第4研究室 創作に関するQ&A 169P | トップへ戻る |
ワトソン薄志さんからの質問 2007年
 精神病などは扱わないほうがいいのか?
 
 どうも、2日連続3食カレーのワトソン薄志です。
 久しぶりに質問させていただきます。

 今回お尋ねしたいのは、統合失調症(精神分裂病)などを扱うことについてです。
 正確な情報を収集して書くのは当たり前なのですが、
 専門家でもなければ100%の正確な事はわからないだろうと思います。
 もし誤った情報で書いてしまったら、患者に対する差別になってしまうかもしれません。
 こういったものを扱うのは控えた方がよいのでしょうか?
 皆様の意見も聞かせていただきたいなと思い投稿しました。
 私も無知だったのですが、
 現在でもこの病気には偏見や誤解が生じており多くの患者が苦しんでいるらしいです。


● 答え ●

はなもげさんの意見
 こんばんわ、しばらくROMてたハナモゲです。
 作品に精神病の人が必要なら、批判を覚悟して書くしかないと思います。
 文字では所詮は心を伝えることなどできないのですから、
 表現の限界を割り切って書くしかないとおれは思ってます。

 あと一つアドバイスするとしたら、差別表現に敏感なのは本人よりも
 むしろ親御さんとかのほうがスゴイ敏感です。
 本人のほうがわりかし気にしてなかったりしても、
 親御さんはすごい気にする人が多いですから。
 そこら辺も念頭にいれたほうがいいかもしれません。
 そんじゃ頑張ってください。
 

彩珠さんの意見
 「ロボトミー」という言葉をご存じですか?
 ロボットっぽくって格好良いですよね。
 しかも、おもちゃ会社であるトミーの名前まで入っている。こりゃあおかしい。ゲラゲラ。
 実はこのロボトミーという単語、なんと医学用語であるらしいのです。
 そしてこの「ロボトミー」という手術を題材にかつて漫画を書いた人がいました。
 誰かは申し上げません。
 
 ロボトミーをすると素敵、ロボトミーがあればどんな難病でもたちどころに良くなるよ。
 ロボトミーは幸せの象徴! 
 ロボトミー手術の出来る日本の医学力は世界一イイイイィィィ! とかそんなのです。
 
 そのお話は、一応は週刊誌に載ったものの、
 後にロボトミー手術による被害者の会だかの抗議を受け、
 敢えなく単行本には収録されない「黒歴史」の作品となってしまいました。
 ちなみに、その漫画を書かれた方は医者の免許を持っていて、
 もちろん有名で権威ある大学を卒業されていたそうです。

 結論を申し上げます。
 「餅屋でも扱いを間違えることのある餅が素人であるあなたに搗けるはずもなく」
 あなたが本物のワトソンさんだとしても、
 精々がDNAの講釈を垂れることが出来るくらいなもんでしょう。
 しかし、本当に専門知識を持っているなら――
 その方からの見解は、喩え間違っていようとも訊いてみたいとは思います。
 但し、フィクションであるライトノベルでそれをやる必要性は皆無であるとは思いますが。


MSTさんの意見
 計6食カレーって、飽きませんか? MSTです。
 私も、お勧めはしませんね。

 ワトソン薄志様が挙げておられる病気は、私も『ブラックジャックによろしく』や、
 地方新聞などでチラッと読んだことがある程度の知識ですが、
 出版物(仮に販売はしなくとも、他者が読むという意味合い)で取り扱うにはものすごく深く、
 重く、デリケートなものですよね。

 少なくとも、生半可な覚悟で取り扱っていいものではないと思います。登場させるだけでも、です。
 こういうデリケートなものは、読み手に千差万別の反応を与え、
 作者が意図したものでなくとも、人を深く傷つける可能性がありますから。
 取り扱うのだとしたら、専門家からアドバイスをもらうか、
 専門家に負けない知識が必要だと思います。

 ここからは完全に私の主観ですが、娯楽を求めるラノベで、
 そこまで踏み込んだ題材を取り扱う必要性はないのでは、と思います。
 やはり重たすぎるように感じるのです。
 もちろん、今までのラノベの枠組みにないものですから、
 読者にものすごい影響(偏見を改善するという意味も含め)を与えることになるかもしれません。
 しかし、素人の独学では、文章表現にしろ失礼な作品になりかねない、と私は思うのです。

