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タイトル:起承転結の起についての返信 投稿者: 手塚満

結論から申しますと、中盤で見栄えするシーンを冒頭に置くのは、原則としてやめておくのが無難です。複数の点で不利になりやすいからです。しかし、例外的なパターンはないわけではありません。以下、多少説明してみます。

1.好奇心の源となる謎は2割程度が限度

お考えのように繰り返しでは、読者に既知になってしまう問題があります。もう一度読み直させるようなものです。新鮮さ、驚き等の感動は一度しか呼び起こせないと思うべきでしょう。

読み進めるモチベを維持してもらうには、よく言われるのが謎を残しておくというものです。好奇心を呼び起こすからですね。しかし、あまりにも謎だらけでは意味不明に傾き、読み進む意欲を妨げます。謎比率を増やすとしても、八割分かって二割が不明くらいが限界でしょうか。

2.冒頭と中盤での読者に溜まった情報量の差

もし、冒頭に置いても八割がた分かるようなシーンなら、中盤では力不足となります。序盤から中盤にかけて、キャラ、世界の情報は読者に伝わります。そこへそういうった前提知識抜きでも八割がた分かるシーンを持ってきたらどうなるか。分かり過ぎ、ありきたりとなりがちです。

逆に中盤で映えるシーンであるなら、冒頭で八割分かるのは無理でしょう。やはり前提知識の問題です。かなりキャラや世界が分かってこそ面白いシーンなら、作品知識が白紙状態の冒頭では、二割分かるが八割分からない、になりがちです。これでは読者に対するツカミになりません。

3.中盤の繰り返しは読み飛ばしても変わらなくなる

しかも、冒頭を中盤で繰り返しはじめたら、読者はもう何が起こるか知っています。せっかく中盤で盛り上がるように書けていても、もう知っているのでは興奮をかき立てるのは無理になります。

読者は分かり切ったことは読まないでしょう。冒頭の最後がどこか、探すだけになりそうです。ですので、原則として中盤(や終盤)のシーンを単に冒頭に持ってくるのはお勧めできません。

4.繰り返しを積極的に用いる場合もある

しかし例外はあります。例えば冒頭で、

「剣士 vs 魔法使いのバトル。生真面目な感じの剣士は「友の仇だ」と言って斬りかかる。傲岸不遜な魔法使いも応戦して激戦となり、一瞬の隙をついて剣士が魔法使いの胸を剣で貫く」

というシーン描写をしたとします。魔法使いが悪役っぽく見えるでしょう。このシーンが中盤でも現れるとします。

4-1.シーンの意味が違って見えるやり方

中盤で同じシーンを描くとして、そこまでの情報で状況を読者に提示するわけですね。例えば、以下のような状況を明らかにする、あるいは暗示しておくと、シーンの意味が変わってきます。

A. 魔法使いの親が、剣士の「友」に騙され、惨殺されていた。
B. 「友」が生きていた。
C. 魔法使いが「友」の親(か兄弟姉妹)であった。

これらだと、冒頭では「正義が悪を倒した」感じに見えても、中盤の繰り返しでは「主人公の過ち」という真相に変わります。意味が違うなら、繰り返しでも新鮮になり得ます。

4-2.失敗→成功のスパイラル

これは繰り返しではなく、似た事件を2回用いるものです。冒頭よりは、序盤から中盤での出来事が悲劇、惨事といった失敗で、終盤のクライマックスで成功に転じるパターンが多いでしょう。しかし、冒頭と中盤にも応用可能です。

「魔法使いを倒してみたが、魔法使いは大きな災厄の封印の役割を果たしていた。魔法使いの今際の言葉で「友」は、騙されて災厄を招こうとしていたと分かる。魔法使いが絶命したために災厄が起こりかけたが、別の魔法使いが自らの身を以て再封印した。そこへ「友」を惑わした悪役が現れ、その魔法使いを倒して災厄を起こそうとする」

といったものが考えられます。剣士は最初の戦いで、封印の魔法使いを守ることこそが果たすべき使命であったと知り、次の封印の魔法使いを守りきり、「友」の本当の仇を討とうとする、という話になります。

5.意図的に繰り返しての効果を考えられるかどうか

いずれもこの場の思い付きで練れていなくて済みません。説明用のサンプルと割り切っていただけると幸いです。ポイントは、見栄えするからという消極的な理由ではなく、繰り返すから効果があるという積極的な利用なら可だということです。

この他にもいろいろパターンがあるとは思いますが、お考えの物語に即したものはおそらくあるでしょう。もし適当なものが見つからない、思いつかないなら、その中盤のシーンは冒頭に向かないと割り切ることも必要かと思います。

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