第4研究室 創作に関するQ&A 152P | トップへ戻る |
AAAさんからの質問
 自己陶酔した文章とは?
 
 何だか最近、質問が妙に多いAAAです。
 今、久しぶりに一人称小説を書いているのですが、そこでふと疑問に思ったのです。
 ずばり、『自己陶酔した文章ってどんな文章なのだ?』ということです。
 一人称小説を書くと、やはりその人だけが見た情景や心情のみを書くことになるので、
 少なからずとも書いているうちに自分の心情がその話に入ってしまうと思います。
 そうなったら、もうそれは自己陶酔となってしまうのでしょうか。
 プロの作品も、一歩解釈を間違えれば、ただの自己陶酔なのではないかと最近思ってしまいます。
 その文章を見て、それが自己陶酔なのか、そうでないのかを見分ける方法は何なのでしょう?
 どんな些細な意見でも構いません。よろしくお願いします。


● 答え ●

峰しずくさんの意見
 こんにちは
 どんな些細な意見でも、ということなので、しゃしゃりでてきました。
 本来的な「自己陶酔な文章」とは意味が違うかもしれませんが、
 私が思うに、小説における自己陶酔な文章とは、
 「自分だけがわかっていて、読者に伝わらない文章」のことだと思います。
 
 つまり、説明不足であったり、ご都合主義であったり、矛盾であったり、です。


 僕自身が自分の文章を読み返してみて、一番気になるのは、実はここです。
 誤字脱字でも、文章作法でもなく、
 「自分では全て論理がつながっているように思えていたが、時間を置いて読むと、
 まったくつながっていない。なぜこの登場人物が、このような行動をとるのか、
 原因からでは予測できない。原因から行動までの思考過程がわからない」というものです。

 Aだから、Zである。
 ここに抜けているBからYまでは、作者の頭の中ではつながっています。
 でも、読者には「書かない」ことには伝わらない。

 だから、矛盾しているように思えたり、ご都合主義だと判断されたりします。
 原因は説明不足です。

 自分だけがわかっている。これが自己陶酔だと思います。

 逆に言えば、「それは作者だけがつむぎえる特別な論理展開だ。まさしく自己陶酔だ」
 と指摘されても、きちんと論理展開の道筋が提示されていれば、
 読者もその美酒に一緒に酔うことができるわけだし、
 その作者ならではの美酒を飲みたいために、読者はその作者の作品を読むのだと思います。


みつきさんの意見
 AAAさま、こんにちは。

 自己陶酔している文章、確かに時々、プロ小説家の作品にも、
 「あれ?」と思うようなところがある時がありますよね。
 
 私が思うに、作者が登場人物にきちんとなりきれていない場合に、
 そういうことが起こるような気がします。


 小説の作者というのは、一人で何人もの役柄を演じる役者なのだと思うのですが、
 時々、テーマや限定的なシチュエーションへの思い入れが強すぎるためか、
 主人公やそれに近い登場人物の人物像の隙間から、
 ぽろぽろと作者本人の思いや感情が見えてしまうときがあるんですよね。
 ……分かりづらいですね、すみません(^^;。
 
 えっと、なるべく簡単に書くとですね……こんな生い立ちでこんな環境に育ち、
 こういう性格でこういう現状を生きるこの登場人物が、
 突然にこんな物言いやこんな行動をするものだろうか?
  という……なんというか、あまり心地の良くない違和感とでも言うのでしょうか? 
 そういうものを、どうしようもなく感じてしまうことがあって、そんな場面に出くわした時、
 私は「ああ、作者はこの役柄の仮面を、最後まできちんとかぶりきれなかったんだな」と、
 つい思ってしまうんですよね。

 その物語の登場人物その人が、自己陶酔したり、
 自分の感情に囚われたりするのは全然OKなんです。

 でも、その後ろで完璧に姿を消し、黒子に徹していなければいけないはずの作者が、
 突如、舞台に踊り出てきてしまうのはNG、なんですよね。

 
 舞台をコントロールすべき人物であるはずなのに、
 その役割を投げ出して自己陶酔してしまっているなーと感じる瞬間です。

 ……うーん、なんだかちょっと、上手く伝えらているという自信がないのですが……
 今回はこれにて、失礼させていただきますね(^^;。
 それでは。


Hemoiさんの意見
 こんばんは、AAAさん。Hemoiです。

 自己陶酔した文章――。
 プロでも登場人物に入れ込み過ぎた時に、そんな感じになりますね。
 例えば、主人公の女性がすごく美人で頭も良くて、
 正義心が強く危険も顧みないなんて感じの小説がたまにあります。