 再度念押ししますが、生半可な覚悟で取り組んでいいものではありません。
 作者様に一つのしっかりした答え・結論があり、伝えたいことを持った上で、
 それを伝える技量が必要だと思います。

 ということで、私的には反対のMSTでした。少しでもお役に立てればいいのですが。


峰しずくさんの意見
 こんにちは。
 私にはこの返信は書けないなあ〜と思いながら、
 他の方の返信を読んでいたんですが、気になることがひとつ。

「本人より親御さんの方が気にされる」
 でふと思ったんですが。

 さらに、「人権団体」とか「○○(←病名などが入る)の会」なども、
 同様に注意をされたほうがいいと思います。
 困難を乗り切るために助け合ったり、世の中を動かそうと努力をされている団体も
 もちろん沢山ありますが、中には、「運動のための運動」「批判のための批判」
 をしている団体もあり、そういう団体にとっては攻撃対象とすべきものを発見して、
 徹底的にぶちのめすことが活動目的です。
 
 当事者が傷ついたとか、筆者の知識の不足を指摘して正しく理解してもらうとか、
 そういうことが目的ではなく、です。
 そういった部分にも注意されるといいかと思います。
 また逆説的アプローチも難しいですね。

 登場人物の中に、統合失調症に誤った知識や認識を持つものがいて、
 その人が差別的な発言をしたり行動をしたりするとします。
 筆者はそのことで、「差別は良くない」「認識が誤っている」
 と読者に感じてもらうことが目的ですし、読めばそんなことはわかるのですが、
 攻撃団体はその部分だけを取り出して攻撃してくる可能性があります。


kkkさんの意見
 確かに統合失調症はなかなか扱いにくい題材でしょうねえ。
 統合失調症を扱った娯楽作品ってそんなに思いつかないし。

 ただ、癌やアルツハイマーや自閉症や知的障害が題材だったら、
 大してリアリティのない「泣けるフィクション」が気軽に作られるのに、
 何故統合失調症はタブー視されるのか?
 それは統合失調症に対して強い嫌悪感・差別意識を我々が未だに持ち続けているからでは?
 という気もするので「扱うのは控えるべきだ!」とも声高には言いにくいですねえ。

 個人的には映画「ビューティフルマインド」くらいのリアリティで良いので、
 (あれも統合失調症を正確に捉えた作品では無いらしいけど)
 沢山娯楽作品が作られた方が、
 世間一般の統合失調症に対する理解も進むんじゃないかと思います。

 なので、ワトソン薄志さんにはドンドン書いてもらって良いんじゃないかと。
 症状だけの知識ならそんなに難しい専門書あたらなくても把握できると思いますので。

 当事者でもなんでもない、無責任な意見かもしれませんが。


緑葉さんの意見
 こんばんは。
 それはどの程度題材を具体的に使ったお話なのでしょうか。
 症状の現れた人物と触れ合って心の葛藤を描いたようなライトなもの
 言い換えると、統合失調症という題材を脇役として使用したようなものでしたら、
 おそららく大丈夫だと思います。
 が、薬の投与や医者側の心情、専門用語での会話など、その病気を主として描こうとするならば、
 先に免許を取れるだけの知識を手に入れる事をお勧めします。

 また、個人的に申し上げられる注意点として、
 未熟者がやってしまう一番大きな失敗に「病名を出す」というのが挙げられると思います。
 これは非常にまずいと思います。ワトソンさんご自身も仰っていますが、
 100%の知識が無い者が描き上げたストーリーにひずみが生じないわけがありません。
 その時1番目につくのは病名でしょう。

 私も、統合失調症について少々調べてみました。

>>この病気に関する大きな誤解の一つに遺伝の問題があります。
 統合失調症について紹介しているページよりの抜粋です。
 この一文だけ載せると更なる誤解を生みやすいかと思いますが、統合失調症は遺伝します。
 しかしその確率は、決して100%ではありません。
(後の説明に一卵性双生児の確率について紹介されていましたが、
 片方が発症した場合もう片方も発症する確率は高くても80%、低いときは30%を切るようです)。


