第4研究室 創作に関するQ&A 126P | トップへ戻る |
克さんからの質問
 スピード感のある描写とは?
 
 こんばんは克と申します。
 書き込むこと等、あまりないので知らぬ方多きことと思います。

 現在執筆中の作品はスピード感(もしくは重力感?)に重点置いて書いているのですが、
 いまいち場の雰囲気のようなものが伝わりません、なにか思うことがあれば一声おかけください

 ちなみにどんなものを目指しているかと言うと、
 ……漫画で言うと「エア・ギア」のような多角度視点のような感じです(例えるの難しいな)。


● 答え ●

北野卵さんの意見
 私が知る限りは二つあります。

 一つはなるべく表現を簡素にし、一文を短くして改行を重ねることです。

 こうすれば、読者はテンポよく読んでいくことができて、
 結果的にスピード感を感じる(何か変な表現だなあ)でしょう。
 
 もう一つは、沢山の出来事を短く圧縮し、それを並べていく方法です。
 
 そうすれば、スピード感だけでなく、重量感も味わってもらえるでしょう。
 しかし、この二つには当然ながら欠点があります。
 前者。この方法だと、どうしても安っぽくなりがちです。
 必要な部分をきっちりと入れないと、高確率で駄作になります。
 また、改行を重ねすぎると、かえって読みづらくなる場合もあるので注意が必要です。

 後者。この方法だと、沢山のネタが必要です。内容が薄いと、やはり高確率で駄作になります。
 あと、書くのが難しいです。
 両方の欠点は、細かい描写、特に心理描写を入れにくいということです。
 最後に、こんなことを書けば、じゃあ今までの説明は何なのだといわれそうですが、
 
> 漫画で言うと「エア・ギア」のような多角度視点のような感じです

 無理です。ハイペースで視点をころころ変えるのは鬱陶しいだけです。

 必要性がなければやらない方が無難ですね。
 ムシウタなんかも視点を変えまくっていますが、あれで限界、もしくはやりすぎです。
 一つの視点に固定したほうがキャラにも感情移入してもらいやすいし、何より書きやすいです。

 漫画は漫画、小説は小説です。


峰しずくさんの意見
 こんにちは。
 逆説の好きな峰です。

 スピード感をあおるなら、簡潔に、しかし丁寧に、だと思います。
 多数の修飾語が重なったり、複雑な比喩をしていると当然、スピード感はなくなってしまいます。


例: 
 関取のようなその男が放った平手打ちは、一般人のそれとは比較にならないほど強力で、
 軽量級のボクサーが放ったパンチなどでは及びもつかないほど重く、
 そして激烈な一打だった。俺は慌てて身を引き、かろうじてそれをかわした。

 
 全然スピード感、ないっすね。

例:
 その男、まるで関取。
 表面こそ脂肪に包まれているが、その下には窺い知れないほど分厚い筋肉が隠されている。
 そこから放たれる平手打ちは、軽量級ボクサーのパンチなど、比ではない。
 頬をめがけて空を走る男の掌が、轟と空気を振動させる。
 俺は慌てて身を引き、かろうじてそれをかわした。


 いつもながら、即興の例文で恐縮ですが、後者のほうが詳細に描かれているにもかかわらず、
 スピード感があるとは思いませんか?
 もし、思わなかったら、私の技量が足りないということですので、ご勘弁ください。

 要は、簡潔に、丁寧に、です。


んぼさんの意見
 非一般的論者、んぼです。
 でも意外と凡庸です。

 センテンスを短く、改行を多く、というのはよく言われる手法ですね。
 が、なぜか自分はこの方法でスピード感を感じることが出来ません。
 森博嗣氏はこの手法が顕著だと思うのですが、むしろゆっくりに感じてしまいます。
 原因としては、おそらく句点(改行)後に視線を行頭まで移動させる時間ではないかと思っています。
 複数行を同時に視野に入れる速読では関係ないのかもしれませんが、
 自分(と、おそらくは普通の読者)は出来ませんので。