 ぼそっ……、松岡氏の「千里眼」とか。

 ちょっと著者がそのヒロインを絶賛って感じで読んでるとひいちゃうんですよね。

 あとは、お約束に嵌ってヒロインが死んでしまうパターンの小説とか。
 けれんみたっぷりに書かれると、返って白けてしまうことも。

 もう一つは、純文学系の小説で内面比喩が多すぎるのも、
 作者が物語よりも文章にばかり気に掛けている感じがして面白くないです。


 情景描写が長くてやたら細かすぎるのも同じような感じだと思います。


プチミントさんの意見
 AAAさんの言うのは、自己陶酔じゃないと思います、一人称は主人公の視点なだけで
 一人称=作者が自分に酔ってるわけじゃないですよね?
  じ……自己陶酔ってそーゆーことだよな?(ビクビク)
 だからAAAさん、一人称を書くことを恐れることはないです。
 近頃一人称ばっか書いてて三人称がもう書けないんじゃないかと、
 内心ちと怖かったりしてますが俺。


脂さんの意見
 要は客観性だと思いますよ。
 作品から作者にどれだけ客観性を感じられるか。
 ライトノベル作法研究所に投稿されている作品の多くと、
 プロの差ということを考えたら一番大きなところだと思います。


蒼い人さんの意見
 一人称の主人公、その彼が何かしらの主張をしたと仮定しましょう。

 作者が自己陶酔していると、彼の主張は絶対的になるでしょう。
 反論があっても問答無用に勝り、反論そのものを根絶やしにします。
 言うなれば主人公サイドばかりが厚遇され、敵はその引き立て役にしかならないのです。

 「作者=主人公」の構図が浮かび上がった場合、危険ですね。

 自己陶酔を避けたければ、作者は神様に徹した方が無難です。

 また、良い意見は反論を汲み取り、咀嚼した上でできます。
 ミルやカントの話を持ち出せば、一方的な主張は、まだ確実ではないのですね。
 反論を圧殺することは、より高次な、明晰な考えを得る邪魔をしてしまうのです。
 確実性を高めるには実証や異論に対する抗弁を経て、洗練させなければなりません。
 独り善がりだった臆見は確信を得て意見となり、客観的な確実性を持てば知識となります。

 あくまで主張に限った話ですが、主人公ばかりが目立ってはイカンということです。
 彼の脳髄に根性焼きを入れるような、魅力的な敵役が欲しいですね。



黒尻尾の駄猫さんの意見
 通りすがりの野良猫です。
 オイラなりの答えを残します。

 困難があってもお話しが都合の良い方向に主人公が考え、
 周囲もそれに賛同し、本来なら面倒な場面や展開。
 お話しが冗長に成りがちな部分が敵対する者達すら協力的なくらい都合良く順調に踏破され、
 何か一本筋が通っている程、順調なままエンディングを迎えた時。

 一見、大活躍しているキャラクターが、実は用意したシナリオを効率よくなぞる
 中身のない自動シナリオ追跡装置ではないかと疑った時。

 嗚呼、失敗した;; と、オイラは作文に費やした時間を悔やむわけです;;

 シナリオをちゃんと描ききれないと書き手としてはダメですが、
 そのお話は、作中で活躍するキャラ達が一緒に紡いだ物になっているかどうか。

 書き手に都合良く、キャラを狙って配置しすぎて、
 ただ流れている文になっていないかどうか……。
 シナリオを意識しすぎている時は、なかなか気が付けない時もあって、
 難しいですが、こんな感じで。
 ではでは。


場決さんの意見
 こんばんわ、掲示板にだけはよく顔を出す場決です。

 さっそくですが、一人称で書く場合に自己陶酔になりやすいか、
 と聞かれれば私はそれはNOだと思いますね。


 これは物語の中で心情的・常識などに関する心理展開を行なう上で、
 考えてしまう事はあると思いますが、
 そこで踏み留まれるのであれば自己陶酔にはなっていないかと。
 そう見て取られやすい内容となると、
 一方的に主人公側が正しく敵にその反論を許さないスタイルでしょうか。
 作者自身の物の考え方がダイレクトに反映されている文章は特に危険です。
 しかしそこで反論の手が上がり、相対する状況で悩み、
 成長するスタイルがあればいいのでしょうが……。
 
 これがないと確実に作者の論理だけで全てを押し切ってしまい、二の次が無くなります。
 自分が正しいとだけ思い込むが故につまらないと感じる一端ですね。
 ただ、登場人物を確立させて最初から、
 その人物が持っている感性や思考を表に出していくのであれば話は別です。
 その場合は結果に至った過程の説明等、作者の技量が問われるのではないでしょうか。
 ……どこか質問に対する答えとしてずれてしまったような。では、これで。


んぼさんの意見
 自己陶酔している文か否かを「見分ける」というのは違うと思いますよ。
 自分がどう感じるか、主観の問題ですから、ある意味で。

 文章で自分語りをして、「こんな世界を生きてる私ってステキ」
 っていうのが透けて見える文章だと、嫌ですね。


 少なくとも、読みたくないです。

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