↑今書いた説明の中に語弊がありますが、お気づきでしょうか。
 統合失調症は確かに遺伝と関係していることは認められているようです。
 しかしそれは「素因」であって、必ずしも「発症」の決め手になるものではない。
 つまり、発症者から遺伝子を受け継いでも100%発病しない場合だってあるって事です。
 日本語って難しいですねなんて簡単に言える問題じゃないですが、
 やはり非常にディープな面を持った題材として、
 これを主として扱うのは非常に危険で難しいと思います。


花菱 庵さんの意見
 初めまして、花菱と申します。
 私もかつて、同様にデリケートなテーマを扱った短編を書いたことがありますので、
 他人事とは思えず……。
 鍛錬所に投稿させて貰いご意見を伺ったのですが、
 (考証が足りなかったこともありますが)
 やはり同じ病で苦しむ人の立場を考えればいかがなものかというご指摘を受けました。

 その上で、一つの手段として考慮していただければと思いますが、
 実際の病名を伏せるのはいかがでしょう。
 架空の病名をつける、あるいは明言を避ける。

 病を扱うエンタテインメント作品には少なからず関わる問題ですが、
 ものによってはただ考証を固めればよいというものではない場合も多々あります。
 ちなみに私はかなり長い間考えた末に、後者を取りました。
 執筆当初は決断がつかなかったのですが、今はこの方が良かったと考えています。

 ところで、ミステリには「社会的安全弁」という考え方があって、
 ミステリのトリックを実際に犯罪でトレースしても
 必ず失敗するように記述されている場合が多いそうです。
 今述べたことと、近しい意味合いのあるものかも知れません。

 ともあれ、まずは作品を仕上げてみることをお勧めします。
 具体的な形ができれば、判断のつけ具合もやり易くなってくるかと思います。


黒尻尾の駄猫さんの意見
 通りすがりの野良猫です。
 オイラなりの……妙な言葉を残します。

 統合失調症と一口にいっても度合いや様々な状態があり、一概には言い切れないようです。
 以下なんか、読んでみてはいかがでしょうか?
 http://www2f.biglobe.ne.jp/~yasuq/schizophrenia2.htm


>> ロボトミー

 オイラの知る限り、これほど恐ろしい事も少ないかなと思います。
 ロボトミー手術は精神疾患以外に凶悪犯罪者の矯正としても行われていた歴史があります。
 より具体的には、人間の脳の前頭葉の一部(思考を司る部分)を切除し、
 ロボット化すると言うものです。

 人権もへったくれもありません。

 彩珠 様がご紹介したマンガをオイラは知りませんが、そりゃ、訴えられるでしょうね。
 人間の思考力を物理的に奪い、
 二度と戻らなくする手術をギャグとは言え推奨する内容であるなら……。

 たぶん、その作家さんは承知の上でそういう作品を書いたのでしょうね。扱い方を誤る以前に。
 表現は自由であり、作中で表現するためにあえて歪めたり曲げたりする事もままありますが、
 読み手側もそれを批評する自由があり、作家に対して自由にそれを伝える権利がある。

 世に訴える自由は、世間から訴えられる自由と隣り合わせ。
 傲慢にならないよう気を付けたい物です。
 ではでは。


脂さんの意見
 私はいいと思いますよ。
 専門的な知識がないと、と仰る方もいますが、
 そもそも精神病というのは医学的に非常に曖昧なジャンルであると言えると思います。
 専門的な知識と言うなれば、例えば症状のうち幻覚一つとっても、
 それを含む病名は統合失調症からアルツハイマーまでいろいろあります。
 パーキンソン病とかかわりをもつと考えられる幻覚症状すらあります。
 それら病理の鑑別をするために、脳の機能だけはなく、
 心筋の働きからのアプローチをされていたりします。
 専門的になればなるほど物語的にはマイナスになると思いますよ。

 それら精神病の中で、統合失調症(分裂病含む)というのは非常に長い歴史をもつ病名です。
 なので、ある程度の定義づけはされているわけですね。
 物語的にいえば、精神病の中でも
 数少ない読者との共有の土台を持っている病名と言えるわけですね。
 これを使わない手はないと思います。

