水商売の女に入れあげた男と、友達の会話。
「あの娘は絶対、オレに惚れてるぜ」
「あほか。そう思わせるのが手じゃないか」
しかし騙されているあいだが花なわけで。
以下は先の書き込みで提案した「芯が強いから優しくできるヒロイン」とは違う発想になります。われながら二重人格だなと思わなくもないですが、まあ、幅広くいろいろ考えてみようということで。
「包容力」は世話焼きなわけじゃなくて、相手の心を包み込んで安心させる「人たらし」のテクニック。
それでいて「守ってやりたい」と思わせるフェロモン。
高級娼婦みたいなものですが、騙されている男にとって騙されているあいだは彼女はけして悪女ではないわけです。自分にだけは真実の姿をみせてくれていると信じています。
小説というのは読者を騙してカタルシスを与えるものなので、「包容力があったり庇護欲をそそられたりするヒロイン」は究極の理想的ヒロインなのかもな、という気もします。でも可愛らしくて無垢にみえるのは本質ではないので、作者まで惑わされることはないかと。
そう割り切ってキャラから距離をとりながらストーリーを考えれば、べつに主人公を雇うようなポジションはミスマッチではないと思いますよ。
世知辛いこととは無縁にみえる優し気なヒロインが、さりげない所できっちり仕切ってみせる様子は、たぶんちょっぴりミステリアスでもあります。