常識で考えたら物理的に不可能な状況を作るのもひとつの手です。
菊池秀行『吸血鬼ハンターD』で分かりやすいのは、もちろん「血戦・ひとり15秒」という、人質を取られてのタイムアタックです。
しかし、他にも、ミドウィッチの蛇女との対決などもひとつの例になります。
妖艶な女たちの身体に四肢を絡めとられて身動きが取れない状況で、レーザーの光も斬り落とすといわれる剣をどうやって振るうのかという点に読者の興味は集中します。
つまり、「ミッション・インポッシブル」への興味ですね。これが緊迫感を掻き立てます。
先述したタイムアタックにも、「いかなる勝算ありや」という煽り文句が入っているのはそのためでしょう。