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片月 要さんからの質問
描写の濃淡について 初めて投稿します、片月です。 緊張しているので文章がおかしいかもしれませんが大目に見て下さるとありがたいです。 今、試行錯誤しながら小説を書いています。そこで、ふと疑問。 「描写って何処まで濃くしても良いのでしょうか?」 このライトノベル作法研究所に来てまだ日が浅いので、 どんな小説が良い小説なのかよく分かりません。 それで私は描写に目を付けました。 私の小説は結構描写が濃い方で、単純な話でもどんどん長くなっていきます。 簡単にすませられる文章もいつの間にか長くなっています。 ところがいろいろな小説を読むと皆様短文の方も結構いらっしゃるなあ、と思いました。 短文で味のある文章を書ける人も憧れですが、 どうも私は描写を濃くした方が書きやすいみたいです。 皆様は描写が多い文章(回りくどい文章と考えても良いのですが……)を読みたいと思いますか? それとも短文の方が読みたいですか? 是非意見をお聞かせ下さい。 ● 答え ● 魏延さんの意見 まだおいらは生きてます、魏延です。 以下個人的な考えに基づく主張。 濃いも淡いも、最終的には読みやすさにかかわってきます。 淡い文体は踏み外せば稚拙・文章力なし・語彙不足と取られ、 濃い文体は踏み外せば自己陶酔・無駄が多い・読み辛いと取られます。 濃い文体と言うのはスイスイ読めるかどうかという点ではネックになります。 そこで、文章の美しさに力を注ぐという手があります。 流暢さにはやや欠けても、 「ウマい言い回し多し」「一文一文が輝いてる」という評価を目指すのです。 一文、一文を磨く過程で「この文は別段必要ないな」と思ったものを削除、短縮。 すると減らした文の分だけ、残った文をよりグレードアップ出来ます。 もちろん、場面とテンポを考慮した上で分量を決める必要はあります。 例えば、通いなれた教室の風景と決戦場の風景とを同じ文章と量で描いては読み手は疲れ、 話にもメリハリが出ません。 全体的に濃くする場合でもこのメリハリは重要です。 場面ごとのメリハリはもちろん、数文単位でもこれは必要になるでしょう。 しばらく濃い文が続いたら、一、二文、淡々とした文を挟む……といった具合です。 このレスの読みにくい悪文集合体も(汗)細かく区切ることで何とか読めると思います。 改行なくこの文面を読まされたら誰でもぶっ倒れるでしょうね; で、私的に導き出した結論ですが、 濃淡のメリハリ如何によって「漫然」「高度」と評価が分かれるのかも知れませんね。 ひいては、読みやすさというのもこのメリハリに大きくよるのではないでしょうか。 やはり人間、何事においてもマンネリや無変化を嫌いますから、 時々引き締めてあげる必要はあると思います。 まあ、ぐちぐち申しましたが、愚生はこの「メリハリ」さえ心がけてあれば、 文の堅軟、濃淡は気にされないと思っています。 橋方悠吾さんの意見 はじめまして、橋方悠吾と申します。 描写の密度、確かに悩むところですね。 片月さんが考えておられる濃い描写ですが…… 差支えがなければ、実際に今書かれている作品の中から 一部を例挙していただけると、より具体的に意見を伝えることが出来ると思います。 私自身は、難解な漢字連打の超濃密文も好きですし、 簡潔な文体で洗練された描写も好きです。 →され竜とか描写濃いですね。 量子力学とか数学用語とかのオンパレードで、あの妙なグッタリするような読感が…… →マルドゥックスクランブルを丁度今読んでいますが、 簡潔な文体にしてはビビッドな描写をしていると、個人的には思います。 それではよろしくお願いします。 片月 要さんの返信(質問者) 返信誠にありがとうございます。 橋方悠吾様からご要望があったので駄文ですが自称説の一部から列挙します。 冒頭を少し過ぎた辺り、主人公は理宇という少女です。 ほんの少しだけ名前が出ていますが・・・・・・。 また、のちのち細かい返信は返させていただきます。ご了承下さい。 ---------------------------------------------------------------------------------- 美しい白銀の月が紺碧の夜空にぽっかりと浮かぶ空の下で、 星々が瞬くのを忘れてしまったかと思うほど静かな冬の夜に、理宇は布団の中でうずくまっていた。 安らかな眠りとは言い難く、浅い眠りと深い眠りが交錯する中で少女は時折忌まわしい記憶の夢をみて、目を覚ます。 ――何であたしがこんな目に遭わなきゃならないの。 理宇は嫌な汗で濡れて気分的にも重くなった身体を気だるそうにゆっくりと起こし、ぎりりと音を立てて歯ぎしりをする。長い漆黒の髪が憎しみの炎に燃える彼女の横顔を隠し、強い眼差しの瞳は前方の壁へと向けられていた。幾度となく暗黒の闇に突き落とされ、身体が引き裂かれるほどの痛みと屈辱を味わった。その度に痛みだけを糧として、この世界へ留まってきた。彼女を動かしているのは間違いなく自分を追いつめた人間達に対する憎しみだけだった。 ---------------------------------------------------------------------------------- とまあ、こんな感じです。これを濃い描写と呼べるのか判断につきかねますが、 引き続き返信してくださると嬉しいです。 ぺーさんの意見 個人的な意見ですが、一文が長すぎるのと、飾り付け過ぎているように感じます。 情景描写は読者が美しい情景をイメージしてくれなければいけません。 つまり読みやすさも(イメージのしやすさに繋がります)重要です。 > 美しい白銀の月が紺碧の夜空にぽっかりと浮かぶ空の下で、 星々が瞬くのを忘れてしまったかと思うほど静かな冬の夜に、理宇は布団の中でうずくまっていた。 自分の文体とは全く雰囲気が違います。 ですので、大幅に改変すると、片月 要さんの個性がなくなります。 