先に書いて置くと、俺は反戦・反差別側の立場の人間であり、そういった意味で『現実を舞台とした戦争モノ』を好ましくない/難しいだろうと思っている部分もあります。
何が言いたいかと言うと、一個は俺の意見にある程度のバイアスがかかっているだろうという話であり、もう一個は『俺のような立場の人間もそこそこいるよ』と言う話です。
さて、本題に立ち返ります。
ここのサイトでも度々、『登場人物への感情移入』とか、『この時コイツはどういう感情で動いているのか』『それはこの人物の感情なのか、作者の思惑なのか』と言う議題が上がりますが、小説において、『登場人物の感情』と言うのはとても重要な感情です。
では、戦時中における感情とは何でしょうか。愛国心とか、誰かを守るために戦いたいという思いがあるのは確かでしょう。
ただ、『戦記』という形でのリアリティを描くなら、戦場の兵士たちの『敵国への憎悪・差別意識』を書かないわけにはいかないでしょう。と言うか、もし架空戦記でその部分を描かなかったらつまらない作品になると思います。
その描写の部分で、事実としての米国・中国に対する差別的な言葉・表現を使わずに描けるかと言えば、限りなく不可能に近いと俺は思います。
また、作品内容を愛国心に絞ったとしても、今度は『戦争を美化しすぎている』『かつての戦争からの反省が見えない』などと叩かれ、よほどうまく描写できなければ、これも成功は難しいでしょう。特に、現実を舞台にした場合では、実際的な感情の矛先が発生するために、主に左翼から叩かれやすいでしょう。
その上で、ですが。架空戦記であれば『あくまで架空の話だから』と言えます。コードギアスなどの場合は『あくまで未来の話だから』と逃げられます。だからこそ、ガンダム(一部続編で政治・反戦色の強いものがある)やコードギアスなどは許可が下りました。
また、ハリウッドなどの戦争映画の場合、『すでに起こってしまった戦争』をメインに描いているか、『悪の組織が暗躍して戦争を起こそうとしている』タイプのスパイ映画が大半なので、前者については『史実なら仕方ない』後者は『あくまで架空のホラ話』と流せる部分が有ります。
ただ、現実世界舞台/現代舞台/装備・政治体制も現実準拠として描き出すとなると、二重三重に厳しいものがあると思います。