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タイトル:ファンタジー作品における人物名についての返信 投稿者: にわとり

それを言ったらジェームズだって英語圏の文化と深く結びついた名前なので、考え始めるとその異世界に英語はあるのかとか、キリスト教圏なのかみたいな問題はあるわけです。
もし厳密な意味で異世界風の命名を考えるなら、『指輪物語』のトールキンのように現地の言語を一から創作しなければならないでしょう。でもさすがにそれは労力が膨大すぎるし、設定が緻密すぎると読む方の負担も大きくなります。そこで、なんとなく"英語圏っぽい土地なら英語圏っぽい名付けにする"というお約束が許されているわけですね。なので、その異世界に存在する日本っぽい土地(たとえば『東の小国』のような)に日本人っぽい名前の人間がいることはべつに不自然ではないと思います。異世界の人名に現実世界の命名規則を当てはめているという意味ではジェームズも太郎も本質的な違いはありません。
ただ他のコメントでも指摘されているように、日本人の読者にとって日本語はあまりに馴染みがありすぎるので、異世界であることを強調するためにカタカナ表記などで適度に異化効果を狙ったほうが小説としてのおさまりが良くなる可能性はあります。あとは、海外文学によく出てくる違和感のある日本人名(『高い城の男』のタゴミとか、『ニンジャスレイヤー』のラオモト・カンとか)みたいな命名も平行世界の日本っぽさがあって面白いかもしれません。これも"海外作家の目から見た日本イメージ"というフィルターによる異化効果ですね。
ふと思ったのですが、異世界ファンタジーの執筆は「現実世界に厳密な対応物がない異世界の文物や概念を日本語でおきかえて説明する」という一種の翻訳作業を内包しているような気がします。たとえばジャガイモが(品種改良で作られた作物なので)異世界に存在するわけがなくても、ジャガイモに似た作物があればそれをジャガイモと"翻訳"するし、生態系が違っていて馬そのものがいなくても、それに似た生物を家畜化して車を牽かせていたらそれは"馬車"になります。土地柄や人名も多分同じことで、登場人物の名前の実際の発音というよりは、"英語圏っぽい雰囲気の土地"の”標準的な男性名”として、彼の名前がジェームズと訳されていると考えればいいのかもしれません。日本でも明治や大正の頃は、海外文学の翻訳で登場人物の名前を日本風に訳すということがしばしば行われていたそうですが(『フランダースの犬』のネロとパトラッシュが昔の翻訳では"清"と"ぶち"になっているのは有名な話)、それと同じようなイメージ。リアリティで変に悩んで行き詰まるよりはそういうふうに発想を転換するのがいいような気がします。

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