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脂さんからの質問
 ライトノベルにおけるイラストの役割とは?
 
 うーん……うーん……。
 こちらのサイトを知り、ラノベというジャンルにいろいろな考察を持てるようになりました。
 その中で一つの問題につきあたりました。
 それは「イラスト」です。
 ラノベでイラストが重要な要素になっているのはなんとなくわかっていましたが、
 どこかの記事で「人気の絵師なら内容があれでも売れる」という言葉を聞き「ええ!」と驚きました。
 また、作家ではなくイラストレーターの名前を、
 大きく出している本屋などがあるということも聞きました。
 このことを知り私は、個人的にラノベというジャンルにおける危機感を覚えました。
 
 もちろん、ここに来るような皆様は内容重視の方ばかりだと思います。
 それでもラノベヘビーユーザーであることはかわりないと思いますので、
 ラノベにおける「イラスト」という要素について、
 何かしら思うことがあれば教えて頂けないかとスレを立てさせて頂きました。

 うーん、確かに80年代ごろから売れないマンガ家が挿絵描いてましたね……
 ゆうきまさみとかとりみきとか。個人的なつきあいで書かれたものが多そうでしたが。

 なんでしょう。
 イラスト重視傾向はまだこれから拡大するのか、またはどうなっていくのだろうか、
 それとも今の私が知らない傾向があるのか、教えて頂ければな、と思います。
 よろしくお願いします。


● 答え ●

マサヒトさんの意見
 どうも、明日検定試験があるマサヒトです。さっさと勉強しろ俺。
 えと、イロイロと難しいことを書こうとしたのですが、
 上手く文章がまとめられなかったので、簡潔に書きたいと思います。

 イラストは、作品の最初の掴みである。

 ラノベに限りませんが、物事は何においても最初が肝心です。
 話をするときやプレゼンをするときも最初の掴みが重要なポイントになってきます。
 最初でコケたり滑ったりすると、後はスルーされたり適当に聞き流されたりしてしまいます。
 そのため、最初はインパクトがどうしても必要なのです。
 ラノベでそれを担っているのがイラストなのでは、と考えています。

 「ラノベは小説の一ジャンルなんだから、中身で勝負しろよ!」と思うかもしれないですが、
 正直なところ僕は、イラストがあまり好みでなかったらその作品を買わないと思います。
 ひょっとして、僕みたいなイラストで作品を選ぶような購買者がいるから、
 出版社が「イラストでラノベを売ろう」という考えを持ってしまったのかもしれないです……

 そうなってくると、最早「イラストはおまけ」ではなく、
 「イラストも作品を作り上で重要なファクター」になっていると思います。


 それでわ脂さん。ご参考にしていただければ幸いです。


洋樹さんの意見
 初めまして。洋樹と申します。いつもご意見参考にしております。

 私が考察するに、イラスト重視の傾向は避けられないと思いますが、
 そこまで危機感を覚える必要もないと思います。
 現在は、パソコンとアプリケーション普及で、誰でも以前よりは容易に絵を描くことができ、
 それをインターネットを通じて公開できる時代になりました。
 絵の描き方講座なんかも公開していますね。
 それにより、絵師と呼ばれる人の人口も当然増えましたし、
 そういう方々が固定のファンを抱えているということも珍しくありません。

 私は、ライトノベルは体系的に「漫画のようなキャラクターイラスト」と、
 メディアミックスを果たしているエンターテインメント小説だと思っています。
 なので、「イラスト」を売りにすることで少しでも購買層を拡大できるのであれば、
 それはやるべきだと思います。
 「イラスト」を売りにすることで、そればかりに頼るようになり、
 小説自体の質が落ちていくという危惧は勿論あります。
 
 ですが、今までライトノベルを読まなかった層がライトノベルを買ってくれる――
 ということは、新たな購買層の目に触れる機会も増えたことになりますので、
 それを逆手に取って作家及び出版社は一層の品質向上のために努力することもできます。
「○○さん(絵師)のイラストに負けないくらい、自分(たち)も頑張ろう」と。
 