 しかし、みなさんも仰るように、人権団体など、
 筒井康隆てんかん騒動みたいな懸念があることはもっともです。
 ただ、こういうことがおこったのは作品に力があったからなんですね。
 それをあまり恐れすぎるのもどうかと思いますよ。

 もちろん触らぬ神にたたりなしというのは当り前ですが。
 
 てんかん騒動は確かにインパクトのある事件でしたが、
 いわゆる差別問題などの暗部に比べたらそれほど恐れる必要もないと思いますが……
 たぶん統合失調症という病名に変わった経緯のことを考えていってるのかな。

 うーん。
 センシティブなところではあると思いますが、
 それを踏まえて書くなら問題ないのでは、という感じだと思います。


三毛招きさんの意見
 具体的な病名はやめたほうがいいと思います。
 わたしが小説を読んでいて「あ、上手いな」と思ったのは
 「症状、特徴、原因などは言うが病名は挙げない」というやり方です。
 この方法なら、病気を題材に扱ってもはっきり何とは書いていないので、
 風当たりも少ないと思います。


鈴忌さんの意見
 おはようございます、鈴忌です。

 個人的には別に取り上げても構わないモノだと思いますよ。

 世の中にはどんなテーマを取り上げても攻撃される可能性はあるわけで、
 また攻撃されることで知名度が高まる場合などもありますので、
 一概にマイナスばかりとも言えません。
 バトルロワイヤルなどが、その好例でしたよね?
 なので、リスクとリターンを天秤にかけた上で、
 ワトソン薄志さんが「必要」と感じられたらやってみるのも手です。
 この場合のリターンは「良い作品、面白い作品になるかどうか?」ということです。
 「良い作品」になるなら十分有りでしょう。

 また、取材などに関しても、作中での扱いに関しても、
 作者さんが「良い」と思う方向でやられると良いかと思います。
 たとえば映画「シックスセンス」は「統合失調の症例の一つ」に
 「いわゆる霊感を持つと主張する人々の特徴」が似ているところに目を付けて、
 「統合失調」という切り口を使わずに作品化された映画ですよね? ああいう使い方もあります。
 あと、他の方が書かれているようなギャグ的な使い方も十分あり得るものだろうと思います。
 要は作者さん次第です。


> 専門家でもなければ100%の正確な事はわからないだろうと思います。

 あと、これは違いますよ。専門家でも100%は分かりません。
 だから研究するわけですし論争するわけです。
 ついでに言うと研究者は患者側ではないことが殆どなので外部的な観測しかできていないので、
 下手をすると当人より分かってない可能性もありえます。
 俗に言う専門家というのは「投薬の専門家」だったり、「セラピーの専門家」だったりで、
 病気の専門家ではありません。病気の専門家は「患者本人」ですかね?

 鈴忌は統合失調の人とは何人も会ったことがありますが、
 よほど重度でもない限りは普通にコミュニケーションも取れまし
 「自分が幻聴を聞いている」なども理解しています。
 なので、医者などを通しての取材よりは直当たりの方が生の情報が得られるかもしれませんね。
 ただ、理解するのは難しいです。例えば統合失調の状態を表現する教科書的な言葉として
 「自他を隔てる幕が破れ、自己が外へ流れ出す感覚。
 例えばコップなどの物体についても患者はその中に自己の一部が存在していることを感じる」
 というのがあるのですが、コレの本当の意味を理解するまで鈴忌は教科書を読んでから
 数年以上掛かりましたし、今でも100%理解しているかと問われれば自信がないです。
 
 更に、某統合失調患者さんから聞いた
「日常見ているもののラベルがふとした瞬間に剥がれ落ちて、全く見慣れないモノになる」
 という症状。(コップが液体を入れて飲むものだという固定観念が消えて、
 コップのありのままの姿を患者は目撃する)
 などは、教科書的には統合失調の症例としては載っていないのですが、よく聞く話です。
 天才肌の芸術家などがモノの本質を瞬間的に捕まえるのとよく似た能力(?)なので、
 使い方によっては「紙一重」で天才肌になれそうな気もする症例ですね。
(というより天才は精神病や脳疾患の結果かも知れません)

