情景描写のテクニックよりも、そこに情景描写を挿入することによってどんな効果をねらうのかに注意した方がいいかなと思います。
ふじたにかなめさんが仰るようにキャラクターの心情を伝えるために情景描写を使うこともありますし、場面が変わった時などに、その場所の空気感を伝えることが効果的だと思ったときに描写を入れることもあります。
また、特にそういう狙いはなくても、行動主体の緊迫した場面や、必要に迫られて設定説明的なパートを書いた後などに、「息抜き」として風景描写を少し挟んでみるといった場合もあります。
流れが一本調子になることを避け、緩急をつけるためにも情景描写は使えるんですね。逆にそこを考えないで思い付きだけで書いていると、描写のテクニックだけは素晴らしくてもだらだらして退屈になってしまうおそれもあります。
なのでまずは、なぜここで情景描写が必要なのか考えること。
次にそれをどう描くかですが。
ふじたにさんがとてもよい例をあげてくださっているので、失礼して便乗します。
>ウキウキなら、「空は青く爽やかだ」
>苛々しているなら、「空の青が、目障りで鬱陶しい」
これをもう1歩進めることもできます。
あえて「爽やか」と書かずに、空の青さを爽やかに描写することによって主人公の爽やかになっている心情を伝える、という方法もあるわけです。
描写そのものがうまく書けるかどうかは、はっきり言って経験をつんでうまくなるしかありません。
しかし、上記のようなことを考えながら書いていれば、「ここで青空について書くにしても、どんなふうに書けばいいのか」という方向性が見えるでしょう? 書き手が目的を意識して書いていれば、うまく書けたかどうかはその目的に近づいているかどうかで判断できるので、何も考えずに書くよりも上達の早道だと思います。
目的意識はつねに必要。
目的地を知らずに闇雲に歩いていると、自分が目的地に近づいているかどうか分からないからです。その結果、あと少しで目的地につけることに気づかず諦めてしまったり、方向を見失って迷子になったりします。