文章の大筋は変えずにやって見ます。 例えば、有効だとは思えない修飾語の「美しい」「ぽっかり」を外してみます。 理由は「美しい」という単語自信は、実は「美しさ」を何も描写できない単語ですし、 「美しさ」は描写で感じて貰えば良いからです。 また、「ぽっかり」はあまり良い働きをしていないように見えます。 それから意味を取るのには不要である単語、「空の下」「しまったかと思うほど」も削ります。 白銀の月が紺碧の夜空に浮かぶ。 星々が瞬くのを忘れた静かな冬の夜に、理宇は布団の中でうずくまっていた。 で、大分短くなりました。濃さはあまり変えていないつもりですし、 文章の言わんとするところは、残したつもりですがどうでしょう? 短い方が読みやすいのは確かだと思います。 まあ、好みの問題なのでしょうが。 んぼさんの意見 簡潔に答えだけ。 正直、読みたくはありません。 私が読みたいのは描写ではありませんので、 一言で済む場面を延々と書かれているようなものは即バックですね。 ……あくまで、個人的趣味の話として、お聞き下さいね? 書きやすいかどうかも肝要ですが、同時に読みやすいかどうかも考慮すべきであると思います。 書きやすさだけで突っ走っているのなら、それは色んな意味で読者を放置していると考えられ、 ならば尚更読みたいとは思えませんでした。 「長く書ける」のと「長く書く」のは、全く別物です。 これは何にでも言えますが、書けるから書いていいわけではありません。 橋方悠吾さんの意見 どうも、橋片です。 そうですね、詰め込む内容は程よく密度があっていいのですが、 もう少し読みやすい 構造にしてもいいかも知れませんね。 描写についてお悩みということで、ここは恥を承知でリライトしてみます(汗 文体は好みが大きく分かれるところなので、こういうスタイルが好きな人なんだ、 くらいに捉えてください(大汗 ---------------------------------------------------------------------------------- 紺碧に染まった冬空を、銀色の月が優雅に照らす。その輝きに、星々はすっかり鳴りを潜めている。全てが、澄みきった静寂に満たされていた。 理宇は布団の中でうずくまっている。浅い眠りと深い眠りが交錯し、時折苦しそうに目を覚ます。 ――なぜ? なぜあたしなの…… 理宇は、汗でぐしょぐしょに濡れた身体をゆっくりと、気だるそうに起こした。 そして、壁の方を向き、ぎりりと歯ぎしりを立てた。 長い漆黒の髪に隠された彼女の双眸は、激しい憎悪の炎を宿していた。 理宇は夢の中で、幾度となく無限の闇に突き落とされ、身体が引き裂かれるほどの痛みと屈辱を味わった。 彼女をこの世界につなぎ止め、突き動かしている唯一のもの──それは、自分を追いつめた人間たちに対する、焼けつくような憎しみだった。 ---------------------------------------------------------------------------------- 同じ内容を、漢字を開き、時には文を短く区切って表してみました。 少しでも読みやすく、簡潔な文構造を心がけてみました。 シーンの設定がしっかりしていれば、簡潔で淡々とした文体でも、濃密な描写は できるんじゃないか、そう思う橋片です。 この掲示板で、常連の方がおっしゃっていたのですが、 映画のセットを組み立てるように各シーンを設定しておけば、 推敲するほどに描写に磨きがかかるのではないかと思います。 リライトの際に考えた、シーン設計(拙いです、ご容赦を ---------------------------------------------------------------------------- シーン1: 冬空、月がまぶしい。月があかるくて星が見えないくらい。 街は静寂。透明感のある夜空のイメージ。 シーン2: 悪夢にうなされる主人公。ねっとりとまとわりつくような汗。 気だるそうに寝返りをうつ。 シーン3: 過去を思い起こす。憎しみ、怒り、恐怖などがごった返して、はぎしり。 内面描写をしっかり。憎しみのドロドロ感を強調。まとわりつくような、洗い落とそうと しても、落とせない、そんなドロドロ感がいいかも。 ---------------------------------------------------------------------------- 私だと、こんな感じの文体が好みなので、人によってはあっさり・淡々すぎと感じる かもしれませんが、少しでも参考になれば幸いです。 工藤満月さんの意見 初めまして、片月 要さん。工藤満月と申します。 まず私の意見ですが、長文自体は大好きです。 「され竜」のようなタイプは疲れますが、なかなか読んでいて爽快です。 ただ、自分で書くとなると話は違います。 まず私自身が描写力に不安を持っていること。 そして文を短く簡潔にするのが、読みやすいセオリーだからです。 また、私自身の解釈ですが、描写に必要なのは「情報」です。 「濃い」か「薄い」かは、長い短いと言うのではなく、 どれだけの情報がその文の中に入っているかによって決まるのだと思います。 例えば片月さんの例文ですが、情報だけで言うと、 夜、冬、理宇、寝てる、起きる、憎しみ、黒髪、長髪、 ぐらいになるのではないでしょうか(足りない部分はご容赦を)。 濃い文章と言うのなら、情報量をもっと増やせばよいと思います。 それなら、例え短文の連続でも「濃い」文章と言えるのでは無いでしょうか。 また比喩などの装飾品は諸刃の剣だと思います。 雰囲気を作ったり、読者の想像を喚起したり、迫力を出したり、素晴らしい効果はもちろんですが、 くどくなるのも事実なので。 それでは、片月さんが理想とする文章で、小説が作れるようになる事を祈っています。 |
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