 漫画「ブラックジャックによろしく」では、医療従事者側の視点から見た問題としての
 「統合失調」を扱っていたので、取材や描き方は楽だっただろうと思いますが、
 もしワトソン薄志さんが描きたいものが患者側としての統合失調だとしたら数年単位での
 取材をしないと感覚的にすら掴むのは難しいかもしれませんね。
 でも、別に掴まなくても「統合失調」を小道具として使うことはできますし、
 ライトノベルとして描くならばむしろ掴む必要はなくて知ってる人から
 聞きかじる程度の方が好ましいぐらいかもしれません(苦笑)。


> 現在でもこの病気には偏見や誤解が生じており

 これは病気などには付き物ですね。古くは「ライ病の隔離」などから、
 少し前では「エイズは同性愛の病気」という誤認や「うつ病は心が弱い」
 などのように今でも続く偏見は数え切れないほどに存在しています。
 ついでに言うと偏見は病気だけではなく、いわゆる「おたく趣味」とかに対してもありますね。
 犯罪予備軍的なイメージがTVでまことしやかに語られたりするでしょう?

 要するに、人間は「自分と違うもの」や「知らないもの」
 を本能的に恐れて排除しようとするんですよ。
 なので、社会的にマイノリティにあたるモノは、殆ど全てが偏見と誤解にさらされます。
 そういう意味では、物書きとしては正しいか間違っているかはともかくとして
 「情報」をドンドン世に送り出すのが使命となるだろうと鈴忌は思います。
 情報が増えれば注目する人が増え、結果として議論や研究が活発に進んで差別は減るでしょう。
 差別的な作品でも、結果を見れば差別の是正に役立っているはずですよ(苦笑)。

 もっとも、作者として批判や議論の矢面に立たされることを望まない可能性もありますので、
 この辺りは作者さんの考え方次第でしょうね。

・差別を無くすために、できるだけ正しい情報を伝える
・差別を助長するために、敢えて誤った情報を伝える
・興味本位に、とりあえず小道具として取り上げる
・言葉の響きが気に入ったので使ってみる

 どれも正解だと思います。要は作者さんがリスクとリターンを理解して
 「納得して」書くならば何でも有りなんですよ。
 なので……


> こういったものを扱うのは控えた方がよいのでしょうか?

 コレについては、上でも書いたとおり「構わない」と思います。
 ただ、他の皆さんも書かれている通りリスクは色々とありますので、
 ワトソン薄志さんなりに考えてみて下さい。

 最後に……


> 誤った情報で書いてしまったら、患者に対する差別になって
> しまうかもしれません。


 正しい情報でも「差別」になることは往々にしてありますし、気にしていては切りがありません。
 「差別」と騒ぐ人は、何をもってしても騒ぎますし、
 そうじゃない人は自分で考えて情報が正しいかどうかぐらいの取捨選択はできます。
 専門家でも100%ではないわけで、
 ましてや作家が100%正確な情報を書けるわけがないですからね。

 どうぞ、頑張って下さい。


鈴忌さんの意見
 横槍失礼します、鈴忌です。


> そしてこの「ロボトミー」という手術を題材にかつて
> 漫画を書いた人がいました。誰かは申し上げません。
> ロボトミーをすると素敵、ロボトミーがあればどんな
> 難病でもたちどころに良くなるよ。ロボトミーは幸せの象徴!
> ロボトミー手術の出来る日本の医学力は世界一イイイイィィィ!
> とかそんなのです。

 それは、読んでみたいですね(苦笑)。
 というか、その作者さんはロボトミー(前頭葉[ロボ]切除[トミー]術)の歴史に詳しいみたいですね。
 というのも、実際にロボトミーが発明(?)された当時は精神医学界では、
 ロボトミーはそういう扱いを受けていた画期的で華々しい治療方法だったわけですからね。
 おそらく、その辺りの歴史を揶揄しつつ
 ブラックユーモアにしたつもりだったのだろうと思うのですが、
 描き方が悪かったのか、それとも「ロボトミー殺人事件(実在の事件)」などの印象が強くて
 マイナスイメージが先行したのか、出版社が怖がって芋を引いたのか、
 黒歴史にされてしまったんでしょうね(苦笑)。