 センテンスは短くリズム良く、というのは解るのですが、
 どうも改行に関しては納得しかねます。
 なので、自分はむしろ改行を減らしていますね。


 ただ、ほら、個人の感覚での話なので、
 自分以外そう感じない可能性が高いな、とか思っているんですがw

例: 
 響く剣戟。打ち合う剣が火花を散らす。激しい動きに視界がぶれ、空気を裂く僅かな気配を察して、本能で剣を避ける。

例: 
 響く剣戟。
 打ち合う剣が火花を散らす。
 激しい動きに視界がぶれ、空気を裂く僅かな気配を察して、本能で剣を避ける。

 ぬー、短いのでよくわからんw
 えと、「エア・ギア」は何か散文的な気がするので、ちょっと想像出来ません、ごめんなさい(´・ω・`)
 相変わらず答えになってないな……。


魏延さんの意見
 とあるハウツー本からの言葉です。

 『“すばやく”と書けば四文字分、場面は止まってしまう』

 鋭い意見です。っていうか格言です、もはや。
 スピード感に溢れているのは読者だってわかってる(分からせるお膳立ては必要)、
 分かっているものを書く必要はない、というわけです。
 なので極端な話、単語だけ、とか主語述語だけあれば十分だそうです。

例:
 流影ふたつ。俺と、相手。
 残像を斬る。残像を斬られる。
 右手が止まった。自分の血――。斬られた。咆哮、転じて反撃。
 ばっと花咲く真紅――。もはやそれが、自分のものなのか相手のものなのか判然としない。
 無数の赤が弾けた。この体から。相手の身から。
 麻痺が心地いい。神経の麻痺。痛みの麻痺。
 流影ふたつ。流血乱舞。
 理性が吹き飛ぶ、今この瞬間。

 これが上手いか下手かは触れないで。
 ……一応こんな最低限の説明しかない文でも読めますよね? ね?(オイ

 もっとも、短文で〜〜というのが一番メジャーな方法なので、
 これはすでに他の方々も書いておられるようですね;

 臨場感、スピード感ある描写を目指すなら太宰治の「走れメロス」を愚生はあげます。
 あれほど読み手を高揚させる文体はそうそう見られるものじゃありません。



猫の盛りさんの意見
 通りすがりの野良猫です。
 オイラなりの答えを残します。

 短く詰めて書く事については、他の方の言われるとおり小説等では一般的な書き方です。
 どんどん、短く、終いには単語単位にまでなる場合もありますね。


 でも、オイラもやりますがアクションシーンであえて、
 背景や別の物を混ぜたりして描写する事で相対的な速さの印象を演出する場合があります。
 何事も挑戦です。頭で描けたシーンなら言葉にきっと出来るはずです。
 言葉に出来る物は、纏める事で文にでき、書き上げる事ができるはずです。
 ではでは。


