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タイトル:プロットの膨らませ方、組み立て方についての返信 投稿者: あまくさ

スレ主様が参考にされたと思われる書籍にざっと目を通しました。内容からみて十中八九その本に間違いないと思いますが、違っていたらご容赦を。

まず10枚。そして100枚を目指して膨らませると確かに説かれていました。なるほどと思う部分もありましたが、いくつか前提条件があるようですね。
私なりに要約してみます。

1)最終目標は、約400枚(400字詰め原稿用紙換算)の公募用原稿。

2)プロットを起こし始めてから本編の脱稿までに1年ほどを見込む。(本業・学業・家事・趣味などのため執筆にフルタイムをあてられないことを前提とした期間)

3)5W1Hを基本にして、まずストーリーの骨格を10枚程度にまとめる。

4)3に肉付けすることにより、20枚、40枚、80枚~100枚程度を目指して膨らませる。

5)4の文章は、自分だけに分かるメモ書きのようなものでよい。(したがって100枚でも、50枚の短編小説よりも遥かに早く書けるとのこと)

6)5でまとめた100枚プロット(あまくさ仮称)の中には本編に必要なすべての要素、すべてのエピソードを揃える。

7)100枚プロットをまとめる過程の中で、各要素の矛盾点などを洗い出し、エピソードの過不足、最適な順序などを検討する。

8)7を元にして本番の400枚を執筆する。

以上は私の解釈で多少アレンジした部分もありますが、概ねこういうことだと思います。

で、感想。

まず、これは普通プロットと呼ばれているものとは違うように思います。プロット以上、本編以下のラフ・スケッチという感じでしょうか?
このような作業を実行したことがない私としては是非までは分かりませんが、一つの方法として有りだとは思いました。

私見ですが、上の箇条書きのうち重要なのは3・6・7かと。

3は、サタンさんがよく言われる「物語の最小単位」に相当するように思います。ただし最小単位の考え方も人によって様々。10枚も必要ないという意見もあります。上記では5W1H(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように)の6項目に一定の具体性を与えると10枚くらいになるという考え方なのでしょう。

6・7は物語の要素だけではなく、それがどう繋がればストーリーがラストまで展開していくかという流れを作者が余すことなく把握する段階ということです。
例えばプッロトを作る時に、「何らかのエピソードをきっかけに主人公とヒロインの心が通じ合うようになる」みたいなことを書いていませんか? そういう段階で本番を書き始めてしまうと、「何らかのエピソード」を捻りだすために執筆が止まってしまいますし、妙案を思いついたとしても他の部分との整合性が悪く練り直しを迫られるかもしれません。そこで前に遡って書き直すとか、先の展開を変えるということを始めるとストーリー全体がどんどん歪になってゆき、大抵は収拾がつかなくなります(経験談)。結局、そこまで苦心して書いたことをバッサリ捨てなければならない羽目になりかねません(経験談)。
プロットの段階ならそうなっても諦めもつきやすいですよね? だから本番を始める前にそういうことはすませておけ、という話。それに必要な枚数があの本の著者の考えでは100枚ということなのでしょう。

ただし。
あの著者も、多くのプロは数枚程度のプロットですませているようだとも書いていましたよ。
つまり熟練によりストーリー作りのコツを体得しきっていれば、100枚を数枚に短縮するのも可能だということなのでは?

したがって、

>当方現在複数のプロットを動かしているのですが、分量が原稿用紙にして30枚にも達しないほどにしかなりません。どれも起承転結、単行本一巻分程度のイベントは準備したと思っているのですが…

イベントをどれだけ用意したか、それに何枚を要したかは実は重要ではないように思いますよ。30枚足らずだろうと数枚だろうと、6・7が満たせているのならそれで十分なんじゃないかと。要は物語のラフ・スケッチが(紙の上でも、頭の中でも)完成していて、ただ清書すれば本編が完成する状態まで練り上げられているかどうかの問題です。

繰り返しますが、本番執筆→破綻という事態を回避するために100枚のプロットを書くという方法が、誰にでも適しているかどうかは私には分かりません。見切り発車で本番を数多く手がけ、試行錯誤しながら物語作りのコツを身につけていくという方法だってあり得ます。人によっては早い段階から「三幕構成」などのシナリオ・テンプレートを学んで効率よくコツを習得するといった方法がより向いているかもしれませんし。
そのあたりは自身の適性や現状を考えて選択するしかないと思います。

(余談1)
100枚プロットについての章の後、新人賞の審査について書かれていたのが個人的に興味深いものでした。
新人賞は減点法。結果的に欠点とずば抜けた美点が同居する作品より、瑕疵の少ない作品が選ばれやすい。これは他でも聞いたことがありますが、その理由が身も蓋もないほど明快だったんです。

多数の人の話し合いで決まるから。

なるほど、それは日本人なら絶対、無難な線に落ち着きますよね。和をもって尊しとなす、ですから(笑)。目から鱗が落ちるとはこのことです。
いやもうホントになるほどです。だから、公募では冒険してはいけないという、うすうす感じていながら誰も暴露しなかった真実!
視点のブレが絶対的にタブーになる理由もわかりました。小説業界関係者が5人くらい集まったら、視点ブレが嫌いな人が絶対一人はいますからね。

ハリウッドのプロデューサーの言葉を思い出しました。

「同じだけど違うってヤツが欲しいんだよ」

なんだ。アメリカでも通用するじゃないか(笑
時代を10歩先取りしてはダメ。2歩くらい先取りしろってこと。

(余談2)
あとがきに、諸事情によって実際の小説の書き方について説明できなかった、いずれそれについての本を書きたいと思っているとあり、質問があればメールで受け付ける旨が書かれていましたよ。
いっそ、そちらに質問してみるのもいいのではないでしょうか?

てか、私が何か質問してみようかな。
身も蓋もないほどリアルな回答がもらえることを期待して。(和をもって尊しの方かもしれませんが)

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