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タイトル:全体を見通した上でのシーンの意味の返信の返信の返信 投稿者: 兵藤晴佳

木下順二は、ドラマトゥルギーを支えるものとして「2つの力がなぜ対立するのか」を問題にしています。さらに、その対立の根源的な理由は現実の中にあるといいます。優れた創り手は、それが変化をもたらす対立であることを受け手に示すということです。
そこまで行くと、もう創り手の世界観(思想)の問題になってきます。書いたものには作者のものの考え方が現れてしまうわけですね。恐ろしいことです。

その一歩手前のところでいえば、劇的な対立は変化を起こし続けるということになります。逆に言えば、書き手はそのために、次々に対立と危機のレベルを上げていかなければなりません。それが「ひねり」だといえばそうでしょう。登場人物にとって予想外の「危機」です。
こう考えると、「器用に作品をまとめあげる」ことは、対立と変化の関係の語り方によるといえそうです。

名作が何度も読み返すに足るのは、ここにとどまらないからでしょう。やはり、それは書き手がいかに現実と向き合うかというところにかかってくるのではないかと思います。作品中にあらわれた「対立の構図」に、読者が「ああ、そういうことってあるよな」と思えることが、読み返しを誘う本当の感動となるのでしょう。

ただし。
作品が読者の間口に合わないと、どんな傑作でも埋もれてしまうものです。
就学前児童に古典落語は理解できません。
ナチスから解放されたパリで観客を大爆笑させたベケットの『ゴドーを待ちながら』を、戦火の「せ」の字もしらないフロリダのマイアミビーチで上演したところ、幕が降りた劇場に残っていたのは、劇団関係者とテネシー・ウィリアムズ(と、ワイルダーだったかな?)だけだったそうです。
満を持した作品が受けなかったときは、これを思い出して自分を慰めるしかないですね。

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