■全然、参考にならない余録。

 それまで機嫌良く談笑していた二人の空気が凍り付いた。
 テーブルの上の大皿には最後の一切れ。無論双方譲る気など更々ならない。
 ニヤリと唇の端を上げたのはどちらだったろう?
 直後、堅い物が打ち付け合う軽く鋭い音が響く。
 互いに伸ばした腕の先で箸がぶつかり合い、最後の一枚を舞い上げる。
 が、即座に堅く鋭い響きが連続する。
 ひらりと空を泳ぐ一切れ。
 その数センチの飛翔。
 しかし、その直下で互いに激しく相手を弾きながら、その一切れを巡る箸と箸の攻防。
 拮抗する実力。
 不意に組み合った互いの箸の中心に、ひらりと一切れが舞い降りる。
 絡み合う視線。
 互いに相手の箸を弾くように大きく引いた時、
 最後の一切れは天井の蛍光灯目掛けて垂直に猛スピードで打ち上げられた。
 二人を見下ろし、二度と戻らぬ高見へと逃げ去ろうとする一切れ。
 もはや、迷いはない。
 真上に首を向けた二人は一気に椅子へ登ると跳んだ。
 堅く鋭い音。
 へちょっと、波打つ一切れ。
 蛍光灯直前で図らずも交差した二膳の箸に弾かれて一切れが落下を開始する。
 一瞬遅れて互いに天井に左手を着く。
 無論、箸はもう一切れを巡る攻防を開始する。
 仰ぎ見れば天井から舞振る一切れを埃から守りつつ、空中を舞う二人が中央の一切れを狙い。
 左から捻れば右から受け、右から回せば左から弾く。
 交差し合う箸。
 空中を踊り翻弄される一切れ。
 どちらとも無く蹴りが出て、拳が出て、体を捻り、首を回し。
 突き。薙ぎ。打ち。払う。
 だが、一切れに迫るのは右手の箸のみ。
 ぺちょっと、一切れは大皿の中央に戻った。
 舞い散る埃は全て、大皿の外に落ちる。
 そして、テーブルを挟んで二人は再び対峙した。
 もう、手加減は出来ない。
 片や一膳無心流の構え。対するは膳真影流で応じる。
 ただ、一切れのために。
 今、覇師(はし)が激突する!


 ……って、これは火浦ネタだよなぁ。orz


あやめさんの意見
 まぁ身も蓋もない言い方ですが、諦めるのもひとつの方法ですよ。
 私、基本的には小説でスピード感のあるものを描こうとすること自体無理があると思っています。
 何しろ読み手は文章を読むわけですからね。ぼんやり映画を見ているのとは違います。

 映画にはアクションというジャンルがありますね。
 これは個人的な偏見ですが、アクション系の映画はストーリーや中身よりもまず派手さ、
 視聴者の頭の中を真っ白にするようなスピード感のある演出が第一です。

 動画媒体ならこういうことも可能でしょう。
 視聴者はなんら労力を使わずとも、
 ブラウン管の中の俳優さんたちが一生懸命場面を演出してくれますからね。
 ぼぉ〜っと見てるだけでも勝手に話が進んでくれます。

 しかし小説の場合、読み手は物語を進めるために文章を読むという労力を使わされます。
 ぼぉ〜っと紙面を見ていても何も展開しません。
 先が知りたければ力を尽くして活字を読むしか道はないのです。

 魏延さんの挙げられた格言はかなり的を得ていると思います。
 やはり人間が文字を読むスピードというものがあるのですから、
 戦闘シーンなどの一瞬の間を文章で表現しようとするのは根本的に無理があります。
 どのように文章を練りこんでも動画には勝てません。

 ですから、無理に小説で表現するには難しそうなシーンは避け、
 より小説向きの展開を考えられてはどうでしょう。


 たとえば小説の味のひとつに心理描写がありますが、
 これを長々長々と書いても文句を言われないのは世界広しといえども小説だけです。
 漫画では、たまにそういうのも見かけますが、
 やはり絵がある以上読み手の興味はそちらに引き付けられますからね。

 映画、アニメ、漫画、小説。物語を織り成す媒体は様々にありますが、
 どれも一長一短で向き不向きというものがあります。

 
 どうしてもスピード感のあるシーンが描きたければ、
 いっそのこと小説以外の媒体で勝負する、というのも手かもしれませんね。


猫月さんの意見
 はじめまして、猫月と申します。僭越ですが意見を申し上げさせていただきます。
 スピード感のある描写は、頭の中で自分の文が映像化できないと難しいと思います。
 抽象すぎる文はリアルな動きに対してはうそ臭くなってしまうので、詳しい描写が必要になるかと。
 
 これの解決方としては、アクション映画を観て、
 それを文章化する訓練をしてみてはいかがでしょうか?

 
 マトリックスは結構いい材料だと思います。スローモーションになるシーンとかは特に。

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