 そこで磨きがかかるのか、それとも腐り落ちていくのかは、
 業界の傾向ではなく個人の問題だと思います。


 ちなみに、個人的嗜好から意見を述べさせていただきますと、
 イラストはあくまで「読み手の想像補助」になればいいと思っています。
 「このキャラクターの容姿はこれ」と全身絵一枚で説明してしまうのは、
 読み手が想像する楽しみを削いでいる気がしますので。
 イラストに負けない小説が書けるよう、頑張りましょう(`・ω・´)


綺堂さんの意見
 どうもこんにちは、綺堂です。
 私もヘビーユーザーというわけではないので、参考なるか解りませんが一つ意見を。

 ラノベの読者層が10代〜20代くらいということを考えると、
 イラストというのは結構重要な要素だと思います。
 まず、表紙のイラストの第一印象で手にとってもらえるかどうか、が決まります。
 やっぱり下手なイラストより上手なイラストの方が面白そうに見えますし。
 あと、ラノベは比較的オタク(漫画好き、アニメ好きとか広義の意味で)向けな部分があります。
 漫画、アニメ、ゲームから入ってきた人の場合、
 キャラ絵が可愛いかどうか、っていうのも結構重要だったりします。
 
 とにかく、手にとってもらえる回数が増えるので、結果的には売れるんじゃないでしょうか。

 私としては、最近のとりあえず「萌え」、売れるには「萌え」だ。
 って感じの風潮は嫌いなんですが。美少女ゲームオタクの私が言っても説得力ないですかね(汗)。
 実際、あまりにも露骨に萌え狙いな作品に飽き飽きして、今は昔の怪奇小説とか読んでます。

 回答になったのかどうか解りませんが、参考になれば幸いです。
 それでは、失礼します。


サクラさんの意見
 こんにちは。サクラです。
 私の場合、ラノベに限らず、
 小学生向けの本「ふーことユーレイシリーズ」もイラストで手にとりました。
 
 また、どんなにイラストがよくても小説の内容にあってないと買いません。
 内容自体に引き込まれないとスルーしますし、イラストがよくないとそれもまた、
 マイナス要因になってしまうかと思います。

 
 ドラマをみて手にとった小説もあります。
 イラスト重視傾向の拡大は色々なところでおこってくるかと思います。
 チャングムもアニメ化しましたし(あまり関係ないか)


九龍さんの意見
 こんにちわ。

 私の友人の話ですが、彼女は挿絵のない本は読めないそうです。

 活字だけを目で追っていくのは疲れてしまって途中でやめてしまうそうです、
 挿絵がないので「ハリーポッター」も読めないくらいだとか。
 活字中毒な私からは信じられない話なんですが(笑)

 ただ、そういう人も世の中には多いみたいなんですよね、
 物語を集中して読む人は挿絵がなくても平気なんだけど、
 気軽に読みたい人は文章から想像したり、考えて読んだりはしたくないらしいです。
 挿絵はその辺りを補足しているんでしょうね。


>どこかの記事で「人気の絵師なら内容があれでも売れる」という言葉を聞き「ええ!」と驚きました。

 それはあると思いますね。新人さんの本を手にとって貰うには有効な方法なんでしょう、
 ただ内容がアレだと続きを買ってくれる人はいないですよ。
(だから1冊で終わっちゃう人も多いんじゃないですかね?)


