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タイトル:新人賞で、独特な作風の作品に勝機はあるか?の返信 投稿者: サタン

勘違いされやすいのですが、新人賞では「本屋に売ってるようなライトノベル」は、良くて最終止まりです。
何故って、そんなレベルの作品は本屋に沢山あるからです。
新しく人材を発掘しなくても、既存の作家さんが山程いる。なのに新人賞で虎の子の「新人賞受賞作家」って泊を与える必要はないでしょう?
こういう作品は、二次以降で編集の目が止まれば途中で拾われることもありますが、それにしたって「目が止まるほどの何かがある」という作品ないし作家の個性がなければ拾われることもない。
新人賞で求められるのは「新しいもの」です。それまでに無い新しいもの。
まあ、ぶっちゃけ何千と応募作が来てもそう簡単に新しいものは無いので理想論ではあるんだけど、新しい流行を作ってくれるような作品が理想的です。

「自分の作品がライトノベルっぽくない」という悩みでいつも思い出すのは『ブギーポップは笑わない』というライトノベルです。
これは、今でこそ読めばラノベとわかるけど、受賞当時はまったく流行にない作風だったと思います。
当時はスレイヤーズから始まる、ライトノベルに相応しい軽い文体が流行りでした。多少小説らしい小説としても魔術士オーフェンといったシリアスがありながらもコメディを混ぜる、言ってしまえば漫画的なものが多かった。あかほりさとるの作品とかね。
そこへ都市伝説をテーマに重々しい雰囲気でSFと伝記モノを合わせたような作風は、当時のラノベ業界に強い衝撃を与えました。
Fateシリーズの奈須きのこや物語シリーズの西尾維新などその後の作家などに「大きく影響された」と言わしめるほどの作品です。
たぶん、作家志望の多くが「ラノベでこういうことしてもいいんだ」と思っただろう作品です。繰り返すけど、当時の風潮では、ね。
また、「スレイヤーズから始まる」と書いたけど、このスレイヤーズはハッキリ言って酷い文体です。スレイヤーズが受賞した頃のライトノベルと比べれば素人どころじゃない、崩しすぎな文体です。
けど、これは口語体を追求した一つの答えにある文体で、知れば知るほど、正直凄い文体です。一人称であそこまで書けるのは凄い。文章力じゃなく表現力が凄い。
そんで、このスレイヤーズも、当時の流行作品を思うと「新しいもの」でした。きっとプロ作家は文章力を捨てて表現力を追求しようだなんて思いもしなかったし、思ってても作家としてのプライドがそれを実行させなかったでしょう。

「現状よくあるモノ」なんてのはアイディアにしろ文体にしろ作風にしろ、そんなのはいりません。
再度書くけど、そんなのは既に本屋にいっぱいあるからです。
無論、だからと言ってカテゴリーエラーと言えるほどの、例えば「面白ければ純文学を送りつけてもいいんだ! 勝機はある!」なんてことはありませんし、そんなのは純文学の新人賞でやれば良い話です。
これはあくまで「ライトノベル」という枠組みでの話。
だから、その意味で「ライトノベルらしい」という作風はほぼ必須です。
「ライトノベル」の話なんだから、当たり前ですよね。

漫画「進撃の巨人」は、確か週刊ジャンプに持ち込んでボツにされて、その後マガジンへ持ち込んで連載を勝ち取ったという話だったと思うんだけど、そのエピソードを聞いて「ジャンプはバカのことをしたな」というのは間違い。
進撃の巨人は「ジャンプの色ではない」から落とされて当たり前。
「ジャンプっぽくない」作風なんだから、ジャンプじゃ連載はできない。
「ライトノベルらしい」というのはそういう意味。
ラノベっぽい文体にしろってことじゃない。
もし、自身の小説がラノベの作風ではなく、大衆小説や純文学だと思うのなら、そっちで活躍すれば良い話。わざわざラノベでやる必要はない。
こう言うと「でもネタはラノベなんだ」と言う人もいるけど、そりゃ大衆小説をナメすぎ。ネタだけで見れば厨ニかよと言いたくなる大衆小説は多いです。ラブコメもハーレムも無双も大衆小説にはあります。

そういう意味で『世界観やストーリーさえ面白ければラノベらしくない作品にも勝機はあるか?』には、ない、と答えます。
だって、ラノベじゃないと思ってるわけでしょ?
ラノベじゃなけりゃラノベの賞で選考を通るわけじゃないじゃないですか。
でも、ブギーポップは笑わないやスレイヤーズのように、それは「新しいもの」なのかもしれない。
ただ自身の作風の雰囲気だけで「ラノベっぽくない」と思ってるだけ、ということもある。
だいたい、「ラノベらしい作風」って書いてるけど、それってどんな作風のことを言ってるのでしょう?
萌えのないシリアスなラノベもあるし、恋愛要素も戦闘要素もなく、無双したり転生したり主人公が特別でないラノベもあります。
ただ単に「周りの人が書いてる作風と違うな」と思うだけなら、それは可能性という意味なら十分に受賞することもあるでしょう。

周囲と違うものを書こうとする人は多いけど、いざ違うものを書くと周囲と違うから不安になる。
誰にでも良くある、そういう話だと思いますよ。

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