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タイトル:戦記ものの視点の返信 投稿者: あまくさ

小説の視点は、ざっくり分けると、ほぼ四つに分類できます。

1)一人称

2)三人称一視点(三人称一元視点)

3)三人称多視点

4)三人称神視点

ただし、これは厳密な分類ではなく実践論です。一人称の定義はそんなに難しくはないのですが、三人称はけっこうくせ者で、3と4の違いは曖昧ですし、人によっては三人称=神視点という認識だったりします。
3を挟むと話がややこしくなるので、取りあえず三人称は2と4に分けて考えると理解は楽です。この二つは明確に異なります。

三人称一視点は三人称でありながら視点を一人に固定してしまう手法で、実質的にはむしろ一人称に近いものです。一人称との違いは必要に応じて多視点(または神視点)に移行できる点と、一人称よりは客観性が担保できることです。

一人称のメリットは、視点が安定し、読者の感情移入を誘いやすいことです。反面、視点が限定されるので様々な意味で表現の幅が狭くなるというデメリットがあります。
三人称一視点というのは、このような一人称のメリットを取り入れながら、一人称の制約を緩和するのが狙いで、慣れるとたいへん使い勝手の良い手法です。ただ、実態は三人称の皮をかぶった一人称のようなところがあるので、三人称としては表現の幅が狭くなるのは否めません。

反対に、表現の幅を目一杯広くしたのが「神視点」です。
神視点の利点を端的にあげると、

5)状況を俯瞰的に描写できる。

6)地の文で作者がコメントを入れやすい。

この二つが考えられます。ただ、利点と言っても5は読者とシーンの距離感が遠くなりますし、6も読者の没入感の妨げになる(作者がしゃしゃり出たところで醒める)という難点もあります。なので最近の小説作法では、三人称であっても5と6は望ましくないと考える人がわりと居ます。
おそらくスレ主様も、神視点についての否定的な見解を耳にされたことがあるのではないでしょうか? それがあって、このスレの質問になったのだろうと推察します。

三人称一視点や神視点について詳述するとかなり長くなってしまうので、かなり駆け足の説明になりました。ちゃんと説明になっているかどうか若干心配ですが、要するに日常的なシーンや、キャラに焦点を当てたストーリーの場合は、神視点は悪手になりやすいということは言えるのではないかと思います。

ただし、戦記物の場合は少し事情が異なるかもしれません。そのジャンルは戦争の背景となる国の事情などを読者に伝えることも重要になりますし、戦闘描写にしても、一騎打ちや小規模な戦闘だけではなく、大規模な会戦などを描くためには俯瞰的な視点を導入する方が効果的と思われます。
よって、戦記物は神視点が許容されるし、むしろ積極的に盛り込んでいく方がよいのではないかと。

三人称は一人称と違い、原則としては視点に制限はないんですね。だから三人称一視点のような三人称と一人称のいいとこ取りを狙うような手法も成立するわけです。これを拡張して、三人称一視点寄りの書き方をベースにして、必要に応じて神視点に移行するという書き方も可能です。プロが戦記物などで神視点を取り入れている場合、そういう書き方になっていることが多いのではないでしょうか?

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