> イラスト重視傾向はまだこれから拡大するのか、またはどうなっていくのだろうか、
 それとも今の私が知らない傾向があるのか、教えて頂ければな、と思います。


 うーん、拡大というより垣根がなくなりつつある様な気がしますね。
 ラノベがアニメ化、漫画化はよく見られる傾向ですが、
 最近は漫画の実写化に続き、人気のある小説家による漫画の小説化が増えるのでは?
 と言われていますよ。

 まあ、九龍の個人的考えですが参考になれば幸いです。


リンチェさんの意見
 こんばんは。
 もちろん駄作を綺麗なイラストで粉飾しただけという、 
 けしからぬものもないとは言い切れないのでしょう。

 しかし、ライトノベル=イラスト重視と決め付けるのはいささか早計ではないかと思います。

 例えば、特に古い作品には、萌えどころか漫画的でさえもない、
 リアルなタッチのイラストが添えられているものもあります。
 また、内容はどう見てもライトノベルであり、
 またメディアミックス展開もなされている作品でありながら、
 表紙以外にイラストの存在しない本などもあります。
 これはライトノベル専門でないレーベルの作品に多いですね。

 なお、個人的には、あって邪魔になるものではないけれど、
 なくて困るものでもないという意味で、イラストは飾りだと思っています。
 
 ただし、イラストが単なる挿絵の枠を超えた作品であれば話は別です。
 挿絵として漫画を描いたり、あるいは図解を載せたりといったものですね。
 これらの挿絵は飾り以上のものです。

 しかし、いくらイラストで売る作品・イラストが魅力的な作品であっても、
 画集や漫画ではなく小説である以上、本文が主でイラストその他は従です。
 
 ですから、激しいネタバレや本文無視などは論外だと思います
 
 後者の本文無視ですが、具体的には、本文で上着を脱いでいたと描写されている人物が、
 イラストでは上着を着ているというものなどが挙げられます。意外と多いんですよ、こういうの……。

 長文失礼しました。


夜霧さんの意見
 こんばんは、最近漫画ばっかり買ってる夜霧です。

 こちらも友人の話です。
 ドクロちゃん好きの友人が、ドクロちゃんの新刊を別の友人から借りようとしてたんですが、
 その場でパラパラ読んで「あ、ごめん、やっぱいい」と突き返したんですよ。
 理由は単純「だって絵ないじゃん」でした、
 ちょっと自分では理解し難い出来事だったので驚きましたね。

 まぁ、こんな感じの人も多いのでイラストには大きな影響力があると思いますよ。
 それに自分もイラストだけでジャケ買いする事もよくありますしね。


>イラスト重視傾向はまだこれから拡大するのか

 個人的な意見で言えば、拡大すると思いますよ。
 ですが、そのおかげで新たなイラストレーターの育成にも繋がると思うので、
 それはそれで悪い事ばかりではないかと……

 では、駄文失礼しました。


くさかべくろのさんの意見
 こんにちは。

 絵描き次第で内容がアレでも売れる、というのは同人誌やエロゲーの世界では常識です。
 女の子がいっぱいでてくるアニメもそうですね。


 ユーザーの視点からすれば、イラスト込みでラノベなんだろうと思います。
 で、作る側からすればどうしたって売れることが重要ですし、
 購買動機が絵であろうと文であろうと良いんじゃないかと思います。
 せっかくのストーリーが挿し絵に左右されるのが許せないというなら、
 作家が自分で萌える絵を描けばいいんです。
 私たちはどっちみち、少しでもいい話を書くしか無いんじゃないかと思いますよ。


 ものすごく古い例ですが、小学生の頃、
 学校の本棚に「ズッコケ三人組」っていうのがあったじゃないですか。
 ライトノベルの祖先みたいな作品ですが、あれだって「イラスト重視」でしたよね。


脂さんの返信(質問者)
 皆様ご意見まことにありがとうございます。
 ここまでの皆様の意見を読んで思ったことは、

 イラストは読み手の想像補助、購買意欲を高める効果があるということを、
 私は見落としていたなぁ、です。

 
 くさかべさんやさくらさんの仰るとおりです。
 これについては洋樹さんの仰るように私の「危機感」も言いすぎだな、と思いました。

 ラノベの歴史をたらたらと調べたりしているんですが、
 綺堂さんの仰るように「萌え」という言葉で表現される要素と
 「イラスト」にはリンクすることが多分にあると思いました。
 これが顕著になるのは90年代後半、00年代からなんですね。
 (萌えという言葉自体ここ数年なような気がしますが)
 ここでメディアミックスという要素に踏み込まなければならないと考えましたが、
 ここまでくると私もお手上げで少し躊躇しているところです。

