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タイトル:超長くなった。すまんな。 投稿者: サタン

たぶんスレ主さんには刺さらないと思うけど、スレ主さんの状態に共感できる人は割といるんじゃないかと思ってレスしてみます。

>こういう風に書きたい~どういう風にかいたらよんでもらえるかわからない
これは問題が二つある可能性がある。
まず、「書きたいことがあってこういう風に書きたい」は、既存作を見てそれに憧れてるだけで、「あなたの書きたいもの」ではなく「あなたが読みたいもの」であるかもしれない、ってこと。
「書きたいもの」と「読みたいもの」は違う。
別に「読みたいもの」を書くのが悪いわけではないが、それは実は想像よりしんどくて難しい。ある程度の経験がないと書ききれない。
それは何故かというと、んーと……ちょっとわかりにくい例えかもしれないけど、料理で例えると、
これまで料理をしたことがない人が料理をする。彼は日本で生まれ育って日本の和食を主に食べて育ってきた。あるときフランス料理を食べて感激し、フランス料理を作りたいと思う。
この場合、彼ははじめて料理をするけど、和食を食べてきたから和食ならある程度は作れると思う。けど、同じ料理でも勝手が違うフランス料理を作るとなると、何もわからないのは当然で作れないのは当然でしょ。
これが、和食でも料理に慣れてていろんな知識と経験がある人なんであれば、フランス料理の出汁に相当するものはコレで味付けはこうして、と予想がつくし対策も考えられる。
彼は「料理を作りたい」とは思っていても別に「和食を作りたい」とは思ってなかったかもしれない。むしろ古臭くて和食は嫌いかもしれない。けど、料理を通して彼が出来ることは「和食」にあるんだよね。彼が料理をしたいと考えた根源はずっと食べてきた和食にあるんだから、彼は「和食を作りたい」んであって「フランス料理は食べたい」んよ。
だから、そこで「いや、俺はフランス料理に感銘を受けて料理をしたいと考えたんだ」って人もいるし、単身フランス行って料理を学んでくる人もいるだろう。
けど、それは凄い事だけどいばらの道だってことはわかるよね。

じゃあ「書きたいもの」って何だってなると、これは言葉を変えたほうがわかりやすいと思う。
「作りたいもの」って意味で考えるんじゃなく、自分が「表現したいもの」は何かって考える。その作品で何を言いたいのか。
ひるがえって、あなたがこれまで書きたいと思ってた「(私の言で言うと)読みたいもの」は、何を表現している作品なのか、この作品は何が言いたいのか、と考えてみる。
すると、スレ主さんが「書きたい」と思ってたのは、例えば終盤クライマックスの派手な戦闘とかラストの感動的なシーンとかそういうのであって、「この作品の表現したいこと」それ自体とはちょっと違うかも? って思うんじゃないかなと思う。

いや、表現したいことも同じでこれこそ自分が書きたいことなんだ、と思った場合。じゃあそれが異世界ものだったとして、この異世界ファンタジーをまったく別の演出でもって学園ラブコメにアレンジして別物にしても同じことが言えるか。
「表現したいこと」は同じで、ガワの部分だけ別物に変えた状態。
例えば水戸黄門のシナリオを、そっくりそのまま異世界を舞台に貴族の世直し旅にすりゃ、中身そのままでガワだけ変えて成立するじゃん? それと同じことで、好きな作品のガワだけ「学園もの」に変えた場合、やはり「自分が書きたいのはこれで間違いない」と言えるか。
たぶん言えないと思うのよね。
それは、ガワの部分、物語の上っ面の部分に憧れてるだけで、本質にある「この作品の表現したいこと」には届いてないから。
そこを考えてみると、「ああ、この作品はこういう事を言いたいがために、序盤からいろいろ積み重ねてこの作品になってるんだ」って感じに気付けると思う。

では戻って、「自分は何を表現したいのか」と考えてみる。
数々の作品を見て作品の本質に触れて、作者の表現を理解して、自分にはそれがあるのかと。
で、残酷だけど、これが空っぽの人もいる。てか多くの人はそう。そんなもん普通は無いのよ。
ぶっちゃけ私もそんなもんはねえ。
そんで言っちゃうと、「自分が表現したいこと」が何もない人は、向いてない。
だから私も本来は向いてない。
私の場合は、「今回の作品はこれを表現する」みたいな感じで無理やり作ってる。
言ってしまえば、そもそもは「書きたいもの」の説明をしてたけど、私の場合はそんなもん無いから、それが作品ごと「書くべきもの」と定義して書いてる感じです。
でもここで注意してもらいたいのは、決して「読みたいもの」を書いてるわけじゃない、ってことです。

このあたり、最初の質問で「プロになると好きなものを書かせてもらえない云々」の話に繋がります。
そもそもそこで言ってる「好きなもの」は「あなたが読みたいもの」であって、それを書かせてもらうこと自体が作者の我儘に当たりますので、その我儘が通るレベルの大作家にならなければ、書かせてもらえないのは当然ですね。編集部・出版社は作家の我儘をかなえるパトロンではありませんから。
でもそれは決して「編集の指示通りに仕事する文筆奴隷のようだ」って話じゃないのは、ここまで読んで理解してくれればわかると思う。
あくまで「読みたいもの」と「書きたいもの」の違いの話で、そもそも「読みたいもの」を書こうとしてることが、まあ、間違いだとまでは言わないけど、いばらの道を歩んでますよってことですね。
そのため、「書きたいもの」を正しく見つけましょう、見つからないのが普通なので、自分で決められるように頑張りましょう。って感じの内容です。

