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タイトル:承認欲求の充足 投稿者: あまくさ

スレ主様が前半に示されている「最近のラブコメの流行」に沿って、少し考えてみます。

1)「クラス内では根暗だけど、実は隠れイケメンな主人公」が
2)「トップカーストに位置するヒロイン」に対して何かをしでかし
3)「ヒロインがそれを理由に一目惚れ」して
4)「周りを巻き込むドタバタな日常」が始まる。

4以降は「主人公とヒロインがイチャコラ」するだけになってしまう場合もあるかもしれませんが、1~3には物語としてのコンセプトは含まれているように思います。

1では、主人公が人間関係において不遇な状況(キャラクター・プロブレム)におかれていることと、実は隠れた真価を秘めているという二つの現状が設定されています。

2では、主人公を不遇に追いやっている状況を「スクール・カースト」と規定し、それを打破する行動を主人公が起こします。(そういうことと本人が自覚している必要はありません)

3は2の結果ですね。カースト下層の主人公にトップカーストのヒロインが一目惚れするという「大逆転」が起こっています。

このように見ていくと、1~3は上手く書きさえすればけっこう面白いストーリーになる要素が含まれているように思うのですが、いかがでしょうか?

問題は。
ここまでで終わってしまうと「問題提起だけ」になってしまうという弱さはあるかもしれませんね。

ヒロインが主人公に惚れるのは問題提起に対する一応の解決にすぎないわけで、それだけで満足して後は主人公とヒロインがイチャコラするだけだと、読者によっては物足りないと感じてしまうのかもしれません。

で。

じゃあ、1~3の先に何があるのか、です。

ここで、最近よく言われる「承認欲求」という言葉をキーワードとしてあげておきます。

1~3だけでも読者にそれなりの満足感を与えることはできそうです。それは、トップカーストのヒロインに惚れられることによって主人公≠読者の承認欲求(認められたいという欲求)が満たされるからです。

ただし、承認欲求には2種類あると言われています。
それは「他者承認欲求」と「自己承認欲求」。前者は「他人から認められたいという欲求」、後者は「自分を認めたいという欲求」です。

上記の1において、主人公には何らかの「真価」があることが示されているんですね。多くの場合それは読者だけが知らされていることで、当の主人公さえも十分に自覚していなかったりします。この設定によって読者は、主人公の真価を知っているのだけれど物語中の誰もそれに気づいていないという苛立ちを覚えます。そして苛立ちは「皆、コイツのよさに早く気づいてやれよ」という期待感を生みます。

なので、2において主人公がヒロインに対して起こす行動は、主人公の真価に関わる何かでなければいけません。そして「ヒロインが主人公に一目惚れした」のは、ヒロインが主人公の真価の第一発見者になったという意味を持ちます。

以上のような心理の流れによって、1~3の展開は主人公≠読者の「他者承認欲求」を充たしてくれるわけです。そして、1~3の発展形は主人公の「他者承認欲求」を深めることによって「自己承認欲求」の充足(主人公自身が、ありのままの自分を発見する)という方向性ではないか、ということも見えてきます。

これが、1~3の展開の「本筋」になります。ここを見誤って主人公の真価やヒロインが主人公に一目惚れするイベントを不適切に配置してしまうと、効果がでなかったり取ってつけたような印象を読者に与えてしまうことになります。
そこを間違えないということが「本筋」という言葉の意味なのです。

スレ主様が例に挙げられていた「本物を見つける」「気兼ねなく接することができる友達を作る」というような最終目標の成否は、上記のような本筋に沿ってエピソードを適切にストーリーに絡ませることができているかどうかにかかっています。

そのような意味で、

>これらと同じで、やはりラブコメというジャンルであろうと、物語の本筋に沿った最終目標を設定した方が良いと思ってます。

と仰っていたのだとしたら同意できます。
しかし繰り返しますが1~3の流れの中に本筋はちゃんとあるんですね。なので、スレ主様が「物語の本筋」ということをどのうように捉えているのかが気になった次第です。

質問の文面を拝見する限り、スレ主様は「本筋」と「テーマ」を混同されているところがあるような気がしました。私の勘違いでしたらお許しください。

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