 筒井康隆さんの断筆が有名ですが、この手の問題は作家側の知識量と
 騒ぐ人側の知識量の断絶が問題になることが多い気がします。
 さらに、出版社が商業的判断で謝ったりすると作家側の主張が全て
 間違っていることにされるので作家(筒井さん)が怒るのも仕方が無いことなんでしょうね。
 まぁ、この手の問題で押して通せるのはよほどの大御所にならない限り難しいのでしょうが、
 件の作品がどんな描かれ方をしていたかはモデルケースとして興味があるところです。
 NGな描き方の参考としてだけでも、見る価値がありそうです。

 もっとも、未収録らしいので入手は困難なのでしょうが……。


『余談』
 彩珠さんと黒尻尾さんは明らかに分かった上でネタにしてますが、
 知らない人が見ると「ロボトミー」と「ロボット」の語源が同じだと
 誤解してしまいそうな表記があるので、念のため横槍ついでの補足を……

 「ロボトミー」=前頭葉(ロボ)+切除(トミー)
 「ロボット」=労働を意味する言葉を元にした造語

 まぁ、知っている人も多い話ですが、この掲示板は若い方も多いので念のためです。
 蛇足失礼しました。
 では……


kkkさんの意見
 それって手塚治虫『ブラック・ジャック』
 http://www.kyoto-su.ac.jp/~nadamoto/work/199301B.htm
 ですか。
 つかブラック・ジャックって結構この種の微妙な問題を多く扱ってますよね。


皇月さんの意見
 私は統合失調症ではありませんが、ある精神疾患をわずらっています。

 そして私の個人的な意見としては、それほど難しく考えなくても、
 どんな形であれ私たちに興味をもってくれるのはとてもうれしいことです。

 自分の病気を扱かった作品を見かけると自分が本の主人公になったような気分になって
 ウキウキしたりしますし、あまり細かいことを気にしたりしませんので、
 興味があるのでしたらぜひ書いてみてほしいと思います。

 ただ、作品を通じて「私たちに共感してほしい」のか、
 「健康な人たちに理解を深めてほしい」のかはしっかり考えたほうがいいと思います。


 正直言って、私はそういった作品にリアリティや具体的な解説を求めていません。
 むしろいわゆる「大した中身のないお涙頂戴もの」を求めています。
 リアルを描いた物語なんて現実だけで十分まにあってる、なんでもいいから慰めてほしい、
 少しの間幸せな夢に浸らせてほしい、つらい現実を忘れさせてほしい、これが私の本音です。

 ですが健康な人、とくに知識を求める人にとってはリアリティや解説のほうが重要でしょうし、
 どちらにしてもある程度の知識は必要なはずです。
 まあ大抵は専門書ですら言ってることが、
 バラバラなので完全に見当違いだって事さえなければ大丈夫だと思います。


ナルさんの意見
 初めまして、ナルと申します。
 十年ほど前、私の弟は高機能自閉症と診断されました。
 かくいう私も二年ほど前に「自閉寄り」と専門家に言われた一人です。
 その関係で「自閉症・アスペルガー症候群・ADHD・LD・etc……」の知識は、
 人並み以上にあると自負しています。

 ある日、某有名番組で自閉症について語られたことがありました。
 概要は「動物とのスキンシップが自閉症の子供にどのような影響を及ぼすか」
 というようなものだったと思います。
 観ていて「何だかおかしいな」と感じた矢先に、ナレーターの放った一言で食卓が凍りつきました。
 確か、こんな台詞でした。

「××(犬の名前)との交流を経て、○○(子供の名前)君の心は開かれたのでした!」

 台所に立っていた母は苦笑していました。
 ナレーターの言葉は、裏返せば自閉症の方々は自ら心を閉ざしているということになるのですから。

 また、自閉症を扱ったドラマでも違和感を感じたことがあります。「なんだか飾ってるな」と。
 自閉傾向のある方々は他人の気持ちを推し量るのが苦手です。
 お菓子を食べながらボランティアのお姉さんに靴を履かせてもらっていた
 自閉の男の子を私は見たことがあります。
 
