いや、異世界転生モノだって舞台は「この宇宙とは別の架空の世界」ですよ?
あなたの仰る「異世界転生モノ」と「架空世界ファンタジー」の違いは、舞台ではなく主人公の方です。主人公を現代日本からの転生者にしておけば、読者と同じ常識を共有しているからストーリーが進めやすいというだけの話です。
で、どんな形式にも、一長一短はあります。
異世界転生モノの利点は、
>主人公の動機とか、異世界の設定の説明も比較的自然、そして作品のテーマとかも決まりやすいと思います。
主人公の動機や設定説明がスムーズなのはその通りでしょうが、作品のテーマが決まりやすいということはありません。
というか、むしろ逆に転生モノは主人公の常識が読者のそれに近いからストーリーを展開させやすいとは言えますが、それだけに世界観のスケールが読者の常識の範囲に収まってしまいませんか?
>異世界転生モノは設定と物語の推進力や見せ場が結びついてるように思うのですが、
どうしてそう思うのか、もう少し具体的に説明してくれないかな?
転生者だろうと生粋の異世界人だろうと、物語の肝になるような事件がスタートした時点ではその世界の住人でしょう? その世界のルールや環境に支配されながら、自分を守るため、誰かを助けるため、何かを手に入れるために戦うのではないでしょうか? だから転生モノはテーマと結びつきやすく、純粋なハイファンタジーは結びつきにくいということはないと思います。
そしてね。
転生モノの主人公は読者との距離が近いからストーリーが組みやすいということについては、逆に言えばそういう主人公じゃないと話が作れないのは作者の実力不足だと思うんだけど。
異世界人だって同じ人間であるならば、現代の日本人が理解できる行動原理を持たせてもおかしくはありません。例えば家族や友達を傷つけられたら怒りを感じて立ち上がるという心情や行動は、十分読者の共感を得られるのではないでしょうか?
>架空世界ファンタジーだからこそ見せることができる面白さや美点、テーマってあるのでしょうか。
じゃあ、転生モノだからこそ見せることができる面白さや美点、テーマとは?
私に言わせれば転生モノは最初から主人公と読者の距離が近いということの他にこれと言って利点があるわけではなく、安易にそれに頼るだけの作者だと、世界観が日常系と大して変わらなくなってしまいかねない気さえします。
異世界オンリーで世界観を伝え、読者をぐいぐい物語に引き込むのはやや難易度が高いかもしれませんが、自由な発想で大きな物語を構築したい書き手にとっては悪くない選択なんじゃないかと思いますよ。