かれはさんからの質問
　小説家の副業とはどんなもの？
　 　
　こんにちは。
　ちょくちょく投稿している『かれは』といいます。

　早速質問です。
　いろいろな小説のハウツー本を読むと、よく
　『小説のみで食っていける人は少なく、大半は副業をしている』
　と書かれています。
　これを初めに聞いたときは、かなりグサッときました……
　そんなことはさておき、そのとき思ったのが
　『小説家の副業』とは具体的にどのようなものなのか？
　ということです。
　これは例えば、有名作家さんのアシスタントや雑用といったことなのでしょうか？
　それとも個人で行っているもの(会社の勤務やアルバイト等)なのでしょうか？

　このことがずっと気になっています。
　どなたか教えて下さい。お願いします。
　長文失礼します。


● 答え ●

へんすーささんの意見
　こんにちは。
　ちょくちょく覗かせて頂いております。
　ラノベ業界のはしっこで編集をしている者で、
　ここでの議論は作品をチェックする時の勉強になると思い、いつも楽しく拝見しております。
　で、作家さんの副業ということで、

　実際に見てみると結構皆さん本業、もしくはアルバイトをしながら書いておられますね。
　筆一本で食べているような方は、全体の３分の１程度。くらいでしょうか。

　そういう方はもちろん、作業量がものすごい事になっているか、
　寡作ながらもしっかりと売れているような方か……です。

　一番多いのが、サラリーマンをしながら、とか自営業を営みながら、という方です。
　ついで、校正をしたり、ライターをしたり、ゲーム、アニメの脚本などといった、
　こちら側の仕事の片手間でやっておられる方。
（こういう方は、文章的に安定している方が多いので、色々と仕事をふったりしています。
　夢を壊しちゃうような事も……）
　そして、アルバイトをしたりしながらがんばっておられる方。
　あと、時々学生の方もおられます。

　筆一本で生活されている方についても、
　必ずしも裕福なわけでもなく、時々将来について相談されることもあります。
　こちらとしては、書いて頂きたいのですが、　
　作家さん自身で生活を考えて作家を廃業された方も何人かおられます。

　ただ、いずれにせよ生き残っていく方は、
　どなたも志が高く、向上心に溢れている方ばかりです。

　芸のためなら女房も泣かす、じゃないですけれど
　そういう心理の方が結構多い気がします。

　それでは失礼しました。
　またＲＯＭに戻ります。


所長からの補足
「新人賞を受賞した者は、ガンの告知を受けたもののようだ。５年後の生存率は極めて低い」
　と言われています。
　作家はデビューするのが難しいだけでなく、その地位を維持するのが大変困難な職業です。
　ライトノベル業界を見回してみても、１０年という長いスパンで作品を断続的に発表している人は、
　本当に人気と実力のある一部の作家さんだけです。

　ほとんどの人は、１、２作発表して消えてしまうか、シリーズを未完の状態にしたまま続編を出さず、
　いつの間にか消えてしまっています。

　私の好きだった「アンジュ・ガルディアン」も2002年1月に２巻が発表されて以来、
　続巻が出ておらず、もはや続きを読むのは絶望的です（汗）。年見 悟さん、カムバック希望！
　毎年たくさんの新人作家がデビューしますが、その中で生き残っていく人は、
　１０人に１人もいない状態なのですね。
　また、出版業界そのもの不況で、本が売れなくなってきており、　
　生計を作家業一本に絞るのはリスクが大きいと言えます。

　余談ですが、専業作家になると収入が不安定であるということから、
　ローンを組んだり、銀行から融資を受けたり、カードを作ったりすることも、まずできなくなります。
　銀行的信用がゼロになるのですね。
　作家の鈴木輝一郎さんは、もし専業作家になるのであれば、
　会社員時代に可能な限りたくさんのクレジットカードに加入しておきない、と述べています。
　小説家になったら、クレジットカードの審査は通らないと思って間違いないようです。

　例え新人賞に受賞したとしても、会社や勤め先を辞めてしまうのは大変危険です。
　作家業の他にも、なにか副業をして収入の道を作っておく必要があるでしょう。