストレーションを見せておく、といったことになります。