 ともかく、ライトノベルは通常の文学史の隆盛(私小説から新感覚派など)とは、
 全く違った脈動を秘めていることには違いありません。
 ラノベ業界を動かしている商業主義を、その手法であるマーケティングなどから調べないことには、
 読み解けないうねりであるような気がしてきました。

 なんというか、文学の表現者、受け取り手が作ってきた常識を、
 ラノベでは捨てなければいけないような気がしてきました。

 なんというか私ごときが見出せるような問題でもないような気がしてきましたが、
 私の感覚的な欲求に付き合っていただければありがたく、引き続きご意見お待ちしております。


峰しずくさんの意見
 こんにちは。
 ご質問の「ラノベにおけるイラストの役割」には触れない、雑談レスですが。(ごめんなさいね)

 長いシリーズだと、文章とイラストがセットになって読者に認識されたりします。
 だから、途中でイラストレーターが変わってしまうと、
 それだけで離れていく読者がいる、というのも事実のようですよ。


 山浦弘靖さんの「星子ひとり旅シリーズ」がまさにそれ。
 マンガ家服部あゆみさんがイラストをず〜っと担当されてて、
 それしかない、くらいの強い定着を見せていたと思います。
 この小説の挿画を見て、服部さんのファンになった方も多く、僕もその一人です。
 もともとはアニメ出身(初期ガンダムとかの動画? 原画?をされてたようですね)の方
 とのことですが、代表作「風見斎シリーズ」との相乗効果でファンを獲得しておられます。

 マンガ家にとってもラノベのイラストって重要なんだなあって思ったりしますね。


> うーん、確かに80年代ごろから売れないマンガ家が挿絵描いてましたね……
 ゆうきまさみとかとりみきとか。個人的なつきあいで書かれたものが多そうでしたが。


 ここでも時々出てくる火浦巧さんとか、
 あのあたりで仲良しな人たちだったんじゃないかなと記憶しますが、違ったかなあ。
 ゆうきまさみさんとか、とり・みきさんが、売れてないとは決して思わないけど、
 そりゃあNANAあたりと比べたら売れてないになっちゃうでしょうね。


> イラスト重視傾向はまだこれから拡大するのか、またはどうなっていくのだろうか、
 それとも今の私が知らない傾向があるのか、教えて頂ければな、と思います。


 拡大するでしょうね。
 これからの方向性として、僕は「絵物語」というジャンルが再燃するのではないか、
 とひそかに思っています。
 絵本よりかは活字が多いけれど……、ちょうど写真週刊誌の写真の部分がイラスト、
 記事の部分が小説(物語)くらいの分量割合ではないでしょうか。
 あるいは、紙芝居1枚についてくる文章量、というような割合かと思います。

 僕も「絵物語」そのものは読んだことがありません。
 藤子不二雄さんの「マンガ道」で、かつてふたりが共同で作った手作りのマンガ誌に、
 「絵物語」というのがあって、それで知った程度です。

 ただ、ラノベではイラストが重要ですし、一般雑誌はどんどんビジュアル化していって、
 文字数はどんどん減っているという現実もあります。
 ライターは文章で個性や切り口に特徴を持たせるのがむつかしくなっているはずで、
 最近ではライターというより、同行カメラマンに「こういう写真をとってください」などと注文して、
 セットで作品(記事)を構成したり、誌面レイアウトやデザインを含んで、
 トータルで仕事をしたりすることも多くなっていると聞きます。