 そんな姿を見た身としては、ドラマの主人公たちはあまりにも綺麗すぎて逆にむかついてくるのです。

 なので、書くのは控えた方がいいと思います。
 何人かの方々がおっしゃってますが、絶対に批判がきますから。
 
 私のように、その病気、もしくはその障害に関するちょっとした表現に、
 本気で怒りを感じる方もいらっしゃいますし。


 書くにしても、そのような診断を受けた方が自分のことをどのように受け止めているのかなどは、
 最低限知っておいたほうがいいと思います。
 ちなみに私は安心しました。
 母も「診断結果が出たとたん、この子(弟のこと)が何者なのか。
 そして、自分が何をすればいいのかわかって安心した」と言っていました。

 最後になりますが、文章全体を見直してあまりに感情的な部分は直したものの、
 やはりそのような部分のある文章になっていると思います。駄文失礼しました。
 それでは。


一茶さんの意見
 もし、精神疾患のことを書きたいのなら『症例A』 という小説を読んでみてください。

 この本は、作者が凄まじい量の精神疾患の本を読んで書き上げた、
 精神疾患についてかなり正確な小説です。
 この本には、統合失調症はもちろん、躁病・境界性パーソナリティ障害なども扱っていて、
 特に解離性同一性障害(いわゆる多重人格)については精神科医も驚くほど詳しく記されています。
 もし、精神病のことを書くのなら、この作者くらい調べたほうがいいです。
 最後のほうのページに4ページびっしりと参考文献が載っているので見てみてください。

 補足ですが多くの小説家、漫画家が軽く作品に書き、
 しかも症状が間違ってる代表的な精神疾患があります。
 それは多重人格です。
 現実では地味につらい障害です。
 人格が変わるため、記憶喪失になったり時間感覚がおかしくなったりします。
 しかも交代人格が好き勝手するため

・気が付いたら友達と喧嘩していた。
・気が付いたらからんできた相手を病院送りになるくらいボコボコにしていた。
・気が付いたら銀行から何万もお金がおろされていた。

 なんて茶飯事です。
 統合失調症がダメなら、なんで多重人格はいいんでしょう?
 不思議なものです。

 とにかく、症状を正しく記すこと、これが大切です。

 それじゃ、ここで。


ひろっさんさんの意見 2012/08/08
 うつ病経験者として言わせていただきます。
 注意するべきなのは、自分の書いた文章に引き擦り込まれて、実際にあたかもそういう症状があるかのように感じてしまうケースがあることです。
 私は太宰治など、有名な作家が自殺したりするのはこれが原因だと考えています。

 お悩みの内容は多重人格についてのようですので、幾つか解決方法を提示させていただきます。

>精神疾患ではない多重人格
 幽霊でも憑依させましょう。
 あるいは、脳をもう1つ移植するとか。
 脳が半分吹っ飛んでも生きてる人の話とかもあるので、そちらを調べれば何かヒントになるかもしれません。
 精神疾患でなければ、それこそ個人差の問題ですから、いくらでも描写できるはずですよね。

>精神統合失調症について調べ尽くす
 小説を書く以上、調べものから逃れることはできません。
 実際にそういう疾患を持つ患者の主治医から話を聞くなりして、理解を深めることです。
 ただ、この方法は上記の通り自分が書いた文章の影響を受ける危険があるため、リスクがあることを覚えておいてください。

 ちなみに私の場合のうつ病の症状ですが、主に白昼夢と気配の幻でした。
 白昼夢はわかりますよね。
 妄想がまるで現実のように感じられるということです。
 気配の幻というのは、幽霊を見るような感じといいますか。
 『そこに何かいる』とか感じるんです。
 めまいによる視界の揺れのせいで、風景の中に異物を感じ取ってしまうんだと思います。
 現実にそんな異物が存在しないとわかっていても、頭のどこかでそれが実在するものとして認識してしまうんですよ。
 おかげでしばらく、世界が違って見えました。

 何か参考になれば幸いです。
 それでは。

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