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タイトル:複数人の思惑が別々に存在し、動機が複雑で、個人の行動原理がはっきりしない話の返信 投稿者: 大野知人

 あほくさい精神論みたいな言い回しになるけど、『実は全てを仕組んでいたラスボス』と言うキャラを仮定して(仮定な訳だから、勿論作中には登場しない)、『もし最小限のアドバイスで最悪の事態に放り込むにはどうすべきか』を逆順に考える。個人的に重要だと思うのは『最善とは何ぞや』『目的ってそれであってる?』『無能な働き者作戦』の三つですね。順に説明します。

①たまねぎ氏が政治を話題に出したからこちらもそのネタに乗っかるけど。
 例えば今の日本の官僚構造の問題点には『縄張り意識』と呼ばれるものがあって、これは要するに『俺は自分の仕事をちゃんとやっているから、他の奴の仕事のことは知らないし、別に手を貸さなくても良いと思う』っていう思想。
 なんでこうなるかと言えば、シンプルに各官僚が抱えている仕事量が多い上に関係調整を担う官僚が居ない――又はすでに彼らもまた『特定の関係を調整する』業務だけでオーバーフローしている――ためだ。
 ここでいったん整理すると、根本的には各官僚は『自分の仕事について望ましい方向に進むように意欲的に行動し、最善を尽くしている』訳だよね。そう、最善。

 ただこの思考の何がヤバいかと言うと、例えば現状の方区分上に存在しない新しい障碍者とか、新しい犯罪が登場した時に、各官僚が『自分の担当じゃないから他の誰かやるでしょ』と判断してしまえば、官僚の怠慢によって犯罪がのさばったり、差別が横行しかねないとも言える。っていうか、既になってる。
 このやり方だと、関係者全員が最善を尽くしても、『目的意識の多様性』が『官僚を必要とする案件の多様性』に追いつけなければ、至極妥当に問題が発生するんだよ。未知の事態に対して誰も関わろうとしないから。

 ちなみにこれでわからないなら、もっと単純に『役所の窓口で書類を提出しようとしたら、「ここの窓口ではありません」と言われじゃあどこに行けばいいかと問うたら「管轄外です」と言われた』と言う話に置き換えてもいい。
 やる気が無い訳じゃないし最善を尽くしてるんだけど、結果としては需要に答えられてないっていう状態ね。

 物事を上手くやろうとする、と言うのは『結果に効率的に届く』ことを優先する場合と『定期的に”比較的”良好な結果を出し続ける』という2つに分かれる。
 前者を優先すると後先考えなくなるし、後者を優先すると周囲が見えなくなる。
 両者のバランスをとればいいとは言うけれど、実際には時間は有限なのでそんな贅沢は許されない。

 逆に言うと、『最善を尽くしたのに問題が起こった』状態を作るためには、今言ったバランスをとるための材料を一個取り除いてやればいい。

 
②『目的意識を少しずらしてやればいい』
 例えば、『政治をよくするために選挙に出る人』と『当選するために選挙をする人』がいたとして、両者が全く同等のスペックを持っていたとしたら多分当選するのは後者だよね。

 でもって、実は案外どっちの人も最初は国のことを考えていて、後者の方がちょっとだけ踏み切るのが早かったんだ。
 ただ、同等のスペックと言った通り、『当選するため』に実力を出し切ってしまえば実務能力は『当選しなかった方』と比べれば当然落ちる。
 そして『当選しなかった方』は自己意識として『政治を良くしたい』と思っているから、きっと政治家以外の道で政治を変える方法を考えるよね――例えば外部から政治を批判してみるとか、『こうすればいいのに』という本を出すとか。法曹界からメスを入れるってのも良いね。
 そっから先はまぁ、現実でよく見る光景じゃない? 足の引っ張り合い、パパラッチによるスクープの数々、メディアと政党が結託してデマを流すなんて最悪の事態も作れるかも。

 政治を変えたかった人は政治批判の果てにマスゴミの犬と罵られ、選挙に勝ちたかった人は汚職クソ野郎と野次を飛ばされる。
 根っこは同じ、大元のスペックも同じ。ある意味同族と言ってもよく、少し歯車がズレれば親友になれたかもしれない二人も、ちょっとだけ目的意識をズラしてやれば悲劇の登場人物に早変わり。難しい話じゃないでしょう?

③最後は『動機は正しいけど手段がおかしい人』を作る事。いわゆる無能な働き者だよね。
 例えば後先考えずに皆助けようとしちゃう人。時々ドラマで言われることだけど、『病院で一番大事な命は、医者自身の命だ』っていう話がある。当然だけど、医者が倒れたら患者は助けられない。
 そしてこれは実の所、他の仕事でも違いはない。『その人しか出来ない仕事/技術/知識』を持っている人が頑張りすぎてしまうだけでも、一気にドミノが崩れるよね。

 別方面で言えば『他人を過信する人』ってのもいる。他人に対して『自分と同程度の善性』『自分と同程度の技術』があると思って、信じてお金を預けたり、仕事を任せて損をする人。
 その人自身が損をするだけなら良いけど、実際には周りも巻き込むことになるよね。そして更に言えば、『過信した側』が大抵善人であるゆえに周囲は義憤を持って『託された側』に強い敵意を向ける。悪意があっても、無くても。
 託された側にとってみれば、身に余る物を押し付けられた上に周りから強い恨みを買ってしまうという最悪の事態にもなりうる。
 この話、誰か幸せになるかな?

 
 で、後は今までに挙げた三つを適当に組み合わせれば、『みんな善意で頑張ったのに、結果的にギスギスした上、状況も悪化してしまう』みたいなケースはいくらでも作れると思うよ。
 

 最後に一つ、アドバイス。
 週末の夕方とか、暇があるなら都会の駅に行って何らかの団体がやってるデモを見てくると良い。
 みんな大抵善意で動いてる。誰か困ってる人や、助けたい人が居て、そのために『国は動け』と言ったり『署名に手を貸してください』と言ったり『日本を守ろう!』と言ったりしてる。
 でも、現実的には予算だったりの都合でそうはなっていない。それは彼らも理解していて、大抵一歩近付いて話を聞いてみれば『取り合えず○○の問題にだけでも対処してほしくて議会に嘆願書を~』みたいなそこそこの妥協案も出てくる。

 その上で、結果として周りを見てほしい。
 大抵の人は『うるさい奴らが居て迷惑だなぁ』と言う目でデモ隊を見ているし、デモ隊だって睨まれていい気分な訳もない。
 嘆願書を送られた議員はたぶん別に『うわあ、市民がこんなに政治に関心を持ってくれてうれしい!』なんて暢気なことを言わないし、そんなことを言っている間もデモ隊が助けたいと思っている『誰か』は病なり貧困なり差別なりに苦しんでる訳だ。

 皆が自分の仕事に真面目で、ちゃんとやる気が合ったとしても。関わる全員不幸になる事案なんていくらでもあるよ。
 どうしても作れそうにないなら、探せばいいんじゃないかな。

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