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タイトル:助けてください。の返信 投稿者: 手塚満

年末に深刻なご相談で気にしておりましたが、なかなか申し上げるべきことが見つからず。自分もバタバタしていたからかもしれません。頭を冷やして拝読し直してみまして、

> スランプから抜け出す方法や気持ちの立て直し方

と仰る点が気になりました。例えばということで仰っているならいいんですが、もしかしてそこが問題の核心だと考えて、どうにかしようとなさっているのなら、まずいかもしれません。

なぜなら、今月中旬に提出予定という差し迫った期限に対し、いつできるか予測できない対策を考えていることになりますから。スランプや気持ちの問題は、ご自身でも日程が組める問題ではないはずです。それは例えば「今年の目標」とでもしておいて、今の作品に何ができるか、技術的な問題に目を向けてはどうかと思います。

なお、御作について具体的なことをお尋ねしたりすることは避けようと思います。大学の卒業制作でありますから、卒論の一環と考える必要があります。例えばもし、御作を拝読して何か申し上げたりすれば、研究不正を疑われかねません(独力で成していない等)。従って、御作を知らずにあれこれ申し上げるという、ポイントを外しがちで、しかも曖昧な意見になりますが、ご容赦をお願いしたいと存じます。

1.御作の問題点:おそらく全体の構成

前置きはこれくらいにしまして、問題点を考えてみます。先生(指導教官?)からは、

A. 「話の繋がりがない」
B. 「盛り上がりに欠ける」

という指摘を受けているわけですね。これがセットの批評だとしますと、Aは短編集中の各話のことではなく、短編集全体を指していると思えます。となるとBは各話の起承転結とか出なく、短編集を通読しての、短編集を1つの作品と見ての盛り上がりなのかなと思います。

そうだと仮定して続けてみます(もし違ってたら以下は無意味なので、スルーしてくださるとありがたいです)。なろうなどの連載でよくあるんですが、各章は面白く書けていて、ある章から次の章を読みたくなるようにもなっている。けれど、ラストまで書き上げてから、1つの長編にまとめると、途端に平板な印象になる。そういうことがよく起きます。

2.パーツだけ改善してもうまくいかない

これは各章を(次への引き含めて)面白くするのに熱心なあまり、全体構成がおろそかになったためです。いわば、プラモでパーツはよくできてるんだけど、組み上げた全体は凡庸なデザインになっちゃってる、みたいな感じです。

御作は短編集ですから、当然、短編をいくつか連ねたもののはずですね。テーマは「雨」で各エピソードに共通性は持たせてある。ですが、「雨」は間口が広すぎて、全体に統一性を持ったまとまりを作るには、ちょっと弱いかもしれません。つまり、テーマ設定だけではオムニバスにならない。

3.全体の起承転結はあるか

例えば、その短編集が4つの短編から成るとして、4つで起承転結を構成しているかどうか。構成していれば、盛り上がりは作れます。起承転結って、盛り上がりを作るテクニックの1つですから。

そうできないとしたら、各話につながりがない可能性を考えるべきでしょう。なぜつながりがないか。これは、つながりはない、ということになるかもしれません。なにせテーマ「雨」で緩く統合はしているものの、独立した短編を集めたのでしょうから、当然です。

じゃあどうするか、という話ですよね。1つにはテーマをもっと絞り込む方法があります。例えば「雨の日の仲たがい」とか。しかし、もう各話は完成していて、テーマを具体化させようとすると、作り直しになるでしょう。

4.各話の「誰が、どこで、何をする話か」を手掛かりにする

期限を考えると、今ある短編各話を活かすしかありません。まず書き上げた各短編がどういう話か、再整理してはどうでしょうか。とりあえず各話について、「誰が、どこで、何をする話か」を書き出して再確認する。

そこがはっきりしますと、これもとりあえずですが、各話をどういう順番で並べた短編集にすべきか、ということも見えてくる可能性が高いです。これは意外に大事なことでして、オムニバス以外では音楽アルバムなんかでも経験したりします。

5.並べる順序を最適化する

複数のCDから好みの曲を取り出して、いわばマイベスト集を作るってよくあるわけですが、意外に感動しなかったりします。好みの曲ばかり集めたはずなのに、2割くらいしか好みの感じがしなかったり。これは主に並べ方によります。元のアルバムはアーティストが「この順番で聞くと、この曲に感動するはず」みたいな計算で作っていることが多いのです。

小説の短編集でも同じです。各話をどういう順序で読むと、全体で最大の感動が生じるか、作者は計算しなければいけません。並べ立てるのではなく、つなげることが必要なわけです。それには上述しましたが「誰が、どこで、何をする話なのか」という物語の基本が大事です。自分が書いたものでも再確認する価値はあります。

6.各話にほんの少しつながりを持たせる

それだけでも改善するはずですが、ベストの各話の並べ方がだいたい見当がついたら、各話にちょこっとつながりを持たせることを考えてもいいと思います。物語的な関連まで持たせなければならないということはありません。もっと軽く、例えば「この話の主人公がこうしているシーンで、前/次の話のヒロインがこうしているシーンをちょこっと被せる」とかで充分に効果があります。

例えば「この話では、主人公が走ってきた女性にぶつかって、スマホを落として壊してしまう」というシーンがあるとして、次の話では「主人公を追いかけたヒロインは、誰かとぶつかってしまったため、主人公を見失う」としたら、何となく各話につながりがあるような気がしてきます。

もちろん、それで物語としてつながりが出るわけではありません。単に他のエピソードのキャラが登場したにすぎません。しかし、何かつながってる気はする。フィクションでは「気がする」のが大事です。何かが分かるのが大事ではなく、分かった気がするのが大事。物語の大事な点は、気分、気持ちなんですから当然です。

7.着手すればアイデアも浮かんでくるもの

そういう、いわばしりとりレベルでいいので、つながりを持たせてみる。そこまでやれれば、さらに工夫は立つと思います。何か始めてみると、いろいろ考えが浮かんでくるものだからです。最もマズいのは、考え込んで何もしないことです。少なくとも短期勝負の場合には何の役にも立ちません。

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