 となれば、小説世界でも、イラストが重視されるラノベを筆頭に、
 かつての絵物語に近いものへ進む、または分化していく可能性はあるんじゃないかな、と思います。


 ただ、本来の「絵物語」はイラストの多い文章ではなく、
 むしろ「絵」がまずあって、それに文章がくっついたという感じなのかもしれません。


猫の盛りさんの意見
 通りすがりの野良猫です。
 なんだか、複雑な気分です。

 さて、90年代と言うとラノベなんて言い方はあったのかもしれませんが、
 オイラは聞いた事はなかったです。
 そして当時は、ほぼ富士見文庫の一人勝ちでした。

 当時はログアウト文庫とか面白いレーベルもちらほら出てきてましたが、
 TRPGブームの最盛期だったため、
 牽引役は学生でも気軽に買える文庫本のルールブックのソードワールドRPGで、
 その前身はロードス島戦記というものでした。

 ロードス島戦記は、今振り返るとラノベの火付け役だったのかもしれません。
 そしてそれよりも大きな看板である宇宙皇子[うつのみこ]も、
 非常に業界をひっぱたのではないかと思います。

 まあ、なんにせよ、当時の雑誌はTRPGメインのドラゴンマガジンが、
 良くも悪くも現在のラノベの基礎を作ったのではないでしょうか?


 ソードワールドのリプレイとか、人気漫画化とか、
 売り出し中の新進気鋭のイラストレータを起用して、今のラノベと同じような事をやってました。
 ただ、イラストの位置づけは、連載中のキャラをかっこよくビュジュアル化するという方向性で、
 まだ、小説の内容重視の頃だったと思います。

 聖刻シリーズとかもTRPGブームに乗った作品ですが、こっちはソノラマですかね。
 そして、小説としては冴木忍のメルビィ&カシムとか、
 今でも活躍する作家が登場しますが、やはり、当時だとスレイヤーズの存在は大きいでしょうね。

 スレイヤーズは作家も若く、イラストレーターも若い。
 そしてオノマトペとか言うレベルではなく完全な擬音表現による演出や、独特の心理描写。
 長編の他にドラゴンマガジン本誌でも短編を連載し、短編が先に映画になり、
 長編がTV化し、マンガ化し、今尚、続巻がでたりする長寿作。
 このあたりから現在のメディアミックスと言うのが急速化しだした印象がありますね。

 時が流れるにつれ、ティーン向け富士見文庫から、
 ヤングアダルト向けの角川スニーカーに作家が流れて行き、
 そうこうしている内に電撃文庫がでてきます。
 が、最初はあまりぱっとしなかった印象がありますね。
 電撃と言えば火付け役は「ブギーポップは笑わない」ではないでしょうか?
 印象的なCMがTVに流れたり、実写で映画化したり。
 少し遅れてアニメ化したりと、90年代最後を飾り電撃の躍進を告げたのではないのでしょうか?

 これら全て、良くも悪くも今は人気あるイラストレータの絵付きではあります。
 そういう意味じゃ、この世代ではある無責任艦長タイラーは、
 ぜんぜん萌え絵ではなかったのですが、アニメ化がきっかけで、
 後続のシリーズの絵とかみな、変わりましたね。
 メディアミックスというおいしい展開を考えるなら、最初から絵も、
 それに適した方向の物にしておくべきなのでしょう。
 そして、それこそが今のスタイルなのです。

■売れない漫画家;;
 ノベルの作家は火浦っすよね?;;
 スターライトかな? みのりちゃんの話かな?

 とり・みき 売れないっすか。
 オイラはチャンピオンで連載していたくるくる・くりんとか好きだったですよ。
 同タイトルでTVドラマ化したのもちゃんと見てましたよ。でも、売れないなんすね……。

 ゆうきまさみ アニパロ屋(OUTです)からサンデーと言うメジャー誌に移って、
 究極超人あ〜る を始めてから、
 つまり名前に看板がついてからイラストを書いてた気がするのですが……。
 当時は「あ〜る」はすごい人気があったんですけどね。
 CDドラマ化2本。OVA1本。キャンペーンも大々的だったんですが……。
(その後はパトレーバーとか色々メガヒット物を続けたのに……)

