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タイトル:リンク先について、続き 投稿者: あまくさ

リンク先の文章を簡単に要約すると、戯曲とは、

1)現実の事象の中から「入り組んだ対立」を拾い上げ、

2)それを戯曲という形式に落とし込むことによって「整理された対立」に変質させ、

3)その「整理された対立」を観客と共有することによって初めて完成する。

4)日本の作家がそのような外来の戯曲の形を取り入れることが困難だったのは、作者と観客のよって立つ現実のあり方が西洋のそれと異なっているため、劇作術だけを取り入れても内容が伴わなかったから。

私なりの理解でだいぶ意訳しましたが、こういうことだと思います。

で、言いたいことは分かるけど、いろいろ異論があります。

まず論者は「思想」と書いているのですが、上記の1~4はどう考えても思想ではありません。強いて言えば1における入り組んだ対立への着目と、2における整理の仕方が思想になるのだと思われます。1~4の全体については、それを含む「状況及びアプローチの方法」と捉える方が妥当ではないでしょうか?
ただ、一般用語として「設計思想」のようにコンセプトのことを思想と言い表す場合もあるんですね。論者がそのような思想という言葉の二つの用法を錯綜させているとまでは言いませんが、思想という言葉の定義をあいまいにしているために何を言いたいのかがぼやけてしまっているように思われます。

まあ、これは私流の解釈であって間違っていたら指摘してほしいのですが、要するに作品を通して作者と観客が「思想」を共有することが重要だと言っているのであって、素材をどう料理して共有を実現するかは方法論の話なのだから、ドラマツルギーという言葉そのものは劇作術と訳して何ら問題ないと思うんですよ。

また、ピラミッド型の五幕形式というのにも少し疑問があります。
まず日本の伝統的な方式としている「順々に事件を並べていく絵巻物的方法」との対比ですが、これは単に構成という概念の有無を言いているにすぎません。「中・近世の説話型の物語には仕掛けがないね」という程度の話であって、今時ストーリーに仕掛けを施すなんてラ研の参加者だって普通に考えていますよ。
それと五幕形式の内容説明にしても、あれだと真ん中あたりが盛り上がる構成になっているようで、純粋に思想を整理する方法としてはよいのかもしれませんが、少なくともエンタメ・ストーリーの構成としては適当ではないでしょう。

ちなにご存じかと思いますがハリウッド式の三幕構成は、真ん中に折り返し地点をおいて、前半に小さな山、後半に大きな山を作るのが基本的なストーリーのカーブ。そして前半の山を主人公の不完全な目的達成、後半の山を真の目的達成と位置付けるなど、ピラミッド型よりは複雑なプロットになっています。

論者は楽しませるだけのストーリーを否定し、戯曲は現実を変えなければダメだというようなことも言っていますから、創作に対する目的意識が根本的に異なるのかもしれませんが。

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