小説の創作相談掲示板:小説の書き方Q&A。執筆の悩み相談をしよう!

返信する!以下は元記事

タイトル:視点変更を使った物語を新人賞で出すことについての返信 投稿者: あまくさ

昔も今も、「視点縛りルール」なんてものが存在したことはありません。
視点と人称は純粋に技術的な問題です。基本を知らずに安易に動かすと破綻することもあるので、注意した方がよいということは言えます。

視点と人称について詳しく説明しはじめると簡単にはすまないので、以下できるだけザックリと書きます。

まず。
一人称と三人称の違いと特徴はお分かりでしょうか?

一人称はそもそも視点を固定してこそ成り立つ手法なので、少なくとも頻繁に視点変更することはできません。ただし一定の効果をねらって、章単位など明確な区切りをつけた上で視点変更する書き方なら可能です。
一定の効果とは、例えばずっと主人公視点で通しながら、ときどき他のキャラクターの目を通すことによって同じエピソードがまったく違った様相を帯びてくるという「認識のギャップ」を演出する場合などです。

三人称の場合は、視点変更が自由にできます。ただし、できるからといってあまり無闇にやると読者が大混乱してしまうので、匙加減は重要になります。その匙加減をマスターするにはけっこう慣れが必要なので、「視点変更を使って良いのはプロになってから」という言い方をする人がいるわけです。そういう意味でなら今も昔も変わりません。そしてこれをマスターするためには、少なくとも一人称と三人称の違いをきっちり理解している必要があります。

   *   *   *

なお。
視点移動はNGではないけれど安易にはやらない方がよい理由は、読者が混乱しやすいということの他にもう一つあります。
それは、感情移入がリセットされかねないという弊害です。

視点変更のデメリットが、変更の分かりにくさから混乱をさそうということだけならば、分かりやすく書けばよいだけということになります。そこである程度のまとまりを同一視点で書き、切り替わりの部分を明確にする配慮があれば大丈夫と思いがちです。

ですが、ここにもう一つ問題があるんですね。

ある程度のあいだ一人のキャラクターに視点を固定すると、読者はそのキャラの目を通して物語をみることに慣れてきます。すると自然にそのキャラに親近感をいだくようになります。それを感情移入というわけですが、そこで急に視点を変更すると、せっかくあるキャラに親近感をいだいてきた読者の気持ちにリセットがかかってしまうおそれがあるんです。

ただ。

そういう問題があるから視点は絶対に変更してはならないというわけではなく、世界観や動きの大きいストーリーの場合は積極的に視点変更をした方が面白くなることもあります。
あくまで上記のような難しさがあることを知った上で、使いこなせる自信があるなら使ってもいいということです。

コメントは4500文字以内。

「私はロボットではありません」にチェックを入れてください。

トップページへ 「視点変更を使った物語を新人賞で出すことについて」のスレッドへ

小説の書き方Q&A:創作相談掲示板の使い方・利用規約(必ずお読みください)。お問い合わせ