あくまで個人的な回答だけれど、「ゲスい悪役。でも好感を持たれるようにしたい」というのは端的に言ってどっちつかずなキャライメージで、良くないと思う。
ゲスならゲスに振り切って、読者の不快感さえ煽るキャラにしてしまったほうが良い気がする。
そのうえで問題になるのは「好感度」の話。
でもこれは分けて考えれば単純なことで、ようは「好感が持てるようなエピソード」を作りゃいいだけです。
古典にして典型な好例では「不良が雨の日に捨て猫を拾う」というエピソードですね。
このエピソードは、不良はそれまで「捨て猫を拾うような良いヤツではない」という不良の不良らしさをアピールしているからこそ、「あれ、実は良いヤツ?」ってな印象を与えます。
間違えてはならないのは、「捨て猫を拾うような優しい一面がある不良」としては描かれていないという事。
「そんなことしそうにない不良」が「捨て猫を拾う」から、そのギャップが好印象に映る。
そしてそれら両方のエピソードを読んだ読者は総合的に「優しい一面のある不良」という印象を得るわけで、最初から「優しい一面のある不良」という演出で書いてはいない。
スレ主さんのお悩みは「不快にならないような、良い煽り方はなんだろう?」というものですが、私からの回答は「それは不快で良い。むしろ突き抜けたゲスを書く。そのうえで、そんなゲスに似合わない『捨て猫を拾う』ような好感エピソードを作るべし」です。
やや難度が高くなるけど、この「ゲス」と「好感」を同時に行うこともできます。
例えば、卑怯なやりかたでヒロインを拉致して主人公をおびき出す。悪役はヒロインに対しても煽りまくるけど、部下の1人がヒロインに手を付けようとしたら悪役に見つかりボコボコにされて、悪役は態度こそ悪いけどそれを抜きにすると実に紳士的にヒロインに接していたことがわかる。
みたいな。
「ゲスな悪役の目的は主人公だけ」みたいな行動原理が作れていて、かつこの例で言うとヒロインのようなゲスい悪役の優しさを代弁できるキャラがいると、こういうのはやりやすいね。
でも、やっぱゲスなキャラなのに好感度を気にしてるような態度になるので、その行動理由を明確に説明できる設定や展開がないと、やはりどっちつかずの変なキャラになってしまうので、難度は高めだと思います。
「不良が捨て猫を拾う」で説明した通り、「ゲス」な人物が「良いこと」をしちゃいけない理由はないので、ゲスな悪役にとっては気まぐれな行動という展開にしても「好感の持てるエピソード」は両立できます。
ただ、同時にやると難度が高いと思うので、別個で考えて、「ゲス」はゲスに振り切ったほうが良いと思うし、「好感エピソード」はワンポイントで意外な一面として書けば良いと思う。