だが、レイヤの体の傷は二度と元に戻らないほど悪化しており、レイヤほどではないものの真名の適合儀式の悪影響でアイルは下半身不随状態に陥った。
殊に二人は千の強き者達によって幾重にも強力無比な呪いを傷口にかけられていたのである。
自分達が何年かのうちに死ぬことを悟ったレイヤは、維持神「ラガルテ=セ・レナ」の元を訪れた。
延命措置をレイヤに施すため、セレナは『創造神の真名』の『名降ろしの儀』をレイヤに執行し、儀式は無事に成功した。
だが、神の力を使いこなすには何十年もの長い月日が必要であることが後になって判明した。
体力が限界を超えたレイヤはすぐに応急措置を施され、命を助ける方法を失った二人は最後の手段を行使することになった。
その方法とは自らの魂自体を生命力に変換する禁術を使うことだった。
アイルとレイヤは苦悩の末に禁術を使用すると決断した。
そんな彼を見てある事をセレナに希う。
レイヤは「レイヤ君と私の余命を等しくして欲しいの。
思いっきり楽しく生きて、それから『あ~、楽しかった!』って言って、最期は一緒に手を繋いで、二人で逝きたいんだ」と願ったのだ。
セレナは神術によってその望みをかなえた。
その日から、レイヤとアイルの最後の蜜月が始まった。