>とあるシリーズでは特徴的な口調のおかげで、
特徴的な口調やセリフ回しのあるキャラは、文字だけの小説においてはそれが一番目立つので注目されがちです。
でも、例えば「割と序盤で出てきた吸血鬼の天敵の女の子」と言ったら、これが誰を指してるのかわかりませんかね? 「その子と一緒にいた錬金術師」と言ったら、わかるのでは?
私は今、特徴的なセリフを使っていないし、キャラの名前も出していない。ひょっとしたらキャラ名を忘れてらっこさんも名前を思い出せないかもしれない。
でも、とあるシリーズを読んでる人なら、「ああ、あの子ね」と思い出したのではないでしょうか。
特徴的な口調や設定は、目立ちますが、あまり印象には残りません。
では何故「吸血鬼の天敵の女の子」と言ってすぐに思い出せたのかと言えば、これはキャラを思い出したのではなく「吸血鬼の天敵の女の子の話」というエピソードを思い出しているためです。
なので、正しく名前を思い出せないけどイメージでは思い出せるということがある。
この例の場合は単行本一冊まるごと使ったエピソードだけど、キャラクター一人に焦点を当てた掌編規模の小さいエピソードが本編に混ぜ込まれたりしています。
このため、例えば「ああ、序盤で万引きした子か」とか「あー、いじめられてた子か」と、名前は思い出せなくてもイメージが思い出せる。
そして、こうしたエピソードをキャラごとにやっていたら、ページ数が足らなくて新人賞規模だとせいぜい5人くらいが上限になっちゃう。
とは言え、あくまでそのくらいを基準に、それ以上は無理だという話ではないので、試行錯誤すればなんとかなるかもしれませんね。
やたらキャラが出てくる物語は、ラノベでも無いことはないです。
前述したバッカーノなど群像劇をはじめ、多視点の物語になると視点ごとにキャラの関係性を示すサブキャラが配置されるので、視点が多いほどキャラが多く、一巻だけで10人も20人も名前が出てくる作品もありますから。