 今の評価は売れない漫画家なのかぁ。

 過去に積み上げた物も、今目に入らねば一瞬で捨て去られる。
 業界と言うところは恐ろしく、読者と言うものは尚恐ろしいと痛感する猫なのでした。
 ではでは。


ペットボトムさんの意見
> 「人気の絵師なら内容がアレでも売れる」

 これはちょっとユーザーを馬鹿にしすぎだ!
 と声を張り上げて文句を言いたいところですが、
 イラストがラノベで重要なファクターなのは否定しようがありません。

 イラストは多くの人にとって作品のキャッチフレーズであると共に、
 作品のイメージを固めるイメージソースでもあると思うからです。


 ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」という作品があります。名前のとおり、宇宙戦争SFです。
 この作品は和訳されるやいなや、国内でとんでもないバッシングを受けました。
 理由は内容が軍国主義的だから。
 それでもこの作品は今なお人気があります。僕も大好きです。
 
 なぜか。その理由は早川SF文庫に挿絵として載せられた数枚のイラストにあります。

 この挿絵に描かれているパワードスーツに多くのSFファンは魅了されたのです。
 その影響は後にガンダムを始めとするリアルロボットアニメのビジュアルに見受けられるほどです。
 このようにたった数枚のイラストが原因で作品の印象がガラリと変わってしまうのも事実なのです。

 だからと言って、内容が劣悪で良い訳ありません。
 「宇宙の戦士」が人気が出たのは、
 パワードスーツを始めとする綿密なSF考証と日常・非日常を問わず繊細に描かれた描写が、
 重厚な世界観をかもし出していた事が土台となっていたからです。
 
 イラストも重要ですが、内容も重要です。

 このサイトをご覧になっている皆さんには釈迦に説法かもしれませんが。


どてかぼちゃさんの意見
 こんばんは。どてかぼちゃです。
 いろいろな考察が出て、なかなか興味深いので、わたしも仲間に入れてください。

 ライトノベルが画期的なのは、「小説」と「イラスト」が融合したことにあります。

 今では当たり前かも知れませんが、かつての小説を考えれば、これは革命的なことです。
 イラストで物語をつづるならば、漫画でいいからです。
 80年代ごろ、マンガ家さんがイラストをつけていたのは、
 イラストレーターが少なかったからではないでしょうか。
 キャラクターの絵が描ける人は、マンガ家さんぐらいだったのだと思います。

> 「人気の絵師なら内容がアレでも売れる」

 これは当然です。作家と絵師は、二人三脚だからです。
 漫画には、原作者と漫画家がいるものがありますね。これと同じです。
 ただ、内容は当然水準に達していないといけません。
 逆に、人気の作家さんに新人の絵師をつけることもありますよね。

 ライトノベルの傾向は、分化していくと思います。
 イラスト好きな人はそちらへ進みますし
 内容で買う人は、内容で買います。
 音楽もいろいろに分化して、大ヒット曲が減りました。
 みんなで歌える歌がなくなった代わりに、
 それぞれが自分の好きな歌を探すことが出来るようになりました。

 わたしたちも、好きなライトノベルを探せばいいんです。
 誰がなんと言おうと、自分が好きだと思う一冊を探しましょう。
 その一冊を生み出すのは、次代の作家の雛のタマゴの素であるわたしたちの役割ですね。
 そしてこのサイトは、そのためにあるんだと思います。

 いやー、カッコイイこと言っちゃった(笑)。
 長くなりました。失礼します。


脂さんの返信(質問者)
 なんかイラストから始まった考察なんですが、
 あっちいったり、こっちいったりふらふらしている状態です。
 なのでイラストと関係が薄いかもしれませんが、現状まとめられるところだけまとめて、
 ご意見を頂いた皆様へのお礼とさせて頂きます。