一行のレスの前半だけでえらい長い返信になっちゃったけど、後半の「どう書けばつたわるのかわからない」は、上の考えを理解できれば、そんな難しくないと思います。
つまり、そもそもスレ主さんはイメージが曖昧で表現したいものの本体が不明瞭のまま表現しようとしてるため、「どうしたらいいかわからない」となってるだけだと思います。
例えば私の場合は上で書いた通り「今回の作品はコレを表現する」と考えますので、「コレ」まあ「変態的な恋愛」とかにしてみますか、作品を通して「変態的な恋愛」を表現したいと定義しますから、すべては「変態的」であるよう演出すれば良いだけです。
その「変態的な恋愛」にどういうシチュがあるかという部分では自分の経験や取材した知識などを使いますが、「どうしたらいいかわからない」の「どうしたら」は、私の場合は「変態的な恋愛」と決まってますから、むしろここはブレちゃいけないので、悩むことすら無いわけです。

「伝わるか」の部分は、これは難しい問題なので、とにかく書くしかないと思います。
例えば、読者が10代でも10歳と19歳では「伝わり方」が違います。
「変態的な恋愛」とか変な例えを出しちゃったけど、こんなん10歳には伝わりにくいので、17~19歳あたりを想定して、10代が知りうる性知識を前提にしながら、その扉を開けると何があるのかを書いていけば伝わるかなーとか、そんな感じ。
作品ごと、テーマごと、対象読者ごとに、「伝わるか」は細かく考えていく必要があると思う。

このレスではいろいろ書きたいことが出てくるんだけど、ちょっと既に書きすぎた。

>「受賞した人の文章を見てこういうふうに書かないと見てもらえない
最新のものを取り入れるのは良いことだけど、たまには20年以上前の自分(それを読む読者)が生まれる前の作品を読んでみてください。漫画でもいいから。できれば海外の文学がお薦めだけども。
プロの作家も、意外といろいろパクってます。
例えば私が超驚いたのは、「十二国記」って少女ファンタジーの名作を書いた小野不由美は「屍鬼」ってホラーを書いてて、これも漫画化してアニメ化してすごい人気になったんだけど、スティーブンキングの「呪われた町」をほぼ丸々パクってて演出とかもそっくりでジャパニーズホラー的にアレンジしただけの作品。
先に屍鬼を読んでから知らずに映画の呪われた町を見たんだけど、既視感しかなかったんですごい驚いた。
調べてみたらちゃんとオマージュ作品だと公言していたけども、まあ、ここまでじゃないにしろ、プロもいろいろパクってるし、そもそも「上手くパクる」のは作家の技です。
そんな感じで、古い作品を読んでみると「あれ? これ最近読んだ〇〇さんの……」ってことがよくあるよ。
ぶっちゃけ、人気作家ほどよくある。

>小説家に向いていないというのが見えてきたかもしれない
じゃあキミは、「医者に向いてるよ、勉強さえすればね!」って言われたら今から医者を目指すんかい、という話。
向き不向きは前レスで書いたけども、別に「だからあきらめろ」って話はしてなくて、私だって向いてないし才能ないよ。
向き不向きではなく手元にあるカードでやってくしかないでしょ。
そのカードを増やすことが人生を生きやすくするからカードを増やしていくのが良いけど、そのカードをいつまでも切らない人だっているし、少ないカードで適切にカードを切って必要最小限で幸せをつかむ人もいる。
私は、向いてないし才能ないから、でも成人したらお金稼がないと生活できないし、生活できないと趣味も続けられないから、「新人賞で一発当てるまで稼ぎがない」って挑戦は無謀だと思ったし、物書きスキルはあるから、ゲームシナリオの外注とか個人製作とかでお金を稼げるようカードを増やした。
物書きスキルがあるのは、向いてなくて才能なくてこういう場所でクソミソに言われても、好きで書いてたから。
向き不向きと、やりたいことをやるのは、別の話。がんばれ。
諦めるなら早い方がいいが、芸は身を助けるのも事実で、芸を身に付けるのは諦めないことだ。

>「自己満足の小説にしてはいけない」
ぶっちゃけ初心者どころか中級者くらいまではほぼ全員が自己満足の小説しか書けない。
というか、自己満足の小説すら書けない人が大半。
そもそも創作とは自己表現なので、自己満足すら出来ない作品ってのが一番ヤバい悩みで、自己満足の小説になるなら、スタートライン近くにある障害物は一応は乗り越えられてる。
そっから先の障害物は高くてなかなか自己満足から抜け出せない人が多いと思うけど、これは「読者を意識しましょう」って話を理解できれば易々乗り越えられる。

>今まで否定された人生だったので自信をつけるのが難しいかもしれませんが
その人生を創作で表現してみるのも手だと思うよ。
最初にした料理のたとえ話。あなたにとっての「和食」は「否定された人生」なのかもしれない。

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