 まず、ライトノベルの歴史を紐解いてみます。
 今のライトノベルというジャンルの、中高生向け、商業主義、
 イラスト共存などの特徴と似た一ジャンルの萌芽は、
 とりあえず70年代後半から80年代からのSFからではないかな、
 というところから始めてみます。(文中敬称略)

 70年代後半〜80年代。
 代表作家は私的には、平井和正、菊池秀行、夢枕獏、火浦功、大原まり子、新井素子、
 山浦弘靖、高千穂遥、藤川桂介、田中芳樹などでしょうか。
 イラストレーターとして記憶にあるのは、ゆうきまさみ、とりみき、安彦良和、いしかわじゅん、
 天野喜孝、吾妻ひでお、いのまたむつみ などでしょうか。
 この頃の時代背景として、マンガというジャンルが「悪書」から、
 一つの「文化」に認知され始めた時期というのがあります。
 感覚的に、小説というジャンルからマンガというジャンルへの
 カウンターとしての潮流があったのではないでしょうか。

 また、上の例からみると、作家もイラストレーターもSFに造詣の深い面子であることがわかります。
 マンガと小説の糊をSFが担っていた、とでもいいましょうか。
 ここで一つ面白い例がダーティペア。これは小説からアニメになり映画になりました。
 このあたりが今のメディアミックスの源流の一つではないかな、と思っております。

 90年〜90年代後半。
 この頃の時代背景として最も重要なのが活字離れ、ジャパニメーションの隆盛、
 日用機器の発達ではないでしょうか。
 活字離れについて、全国学校図書館協議会というところが、
 毎年小中高生の読書量を調査しているようですが、wikiにあった文章を以下に引用します。

――
 この調査によれば高校生は、1970年代頃には平均4.5冊であった物が、
 年々進学指向が高まっていった1980年代で、
 平均で7.4冊(1984年と1988年)を読んだとされたのをピークに達した。
 1990年代には同時期を通じて下げの傾向にあったが、
 1990年代末から2000年代に入ると急激に上昇、
 一時期は大学受験で求められるレベルの低下もあってか下げに入るも、
 再び回復して2003年には平均8冊、2004年にも7.7冊という高水準にある。
――

 これはラノベだけではなく小説というジャンル自体に大きな影響を及ぼしたと考えてよいでしょう。
 こういった状況の下、ミステリ小説というジャンルは綾辻行人、
 京極夏彦などの新本格派の台頭という大きなうねりを経験しました。
 ではラノベはどうでしょう。上でも書きましたが、
 この時期の時代背景として、80年代のガンダム、ナウシカ、AKIRAなどで萌芽した
 ジャパニメーションの円熟期というのがあります。
 攻殻機動隊、エヴァンゲリオン、パトレイバーなどですね。
 
 これらにより、ラノベというジャンルは中高生の活字離れ、
 録画機器の発達という状況とあいまって、大きな影響を受けていたのではないか、と推測します。
 そういった意味では、ミステリの例などを考えるとうねりが置きやすい時期だったのでしょうが、
 ラノベは小説ジャンル自体の裾野の弱体化により、
 大きな潮流は出てこなかったと言ってよいかもしれません。
 一つあるとすれば、この時期は半導体技術の驚異的な発達による、 
 携帯電話、PCなどのさまざまな日用機器の発達により、
 SFに日常が追いついてしまったことによるSFの低調がありました。
 
 それに加え、ロードス島戦記、スレイヤーズといった大ヒット作品により、
 ラノベにおけるファンタジージャンルが台頭した、というところでしょうか。
 これらの作品はメディアミックスという要素からも注目すべき作品かもしれません。
 アニメ隆盛により、これまでのアニメなどからのノベライズではない、
 小説からマンガ、アニメへというメディアミックス方式が90年前後に萌芽し、
 固まった時期であるということが言えるのではないかな、と。
 ラノベの商業主義の確立をこの時期に見てもよいのではないでしょうか。
 また、それにより「萌え」という要素の萌芽も生んだと考えてもよいかもしれません。
 そう考えると、メディアミックスと商業主義と「萌え」という要素は、
 思ったより強い関係性があるような気がしてきました。
(ここは自信ないです。個人的な言い訳ですが、私はこの時期演劇どっぷりだったので、
 ラノベのシーンは粗い観測になってます)

 90年代末〜現在(2006年)。
 今のライトノベルブームの始まりは、どうやら03、04年ぐらいからと言われているようです。
 高校生の読書量調査にも見事に符号しています。
 アニメについては引き続き円熟期だと思います。
 ただ、ピークへの傾きが多少緩やかになってきている印象があるので、
 時勢に敏い中高生がラノベに戻ってきたのかな、という印象です。
 ここは現在進行形なので多くは語りません。

 要約すると、ラノベの歴史としては、非常に拙文になりますが、
 80年頃にマンガに対抗する小説として生まれ、
 90年代に活字離れとアニメ隆盛により頭を押さえられつつも商業主義を確立し、
 00年頃から再起動し始めた。という感じになるでしょうか。
 以上までの文章は峰さん、猫の盛りさんのレスが大変参考になりました。
 ここで改めてお礼を言います。ありがとうございました。


 さて、話は戻りますが、このスレに頂いた皆様の意見を読んで、
 私は感覚的に「ラノベは屋台村である」という表現を思いつきました。
 その方向で話をすすめてみたら何ともうまくいかないので、ここは撤回します。

 芸術史的に話をすすめてみます。
 ある表現ジャンルの中での傾向の盛衰を、私はここで「脱皮」と喩えて置きます。
 これまでの傾向の盛衰を考えると、
 それまでの傾向に閉塞感を感じた一握りの表現者と(通と呼ばれるような)受け取り手たちが、
 それまでの傾向の皮に亀裂を入れ、
 その皮から脱皮して新しい傾向が生み出されるというパターンが常識的でした。
 近代文学というジャンルでいうなら、
 横光利一や川端康成などにより私小説から新感覚派が台頭しました。
 最近だと上にも書きましたが、ミステリというジャンルでは、
 島田荘司、綾辻行人、京極夏彦らにより社会派ミステリから新本格派が台頭しました。
 
 もっと卑近な例ではロボットアニメというジャンル。
 ガンダムにより勧善懲悪ものからリアル志向へ、
 エヴァンゲリオンによりセカイ系というか内的志向の主人公というか、 
 心理重視傾向へという傾向が生まれたと言えるのではないでしょうか。

 さて、ラノベではどうでしょうか。
 唯一それっぽいのは上にも書きましたが、
 ロードス、スレイヤーズによるSFからファンタジーへという傾向がそうでしょうか。
 しかし、これらのきっかけとなった作品は上の他と比べて、
 あまりにも社会的影響が小さいと言えると思います。
 あるとするならば、作品自体の力というより、
 メディアミックス方式という要素の方が重要なのではないでしょうか。
 また、ラノベというジャンル内での視点から見ても、「脱皮」というより、
 それまであったものを進化させて共存するという形となっていると思います。
 (ちなみに私はアルスラーン派でした)

 そこで構造的視点からこれを捉えてみます。
 ラノベというのはどんな作品でも構いません。
 とても自由度の高いジャンルといえます。また、権威もありません。
 権威に成り代わってパトロンになっているのが商業主義という状況でしょうか。
 「脱皮」にはそれまでの傾向による「閉塞感」が必要となります。
 ラノベにはこの閉塞感が生まれにくい状況なわけですね。
 つまり、外骨格がないので、ラノベは「脱皮」ではなく、
 「細胞ごとの新陳代謝」という表現の方がしっくりくるかもしれません。


 で、何がいいたいのかというと、これまでの文学史的な常識で潮流を読んでも、
 本流を読むのは困難なのかな、という印象を持った、という独り言みたいなものです。

 なんといか、こういう勉強されている方がいたら何かのネタにはならないかな、
 という淡い気持ちレベルで書いたものです。
 皆様ありがとうございました。

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